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賃上げを促進するには "奨励金" or "減税"?【もっと良いアイディアあります】

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/660/752756
※大河内薫”お金の学び”ラジオ Voicy 2024年3月19日放送より

どうも、大河内薫です。
今日は賃金を上げるという決断を企業にさせるために減税をすべきなのか?あるいは奨励金を配るべきなのか?という話をしていきたいと思います。


◾️賃上げを促進するには

群馬県の賃上げ奨励金のニュースが結構批判されているのを見ました。

最近岸田首相が決定した政策に「賃上げ促進税制」みたいなものがあります。
これは、賃金を上げれば減税しますよというものですね。
計算や条件がすごく複雑なんだけど、この税制があると果たして企業は給料をたくさん出すのか?という話ですね。

これは極めて微妙だなぁと思います。
大手企業で毎年黒字で税金をたくさん払っていますというところは、じゃぁ給料のアップ率を考えてみるか…という議論になるかもしれません。
でも賃上げ促進税制の有無に関わらず企業は給料を上げていくと思うんです。結果的に減税になったらラッキー、くらいで捉えていると個人的には思います。
10〜15年ほど税理士の仕事をしてきて様々な企業に関わってきた感覚だと、節税が目的になる行動は基本的にはしないですね。

◾️賃上げ促進税制の弱点

実はこの賃上げ促進税制には致命的な弱点があります。

黒字企業しか減税を受けられないんです。
赤字企業は税金を払わないので、減税する余地がないんですよね。

だから黒字企業しか恩恵を受けられないという時点でかなり欠陥がある。
中小企業の7割は赤字決算を組んでいます。
当然ですよね。
40年間続く会社は1000社のうち2〜3社、というデータがありますから。
特に中小企業は赤字企業が多いので、賃上げ促進税制で賃上げをしてくださいと言ってもあまり効果がない気がします。

◾️賃上げ奨励金は効果あり

賃上げ奨励金は、給料をアップしたらお金あげますよというものですね。
これは僕が調べた範囲だと一定の効果を生んでいる感じがします。

国民民主党代表の玉木さんがXでポストをしていました。

春闘の賃上げ率が平均5.28%となり33年ぶりの高水準。
それでも「実感がない」
うちでは「無理」
との声も多数いただいています。
国民民主党は今、中小企業の賃上げを支援する政策を取りまとめています。
皆さんの意見を参考にしたいので、ぜひリプ欄にコメントお寄せください。

https://x.com/tamakiyuichiro/status/1769536534292701476?s=20

このポストに対して、いろんなコメントが来ていました。
建設的な議論をしているものの中では、根拠を載せてこんな事例がありましたよと書いてあるものがいくつかあって非常に参考になりました。

一番分かりやすかったのは、群馬県の事例です。

2023年度に導入して、300社が申請、1億2000万円の奨励金が支給された。
平均賃金は前年度比2.7%増加。
全国の増加率は1.4%だったのでそれを大きく上回った。

という話ですね。
そしてもう一つ大分県の事例です。

2022年度に導入して、200社が申請、8000万円の奨励金が支給された。
平均賃金は前年度比2.1%増加。
これも全国平均を上回った。

という話です。
奨励金だとある程度の効果はあるということですね。

給料を上げました、よろしくお願いします。と申請をするとお金がもらえるんです。
赤字も黒字も関係ありません。
黒字じゃなければ恩恵がない…ここがちゃんと塞がれているので、奨励金の方はある程度の結果が出ているということです。

◾️もっと良いアイディア

でも賃上げについては経営者の手腕とか経営者の一存で決まっていくものなんですよね。
だから減税も奨励金も中途半端だと思います。

群馬県では1億2000万円、大分県では8000万円を配った。
これだけお金を配れるなら、申請がなくても賃上げおよび手取りが増える政策をやればいいと思うんです。

例えばこの奨励金の予算を全部、社会保険料の減額につなげるとか。
社会保険料は消費税が5%上がる間に11%くらい上がっています。社会保険料は国会を通さずに上げられるので、ガンガン上がっていきます。これからも上がっていくだろうと言われています。

社会保険料の上げ幅に対して賃金の上げ幅が負けてしまった場合は、手取りが減る。
だから賃金が上がったとしても、手取りが減ることがあるんですよね。
これは大変なことですよね。

減税とか奨励金の一時的な政策に充てる予算があるなら、それを社会保険料の減額に使えばいいんですよ。それでいいんですよ。
社会保険料は本当に大きな影響がありますから。

例えば、厚生年金は労使折半で従業員と会社で半分ずつ国に保険料を納めています。
額面のだいたい15%くらいが天引きされています。月額20万円だと3万円です。労使折半なので、会社から3万円上乗せして6万円を納付しています。

予算を社会保険料の減額に使うなら、従業員と会社のどっちもが減額になるということです。
従業員の手取りは増えるし、企業経営は楽になります。
社会保険料の負担がちょっと減ったから事業投資しようとか、さらに賃金に回そうとか考える会社も当然ある。

減税や奨励金のような、その会社の志向とか会社の一存に委ねる賃上げ促進だとやらない企業も出てきますよね。
だから強制的に手取りを上げる、社会保険料の減額に予算を充てるだけでいいのかなと僕は思います。

◾️お知らせ

<プレミアム限定セミナー>
3月23日(土) 「インフレ時代の税理士事務所」

僕の税理士事務所(株)ArtBizの売り上げとか、インフレに耐えられるのか…という話を軸にセミナーを展開したいなと思います。
前半30分は僕がお話しして、後半はコメントを読みながらあらゆる業界の事情をみんなで考察していきたいなと思っています。

それから3月19日に日銀の植田総裁から発表があります。
利上げをすることが濃厚のようなので、インフレにちょっと待ったがかかるという感じは否めない気がします。
でもインフレマインド、デフレマインドをしっかり使い分けられる、そしてその中で自分の事業や仕事、収入や家計管理を考えることはとっても大事なことですからね。
そのあたりの話も含めてセミナーでしっかりお話ししたいなと思います。
気になる方はぜひ聞きに来てください。

<熊本市での「お金の授業」と寄贈式>

本日は熊本市のすべての小中学校、高校に本を寄贈するという寄贈式に出席してきます。
今回の寄贈式は学校で行われます。
熊本市の中学校で40分の「お金の授業」と寄贈式をしてきます。
本当にこうやってコツコツとやっていくことがとっても重要ですからね。
本を学校に置いておけば読んでくれる生徒も増えるので、コツコツコツコツと今日も頑張っていきたいなと思っています。
YouTube用の動画が撮れると思うので楽しみにしていてください。

それでは本日も張り切っていきましょう。

それでは、素敵な1日を。
最後まで読んでくれたあなたに、幸あれ✨じゃあね!

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この記事を音声で楽しむには
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