デジタルの世界と子どもたち
子育ての中でデジタルをどう扱う?
デジタルが私たちの日常と切っても切れない関係にあることは、もう否定することができません。
でも、子育てをしていると、子どもとデジタルをどう付き合わせていいのか不安になることもあるかもしれません。
もし、不安になっている方がいるのなら(いや、そうでなくても)、この本をお勧めしたいと思います。
この本を読んだ今は、むしろ、デジタルの世界と上手に付き合っていけるような支援ができたらいいなと思い、オンラインの習い事もさせているほどです。
なぜかデジタルの世界に対する不安を持つ私たち
デジタルと生活が密着しているのは、私たち大人だけではなく、子どもの世界でも同じです。
彼らはデジタルネイティブと呼ばれるほど、生まれたときからデジタルのある環境が当たり前なのです。
しかし、なぜだか子育て世代の多くの人は、子どもとデジタルの付き合い方に不安を持っているのではありませんか。
なぜなら、私たちの時代にはなかったものだからです。
ゲーム機はあったにせよ、やりすぎると叱られていた、そんな思い出を持っている人もいるでしょう。
そして、インターネットを介して犯罪に巻き込まれたり、時間の使い方が家族や友人、身近な人たちとずれたりしてしまうのではないか、そんな心配もあるかもしれません。
でもその心配はやはり、私たちがあまりゲームやネットの世界のことを知らないからなのかもしれません。
ゲームやネットに偏見がない医師が書いているこの本
この本は、ゲームの好きな児童精神科医、吉川徹先生によって書かれました。
吉川先生は、発達障害の臨床に長年関わっておられます。
この本によると、未だに、ゲームやネットとのうまい付き合い方について、エビデンスのある科学的な見解はないようです。
でもこれは、実際にゲームに親しみ、複数のデジタルデバイスを使いこなしている吉川先生だからこそ書ける本であり、ゲームやネットとの付き合い方についてポジティブに捉えた稀有な本だと思います。
ゲームやネットを悪者にしない論調というのは珍しいのではないでしょうか。
ゲームとは、デジタルの世界とは何ぞやということから始まります
まず、吉川先生自身のゲーム遍歴から明かされ、各種ゲームの解説もなされています。
そして、ゲームのどんな要素が魅力的なのかまで書かれています。
もちろんゲーム以外のコンテンツについても万遍なく触れられていて、これまでデジタルにあまり縁がなく、子どもに置いていかれてしまったと思っている大人でも十分にその世界のことが分かるように、中立的にどちらかの立場に傾倒せずに述べられています。
こうして前提条件を読者と共有したうえで、ICTリテラシーのこと、使い過ぎを防ぐためにできること、そして何より気になる「依存」のことが書かれています。
こんなことが書いてあります
ここからは、本書の中で印象に残ったことを引用します。
本筋とは関係ない部分もあるかもしれませんが、それも含めて本書の魅力だと思います。
これまで、子どもとデジタルの世界の関わりについて不安に思っていたことが、すっと軽くなるようなことがこれ以外にもたくさん書かれています。
そして、何よりこの言葉は忘れてはいけないでしょう。
ネットやゲームは悪者ではない、ただ知らないだけなのかもしれない
本書では、ネットやゲームの一部分を切り取って描写して断罪するようなことはありません。
まずは、大人もネットやゲームの魅力をよく知ることが必要で、そういう大人からルールや約束の話をされたほうが、子どもも受け入れやすいということも書かれています。
そして、ネットやゲーム以外の楽しいこともあるということを伝えて見せていくことについても触れられています。
知らないものは怖いものです。
経験したことがないことを伝えることはとても難しいことです。
でも、この社会からデジタルの要素がなくなることは恐らくありません。
それならば、どうやったら上手に付き合っていけるのかを考えてみませんか。
百聞は一見に如かず!
子どもと関わる機会のある大人には、ぜひ読んでもらいたい本です。
悩む前に、不安になる前に、あなたの目の前にいるお子さんを思い浮かべながら読んでみてください。
きっと、ポジティブにデジタルと付き合うお子さんの姿が想像できるようになると思いますよ。