ビートに乗った世界の話
タカシ、この間、ちょっと変わった街に行ってきたんだよ。東京から離れて、なんか、抹茶が売りの町。都会のガヤガヤから離れたかったんだけどさ、着いた途端、何か変。
まずな、自動ドアが速いのなんのって。バンバン開いて、バンバン閉まる。待つってことを知らないんじゃないかってくらい。俺、何回か挟まりそうになっちゃってさ。笑っちゃうよな。
で、マスコットキャラ。どこ見てもいるんだよ、キャラクター。まるで、何かにつけてキャラを立てないといけないみたい。大事なのはなんだかわかんなくなっちゃうよ。
抹茶の使い方もすごいんだ。どこ行っても抹茶、抹茶。抹茶のパンに、抹茶のアイス。え、抹茶うどん? あり得ないよな。選ぶのにも一苦労だよ。
駅のホームでさ、点字ブロックに人がつまずいてるの見たんだ。小さいことかもしれないけど、そういうのって気になるじゃん。
それから納豆。これがまた粘ってさ。食べるのに時間かかっちゃって。朝から納豆に時間かけてる場合じゃないっての。
でもな、そんな変な街でも、だんだん慣れてくると、なんかいいかなって。完璧じゃないけど、その不完全さがいい感じになってくるんだよね。人って不思議だよな。