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ピラティスとは?自分なりにまとめました。

はじめに

僕は理学療法士になるため専門学生をしています。その中で理学療法士を目指したきっかけを聞かれると、

「ピラティスにはまって、もっと根本的な解剖学や運動学の勉強がしたいからです。」
と答えます。

すると、「ピラティスって聞いたことあるけど、何ですか?」と聞かれることが多いです。

「マシーンや器具を使って、ストレッチや筋トレを組み合わせたエクササイズで筋のアンバランスを修正します」
「元々は負傷兵のリハビリとして活用されていたエクササイズで姿勢を良くします。」
「インナーマッスルを活動させるので、疲れにくい体になります。」
‥‥‥みたいな感じでざっくりとした返答をします。

自分からピラティスが好きとは言ってますが、人に施した経験は乏しく、取得した資格もほぼ宝の持ち腐れ状態で、あまり理解が及んでいないかと感じました😅

なので、改めて自分なりに
ピラティスとはこういうものだ!
ピラティスにはこういうメリットがある!
と、まとめていきます!

(最初のほうは歴史や理論とかなので、3.ニュートラルポジションからでもOKです!)


1.歴史について

まず歴史についてざっくり『CONTROLOGY ピラティス・メッソドの原点』を参考に解説していきます。

そもそも、ピラティスって人の名前なんですよね。

ストレッチをするピラティスさん
80歳のころの写真

1880年にドイツで誕生した、ジョセフ・ヒューベルト・ピラティスが考案した独自のコントロジーという理論に基づいたエクササイズのことをピラティスといいます。
(コントロジーについては後ほど解説します。)

幼少期、彼はくる病、喘息、リウマチ熱などに悩まされていましたが、数々の身体訓練やスポーツを行い、14歳の頃には解剖学図のモデルになるほどの健康体を得たと言われています。

第一次世界大戦が勃発した1914年、彼はイギリスで捕虜となってしまいます。
この時に仲間の捕虜の健康のために活動を始め、これがコントロジーに基づく身体調節法(ピラティス)の始まりとなります。

1918年、ピラティスさんは収容所から解放され、ドイツへ帰り、軍警察の訓練や個人の顧客に教え始めました。

1925年アメリカへ渡り、後の妻クラーラと出会い、翌年の1926年にニューヨークでジムを開設し、ピラティスさんの顧客は上流階級の人々や映画スター、ダンサー、音楽家、サーカス芸人を始め、多岐にわたりました。

ピラティスさんは、
『コントロジーの技法と原理が広く受けいれられ実践されれば、精神的苦痛と身体的苦痛が世代を追うごとに軽減し、人生が真の喜びとなるはずだ。』
と考えていましたが、売り込みの甲斐はなく、ピラティス・メソッドは医療や教育機関の主流とはなりませんでした。

1967年、86歳でピラティスさんはこの世を去りました。

彼の死後50年以上たった現在、彼のメソッドは世界中の主要国で教えられており、医療現場でも取り入れられるに至っています。

2.CONTROLOGY

歴史についてのところで記載したピラティスさん独自の原理であるCONTROLOGY(コントロジー)には、
”体の筋肉の動きすべてを意識的にコントロールすること”
”体のメカニズムについて理解すること”
などの意味があります。

そして、ピラティス・メソッドを成功へと導く項目として、ピラティスさんは以下の8つの項目を挙げました。

①コンセントレーション
エクササイズをする際は常に正しい動きができるように集中して行うこと。
②コントロール
筋肉は自身の意思に従って動くことが理想的。
③センタリング
すべての動きは安定した体の中心から作られる。
④フロー
エクササイズは優雅で流れるように常に一定のスピードで行う。
⑤プリシジョン
指導は正確に伝わらないといけないし、どんなに細部にわたることであってもしっかりと掘り下げて説明しなければならない。
⑥ブレス
息を吐くときは、肺の中がまるで真空状態になるように、さらに肺から全ての空気がなくなるまで搾り出していくように。全ての動きは呼吸と結びついている。
⑦リラクゼーション
緊張することなく動きを習得すること。動作を行うためには最小限の筋だけを動かすこと。
⑧スタミナ
筋疲労は身体に対する一つの毒。

といった風にピラティスって結構細かい約束が多いのです。しかし、こういった決まり事を守らないとエクササイズの効果が得られなかったり、逆効果になってしまうこともあります。

そんな大事な約束の中でも特に大切なのは
ニュートラルポジション
だと思います。

3.ニュートラルポジション

ニュートラルポジションとは何なのか?と言うと、
文字通りニュートラルなポジション、中間位の姿勢。

いわゆる良い姿勢のことです。

運動学の教科書では横から見たときに
乳様突起、肩峰、大転子、膝蓋骨の後面、外果の前方が一直線上にあるのが理想的な姿勢と言われています。

理想的なアライメント

(ようは耳、肩、股間節、膝のお皿の少し後ろ、外くるぶしの少し前が一直線上にあるのが良い姿勢ということです。)

この姿勢では、関節への負担が最も小さく、あらゆる方向に動きやすい姿勢になります。

ピラティスでも同じようにとるべき姿勢があり、それがニュートラルポジションです。

ピラティスには、仰向け、うつ伏せ、四つん這い、座り姿勢、立ち姿勢とあらゆる姿勢でのエクササイズがあり、それぞれの姿勢にニュートラルポジションがあります。

一つの例として仰向けのニュートラルポジションを紹介します。
①仰向けになり、足と膝の幅は握りこぶし幅にします。
②足の人差し指と膝の方向を揃える
③手の母指球を骨盤の上前腸骨棘に置いて、人差し指は恥骨結合に向けて、手で三角形を作る。

上前腸骨棘(前腸骨棘)はズボンのゴムが引っ掛かるところで、恥骨結合はお臍を下にたどると触れられる骨です。
この三角形の面が天井と平行になるように骨盤を中間位にします。
④第10肋骨と上前腸骨棘が一直線上になるように、しっかり息を吐いて肋骨を体の内側に収めます。

第10肋骨と上前腸骨棘が一直線上にある

⑤肩がすくまないように、肩と耳の距離を長くするように脳天と尾骨で軽くス〜と引っ張りあう意識を持ちます
⑥顎は軽く引いて目線は天井方向

下の画像のようになります。

仰向けのニュートラルポジション

このニュートラルポジションをとった状態で手足を動かしたり、背骨を上から丸めて腹筋運動をしたりして、身体を制御しながら、筋を縮めたり伸ばしたりして整えていきます。

そもそもこのポジションをとること自体かなり難しいです。僕も最初は肋骨が収まらずかなり苦戦しました💦

なのでこのポジションを取りながら息を「ハー」と吐いて呼吸をするだけでも、かなりいい効果があります。

ピラティスは体幹を鍛えたり、柔軟性をあげたりするだけでなく、運動を制御することも学習します👍

4.ピラティスの利点

ここまでピラティスについて理論的なことを書いてきましたが、次からは僕が思うピラティスの良いところについて紹介してきます。

メリット1:姿勢の修正

良い姿勢というのは耳、肩、股間節、膝のお皿の少し後ろ、外くるぶしの少し前が一直線にある。
と、先程書きました。

しかし、この姿勢を取れている人はほとんどいないのではないでしょうか。
僕ももちろんとれていません。

というか、普段の生活で体を使ったり、デスクワークだったり、スマホをいじったりすると、まぁ姿勢は乱れます。

それにここで僕が言う良い姿勢とは、静止している状態で体への負担が少ない姿勢のことであり、絶対的正しいことではないと思います。
スポーツ選手に無理に”良い姿勢”を取らせることで、今までできていたことができなくなって、かえってパフォーマンスが下がってしまう、なんてこともあるようです。
(この辺のことについて話すにはまだまだ自分は経験不足なので、頑張りたいですね、、。)

姿勢のパターンは人の数だけありますが、
よく見られる不良姿勢を紹介していきます。

①円背ー頭部前方位
いわゆる猫背、頭が前に出ていて、背中が丸まっている。

円背ー頭部前方位

②スウェイバック姿勢
骨盤が前方に移動していている。

スウェイバック

③腰椎前弯姿勢
いわゆる反り腰で、骨盤が過度に前傾している。

腰椎前弯

④フラットバック(平背)姿勢
腰椎の生理的な前弯が減少し平らになって、骨盤が後傾している。

フラットバック

それぞれの不良姿勢パターンでは特定の筋肉が過剰に伸びていたり、過剰に縮んでいたりして、筋肉のアンバランスが起きています。

ピラティスでは、伸びて弱くなっている筋肉を鍛えて締めたり、過剰に縮んで閉まっている筋肉を伸ばしたりして、不良姿勢で起きている筋のアンバランスを修正するために沢山のエクササイズがあります

例えばこのリバースプランクというエクササイズでは、

リバースプランク

①の円背ー頭部前方位姿勢で短縮傾向にある胸前の筋を伸ばしつつ、伸長・弱化傾向にある背中の筋を入れるのに適しています。

また、マシーンで運動の方向や感覚をサポートしたり、個人に合わせた難易度を細かく調整できることも魅力的なところです。


メリット2:疲れにくい身体になる

よくインナーマッスルとアウターマッスルという言葉を聞きますが、どんな筋肉かと言うと、

アウターマッスルは、
体の表面にある大きい筋肉で関節を跨いで付着し、大きく関節を動かします。
大きい力を出すことはできる反面、細かい動きが苦手で、持久力に欠けます。
(例)
広背筋、僧帽筋、大胸筋

広背筋

インナーマッスルは、
体の深層部にある筋で、姿勢を保ったり、関節を安定させてくれます。
大きな力を出すことはできませんが、繊細に動くことができ、持久力が高いです。
(例)
多裂筋、横隔膜、腸腰筋、前鋸筋

インナーマッスル

アウターとインナーはどちらが良いとかではなく、どちらも大切な筋肉で、バランスよく使えるのが理想的です。

しかし、表面にあるアウターマッスルのほうが使われやすいので、アウターマッスル優位の体になってしまい、インナーマッスルが眠ってしまうことが多いです。

そうなると、
日常生活などでアウターマッスルばかり使ってしまい、細かい動きができず、疲れやすい体になってしまいます。

僕はアウターマッスルを鍛えるジムのトレーニングには詳しくありませんが、それだけでなくインナーマッスルを使えるような身体づくりも大切だと思います。

ニュートラルポジションでは、自然とインナーマッスルが入りやすい姿勢になるので、

ピラティスのエクササイズはニュートラルポジションを基本として、

背骨を一つひとつずつ動かしたり⬇️

ASB


ゆっくり小さな範囲で足を動かしたり⬇️

レッグサークルズ

インナーマッスルを刺激するのに有効!

メリット3.メンタルの安定

人間は呼吸、心臓の動き、食べ物を消化したりなどは、意識しないで行っています。
これらは自律神経によって制御されています。

自律神経には、
活動するための交感神経と、
休息するための副交感神経があり、
それぞれが拮抗した働きをしています。

交感神経は、
スポーツや緊張している時に心臓や肺を活発に活動させ、血圧や心拍数、呼吸数を上げます。

副交感神経は、
睡眠や食事、リラックスするときに働き、血圧や心拍数、呼吸数を下げます。

現代社会では、日々のストレス、食生活の乱れ、夜間スマホの光を浴びることなどが原因で交感神経のほうが優位になりやすいです。
そうなると、副交感神経が機能しづらく寝れない、イライラしやすく心が落ち着かない、といった不調が現れてきます。

そんな無意識に起こる自律神経の機能の中で意識的にコントロールできるものがあります。

それは呼吸です。

交感神経が優位になると、活動するためのエネルギーを得るために呼吸数が多くなります。

息を吸うときに交感神経が、吐くときに副交感神経が働きやすいと言われています。

なので、吸う時間のほうが長くならないように、ゆっくりした呼吸を意識的に行うことで副交感神経を優位にできます。

よく緊張したときは深呼吸がいいなんて聞きますがそういう原理なのです。
(吸いすぎる深呼吸はかえって緊張しやすくなるので要注意です。)

そして、呼吸を行う筋肉の中で最も大切な筋肉は横隔膜です。

この横隔膜が不良姿勢などで働きづらくなると、当然呼吸は浅くなり、自律神経は安定しません。

(また横隔膜が動きづらい場合、呼吸をするために首や肩周りの筋が代わりに働きます。
呼吸は1日に20000回も行っているので、横隔膜が機能しないと1日に20000回も肩や首の運動をしていることになるので、横隔膜を使った呼吸を学習しないと肩コリや首コリは治らないとも言われています。)

ピラティスのニュートラルポジションでは、
息を吐くことで腹斜筋を機能させ、横隔膜が働きやすくなるように肋骨を閉めてくれます。

他にも呼吸に必要な背骨や肋骨の柔軟性を確保するエクササイズが多数あります。

姿勢の修正とインナーマッスルが入ることで、
呼吸機能が回復し、自律神経が安定し、メンタルが改善するという効果が得られます。

最後に

パフォーマンスピラミッドという、トレーニングの順序を階層的に分類したものがあります。

パフォーマンスピラミッド

その中でピラティスは、関節の可動域・安定性や運動のコントロールなど、下の土台の部分の機能向上に有効だと思います。

土台部分が不安定なまま、一番上の競技や芸能系における特有のスキルを向上させるトレーニングばかりに固執していると、ケガをしたり、パフォーマンスが上がりづらいなんてことがあるかと思います。
自分はそんなタイプでした(・・。)

もし、技能獲得のための練習で上達しづらいなんて事があれば、もしかしたら土台の部分で不足している部分があって、ピラティスをすることで改善されかもしれません。

自分がピラティスを理解するため、少しでもピラティスを知ってもらおうと気軽な気持ちで書き始めてみましたが、結構長ったらしい文章になりました💦

もし、ここまで見てくてピラティスに興味を持ってくれたかたがいっらしゃれば嬉しいです。

では、ここで終わりたいと思います。
見ていただき、ありがとうございました!

参考文献
・「CONTROLOGY コントロジー ピラティス・メソッドの原点」 万来舎
・「ピラティスマットプログラム」
・「新しい体幹の教科書」 池田書店
・「基礎運動学」 医歯薬出版
・「新しい呼吸の教科書」 ワニ・プラス


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