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俳句編11 夏の季語 土用・晩夏 慶應義塾中等部対策講座
梅雨明けの七月下旬から八月上旬にかけては、一年のうちで最も暑い時期ですが暦の上では夏の終わりです。この時期の季語が「晩夏」です。次のような句があります。
遠くにて 水の輝く 晩夏かな 高柳重信
白樺の 林明るき 晩夏かな 成瀬正俊
波はみな 渚に果つる 挽歌かな 友岡子卿
7月19日をすぎて、8月初旬の立秋までの18日間が「土用」です。
本来、「土用」と言うのは、春、夏、秋、冬の季節の変わり目がそれぞれすべて「土用」だったのです。これは中国から伝わる「陰陽五行説」に基づくものです。これは、春は木気(もっき)、夏は火気(かき)、秋は金気(きんき)、冬は水気(すいき)の気の哲学に基づくものです。木金土金水(もっかどこんすい)の五気を四季に当てはめ、季節と季節の間を土の気が動く、としたのです。
季節の変わり目は体調を崩しやすいので、夏の土用の丑の日に鰻を食べて英気を養うと言う風習が江戸時代から始まったのです。本来、土用は、春夏秋冬すべてにあるのです。
「土用鰻」だけでな沿海岸く、「土用蜆(どようしじみ)」もこの季節の風物です。そしてこの時期は「土用東風(どようこち)」という北風が吹く時です。日本沿海岸に吹く涼風で、特に近畿や中国地方の船乗りの言葉で「土用あい」という言葉もあるそうです。(俳句歳時記 夏 角川ソフィア文庫)
次のような句があります。
笠の下 吹いてくれけり 土用東風 一茶
細やかな 潮目の彩や 土用あい 荒井千佳代
青東風の 雲疾き中の 昼の月 大谷句仏
一方で、「土用凪(どようなぎ)」と言って風が全くなくなる時もあります。この時期は「風死す」と言ったりします。「土曜凪」は「夕凪」の一つで、風がピタリと止み酷暑で苦しむ時です。
子供たちがこの時期から夏休み入るのは理にかなっているのかもしれません。しかし、中学受験には夏休みはないので鰻を食べて頑張らないといけません。