【算数】「分数でわる」ってどういうこと?

今回は、分数の考え方はひとつではない、という話です。これは「分数でわるってどういうこと?」にもつながる話です。

「分数でわるときは、分母と分子をひっくり返してかければいいのっ!」で済ませてしまうのは、ちょっともったいないです。最終的にはそうやって計算するにしても導入の部分で子供の「なるほど!」「たしかに!」を引き出すことの意義は大きいです。

さて、わり算の考え方について考えてもらうために、まずは折り紙をしてもらいました。

チョコレートを作っております。子供が楽しんでくれそうなものならなんでもいいですが、何にしても楽しいことから始めたいです。

完成した12個のチョコレートを、何個かずつに分けて包装してもらいます。

「2個ずつラッピングしていったら、何袋できる?」

12÷2=6

このわり算の考え方は、「12個を2人で分けると6個ずつになる」という考え方とは異なります。今回のこのわり算は、

「12の中に2が6つある」

という考え方です。もっと噛み砕いて言うと、

「12を2で割るということは、つまり、12の中に2がいくつあるかを確かめるということである」

となります。

「2が6つで12になるのだから、12の中には2が6つあることになる」

そりゃそうだ、という話ではあるのですが、こういうことをイチイチ言語化して思考することに意味があります。算数でつまずく理由のほとんどは「文章問題でつまずくから」です。意味を考える力が何よりも重要です。

たとえば、

「64ページある本を、1日8ページずつ読むと、何日で読み終わりますか」

という例題を、わり算を習った直後にやると、「8×8=64」という馴染みの九九がぱっと見えるので、これはまあできます。が、

「1分に8cmの速さで進むカタツムリが、1m進むためには何分かかりますか」
(100cmの中に8cmはいくつありますか)

という問題になると、本質は同じわり算なのに、「速さ」という苦手意識のある単語が出てきたり、単位の変換が必要だったり、余りのあるわり算だったりするので、「わり算をする」というところにすらたどり着けなかったりします。(速さ問題も丁寧な導入が必要なのでそれはまた別の機会に)

考える力です、算数も。塾で子供を見ていると、なんでもできる子は絶対に国語ができます。

ちなみに、距離を60分で割るときは、「1(分)あたりの量を求めるわり算」です。これが理解できていると、「100(%)で割ると1(%)あたりの量が出る」ということが分かり、割合の問題も取り組みやすくなります。(割合の問題も、「比べられる数÷元になる数」という理解しがたい公式でゴリ押しされる小学生はかわいそうです)

ひとつひとつ、具体的な体験として「意味」を考える機会を作ってあげたいものです。

私は別に難関校を目指す教育は目指してませんが、なるべく低学年のうちに考える力を身につけてもらうことに関心があり、それさえしておけば後からなんでも目指せるだろうと思っています。

話をチョコレートに戻します。

板チョコが8枚あります。これをみんなで食べたいのですが、人数が多くて1人1枚は食べられません。

「半分ずつ食べるとした何人食べられるでしょうか?」

と聞くと単純なかけ算です。が、

「1人が2分の1ずつ食べるとしたら、何人分になりますか?」

と聞くとわり算になります。つまり、

「8の中に2分の1はいくつあるか」

という意味のわり算です。

「8÷1/2」という意味不明なわり算も、具体的にイメージできます。

「じゃあ、1人が4分の1ずつ食べるとしたら?」

そうやっていくと、4分の1で割ることは、4をかけることと同じだと、直感的に体験できます。

「そういうわけで確かめてみると、分数の割り算は、ひっくり返してかければいいってことになりました」

こう説明されると子供の納得度も高いと思います。

これで分数のわり算も、かなり入口がきれいになります。

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