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学校と家庭から深まる学び

学校で生まれた「どうして?」の問い

先日、子どもが学校の授業でこの本を読んだ、と教えてくれました。
我が家ではお馴染みの本なのですが、学校で教材として読んで、どう思ったのか改めて聞いてみることにしました。
そうしたら、これまでに発してこなかった「どうして?」の問いが生まれていました。
でも、この「どうして?」の問いに答えはありません。
問いを持つことを止める必要はないけれど、答えを追求する必要のないことかもしれない、そういうこともあることを知ってほしいなと思いました。

ちなみにこんな本です。

動物園にはいろんな家族がいます。でもペンギンのタンゴの家族はちょっと違っていました。
ロイとシロのパパふたりとタンゴ、それがタンゴの家族なのです──。
ロイとシロのおすペンギンは、いつからかお互いに気に入り、カップルになりました。一緒に泳いで一緒に巣づくりして、いつも一緒にいました。
ところが、他のカップルは、ただ一緒にいるだけでなく、どうやら巣の中で何かをあたためている模様。しかもそうこうしているうちにそのあたためたものがかえって赤ちゃんペンギンが誕生しているではありませんか。
ロイとシロは、近くにあった卵の形をした石を拾ってきて、さっそく毎日毎日交替であたためはじめました。でも石のたまごはちっともかえりません。
そんな様子を眺めていた飼育員がはたと思いつきます。
他のペンギンカップルが育てられなかったたまごをそっとふたりの巣においてやります。そして、ふたりにしっかりあたためられた卵から、タンゴが生まれたのです──。

ポット出版ホームページより

(恐らく)先入観のないうちから読んでいた世界

色眼鏡やフィルターのかかっていないうちに、この絵本に出会ってほしい、という思いで2年ほど前にこの本を買っていました。
結果は、想像以上に子どもの世界は子どもの世界でした。
今年の夏に、この本を通じて話したことは以下の記事に書いています。

集団で学習することのよさ

きっと学校では、先生はもちろん、クラスメートの考えや意見に触れて、今まで疑問に思わなかったことにも気づいたことでしょう。
もしかしたら、自分では当たり前だと思っていたことは、他の人にとっては違うのかも、と思ったこともあったかもしれません。
こういう体験ができることが、学校教育、集団教育の利点でもあります。

子どもから投げかけられた「どうして?」

学校の授業を終えて、
「どうしてロイとシロは男の子同士なのにカップルになりたいの?」と訊かれました。
実は、この問いはこれまでありませんでした。

正直、この問いに答えはないと思います。

物理的に子孫を残せるかというと別ですが、パートナーを選ぶという点においては、生物学的な性を超越する何かがあるのかもしれません。
それに何事も100%ということはあり得ません。
雌雄の区別がある生物が必ず異性に惹かれるとは限らないし、そもそもパートナーを必ず見つけられるとも限らないのです。

ただ、その行動が多数派か少数派かということで、奇異の目を向けられやすいかどうかなんだと思います。
自分が多数派にいるときには、自分と違う行動をしたり、違う考えを持っている相手のことを「異端」だとみなしがちですが、そこまで決めつけてしまうのはナンセンスです。
まず、その違いを認められるかどうか、数の大小だけで正しいとか正しくないとかの判断はできない、ということに気付いてほしいと思いました。

他と違うことに理由もないし、変でもない

子どもには、こんな多数決の話をしてみました。
「休み時間に、ドッジボールをするか読書をするか」とクラスで尋ねたら、ドッジボールと答える子が多いかもしれない。
でも、読書と答える子が変なわけではありません。
人もペンギンも異性でカップルになるパターンがほとんどでしょう。
ロイとシロのように男の子同士でカップルになることは、そんなに多くないかもしれないけれど、そういう考えのペンギンや人もいるというだけであって、そこに特別な理由があるとか、そのこと自体が変とかそういうことではないんだよ、と伝えました。

分かってもらえたかどうかは分かりませんが、とりあえず今はこう伝えました。

ときには答えの必要ない問いがあることも

「どうして?」というのは、訪ねている本人にとっては純粋な疑問かもしれませんが、そこに明確な答えがないこともある、それを受け入れられる人になってほしいです。
自分と違うことに対して、「どうして?」と疑問を持つことは止められません。
でもそこに、本当に答えが必要なことなのかどうかは、少し立ち止まって考えてみてほしいのです。
(これは、すぐに理由を問いたくなる私への戒めでもあります。)

複数の場の学びをつなげる経験を

1冊の本でも、時間が経ったり、読む環境が変わったりすると、感想や意見が変わります。
そして、それを誰かと共有することでまた新たな発見があったり、考えが深まることもあります。
今回のように、学校でのこと、家庭でのこと、それぞれがつながって深まっていくような学習体験を一つずつ積み重ねられる経験ができたらいいなと思います。

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