[ショートショート]ハニワとドグウ
ハニワとドグウは、ふたりで旅をしています
ハニワには脚がなく、ドグウには脚があります。なのでドグウはハニワを背負って旅をしています。
夜になると、ハニワは歌をうたったり、おもしろい話をしたり、変な踊りをしてみせます。
それを見てドグウは毎晩ハラを抱えて笑い、
「明日もな、明日もな」
といって、明日の旅のために眠りにつくのでした。
旅を続けていたある日--
喧嘩したわけでもないのにドグウが、
「今日からは、お前が俺をおぶれ」
と、不機嫌な顔つきで言いました。
ハニワは、なにも言わずにドグウを背負いました。
ハニワには脚がありませんから、歩けません。だからドグウを背負ったまま、何日も、何日も、昼のあいだはその場にずっと立っていました。
夜になると、ハニワはドグウをおろし、歌ったり、おもしろい話をしたり、変な踊りをしましたが、ドグウはブスッとしたままです。
そんな日が続くうちにハニワは、歌も、話も、踊りもしなくなりました。
もう何日たったかしれない頃、ドグウがハニワの背中から言いました。
「もういい。俺がおぶってやる」
そしてまた、ドグウがハニワを背負い、歩き出しました。
そして夜には、ハニワはドグウを笑わせ、ふたりは明日の旅のために眠るのでした。
朝にはまた、ドグウはハニワを背負い歩きます。
そして、毎晩ハニワはドグウを喜ばせるのでした。
こうしてふたりの旅は、まだまだ続くのでした。
(了)