環境が変われば自分の価値も変わる

こんにちは金曜お昼になりました。刺しゅう作家兼若手イラストレーターの展示をメインとしたギャラリーを運営している大図まことです。イラストレーターとハンドメイド作家のための「仕事とお金の授業」53回目となる本日のタイトルは「環境が変われば自分の価値も変わる」です。

実家に戻ってくるなと言われて

この前の年末年始に実家へ帰省した際、久しぶりに母親とふたりでショッピングモールのカフェでお茶をしました。そこで昔話に花が咲き私が学生だった頃の話になりました。私は今45歳で就職氷河期ど真ん中世代です。ご多分に漏れず就職先が決まらないまま大学を卒業してしまった息子を母は父と相談して絶対実家に戻さないことに決めたのだそうです。確かに当時帰ろうか迷ってたら帰って来ても部屋はないから帰ってくるなと言われたような気がします。その真意は私が家に戻ると甘えて何も自分から動かないだろうという思いからだったそう。さすが親です。息子の性格を熟知しています。

学生という身分を失った私は食べて行かなくてはいけないので一人暮らしをしていたアパートの近くにあったカクヤス(酒屋さん)で配達のバイトをしながら就職活動を続ける日を送ることになります。あの頃は誰にも何にも認められない自分がとてもみじめで辛い時期でした。

就職活動と並行してイラストレーターになる夢もボンヤリ持っててコンペに参加したり、ポートフォリオを作って出版社に送ったりもしていました。昼間はお酒の配達で体を動かしているのでそれなりの充実感があって就職活動もコンペも上手く行かないけどこれはこれで楽しい生活だなと思うようになっていました。仕事帰りに閉店間際のライフで半額になったお惣菜を買うのが生活の中の密かな楽しみの1つでした。パーフェクトデイズ青年の誕生です。

就職するのもイラストレーターになるのも難しいなと思いはじめ、当時流行り出したウェブデザインの学校にも夜間通いました。自分と同じ境遇の人が結構いてそれはそれでまた楽しかったのですが週一の授業を半年通っただけでは仕事に繋がるスキルを習得するまでには至りませんでした。喫煙所で仲間と夢を語り合っている時間はあっという間に終わってしまいました。

バイト生活が2年目に入った頃、配達のバイトの昼休みに寄った図書館でたまたま手に取った1冊の手芸本に影響されて手芸の世界に足を踏み入れます。自分のイラストを刺しゅうの図案として使ったら面白いのではないかと急に思ったのです。これだと思いました。

休みの日に池袋のキンカ堂へ行って材料を揃え見様見真似で刺しゅうを始めます。出来上がりは下手だけど何とも言えない味がある作品が出来た気がしました。mixiにアップすると反響がありそれから夢中になって毎晩刺しゅうをし続けることになります。パーフェクトデイズ青年2のはじまりです。


全く見向きもされなかったイラストのポートフォリオを手芸作品に変えたら一気にチヤホヤされるようになり気付いたらそれが仕事になっていました。メディアでたくさん紹介され、本も毎年出版され売れっ子になりました。最近4年間レギュラーで関わっていた子供向けのテレビ番組で使用される刺しゅうの仕事が終わり私の手芸の仕事は0になりました。帰ってくるなと言われたあの日から20年経っていました。

今は東京の東側でイラストレーションをメインとしたギャラリーを運営しています。きっかけは安直な考えからだったので始めたばかりの頃は経営が厳しかったのですが今はとても順調で毎日忙しいけどなんだかとても楽しいです。展示をご一緒する作家さんの気持ちがわかる自分に向いてる仕事だなと思っています。

▼参考 ギャラリーが順調なわけ


ここまでの話は全て結果論と言えばそれまでですがまとめると自分が目立てる環境を見つけられたと言うことです。ビジネス用語っぽく変えるとブルーオーシャンです。誰かと競い合う事が無いので価格で勝負することも無いです。就職氷河期に有名企業に就職しようとしたことも、みんながなりたい流行りの職業に就こうとするのも私にとってはレッドオーシャンでした。

これが自分のやり方だと気付いてからはみんながやりたいことはみんなに競い合ってもらって、自分は別の視点を持つように意識的にしています。例えば異業種の展示会に足を運んだり、普段読まないようなジャンルの本を読んでみたり。仕事をする場を移動するのもいいなと思って最近は地方出張を多くして自分の活動やアイデアをブラッシュアップしています。
ギャラリーの不安定な売上を解消するために企業スポンサーを付けたり工場と提携するアイデアはパソコンの前に座っていただけではきっと実現していませんでした。

2025年 運営するギャラリーのスポンサー


強制的に環境を変える

去年の11月頃フェイスブックのログインパスワードを連続して間違えてしまったらアカウントがロックされてしまいました。焦って何度も修復を試みようとした結果、また何度も間違えてしまったようで完全に入れなくなりました。笑

それまでほぼ毎日パソコンやスマホを開けばログインしっぱなしにして知り合いの更新を楽しんだりメッセンジャーでやり取りをダラダラとしていたのですが強制的にデジタルデトックスが出来てしまって今はなんだかスッキリです。フェイスブックで繋がってた皆さん大図は元気ですよ!

なんとなく今いる環境にストレスを感じてたり、停滞感を感じているのであればSNSをひとつやめるというのもおすすめです。

視点を変える。視野を広げる。

最近SNSでよくデザフェス落選したというポストを目にしませんか?こんなに落選する人が多いのであれば視点を変えて自分が主催者になるのはどうでしょう。いきなりあの規模は難しくても最初は仲間内10名くらいの規模からだったら出来そうじゃないですか?あなたが主催者になれば必ず自分を当選させることが出来ますよね。

個展の相談をしに来てくれた作家さんには自分でレンタルギャラリーを持つことも1つの案としてアドバイスしています。初期投資が少なくすむレンタルギャラリーは作家の副業に最適なんじゃないかと本気で思っています。スケジュールが空いたら自分の展示をすれば良いし一石二鳥です。私は常に良い物件が無いか探していますよ。

もしあなたがお菓子のパッケージのお仕事をしたいのであればいっそのことお菓子を作っちゃうのはどうですか?刺しゅう作家の私でも作れましたよ。

▼参考 上野と最近は和歌山でも大人気!


視野を拡げたり視点を変えればきっとまだまだ誰とも競わず自分が目立てる(活躍出来る)環境があるはずです。周りに同業者が沢山いて気づいていないのかもしれませんがあなたが絵を描けることも物を作れることも世の中の大多数の人から見たら特別な事です。


「環境が変われば自分の価値も変わります。」

20年前、あの時実家に帰ってたら私は今何してたでしょうか。それなりに楽しい生活を送ってたかもしれないし、そうじゃないかもしれません。確かなことは環境は自分自身も変えてくれたと言うことです。お母さん、お父さんこれからもお元気で。また近々帰ります。

それではみなさんまた来週金曜お昼にお会いしましょう!


■現在のギャラリー展示情報

私が運営しているTOKYO PiXEL. shop & galleryでは現在イラストレーターSTUDY優作個展「雑展8」を開催中です!今日1/17(金)から後期日程がスタートしましたよ。私は普段土日だけレジに立っていますがこの展示では金土日月火とレジにいます。是非遊びに来て下さい。

▼遠方の方は全作品開催中の通販ページへどうぞ
https://shop.tokyopixel.jp

STUDY 優作個展「雑展8」
会期:全体 2025年1月4日(土)~26日(日)
   前期2025年1月4日(土)~13日(祝・月)
   後期2025年1月17日(金)~26日(日)
時間:12:00-19:00
※14(火)15(水)16(木)お休み
※前期最終日13日(月)、後期最終日26日(日)は17:00終了


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