ゆかりごはんと具なし味噌汁
うちの子供たちが通っていた園は最高の園だった。
決してお勉強のカリキュラムがしっかりしてるとか、習い事を選べるとか、英語で話すとかこれといってトピックになるような特徴はなかったけれど、本当にあったかい園だった。
懇談会でこんなことがあった。
保護者たちが「朝も夜もバランスよく食べさせてあげれていません」「偏食で栄養が心配…」と不安をこぼした。
すると栄養士さんが「園でしっかり食べてるから心配しないで家では食べれるもの楽しく食べてね!」と答えてくれた。
そして、日々忙しくて夕ご飯の支度が大変だろうと
月に何度か先生たちの手作り惣菜を販売してくれた。
子供をお迎えに行って、そのまま夕ご飯も手にして帰れるのだ。
代金は引き落としとこれまた手がかからないなんともありがたいシステム。
その頃、激務で身も心もボロボロだった私は何度もその温かいご飯に助けられた。
園ご飯は給食室で作った出来立ての美味しいご飯で、子供たちはみんな給食が大好きだった。
(私も大好きだった)
苦手がある子への工夫も労力を惜しまず、
白いご飯が苦手な子にはゆかりをかけたり、味を変えてみたり…
特定の食べ物が食べられない子は丁寧に抜いてくれた。
「手助けがあったらできることなら、どんどん頼っちゃお!」というスタンスだったので、
子供たちも「自分にとってはこれが良い」を尊重してもらうことが多く、誰かが一人だけご飯にゆかりをかけていても、味噌汁の具を全部抜いてもらっていても「ずるい!」と捉える子はいなかった。
うちの娘も偏食がひどく具材を抜いてもらうことが多かったが、
みんなが食べているとだんだん「一口だけ頑張ってみる」と自発的に食べられるものが増えた。
今では学校の給食で出された食べ物はしっかり食べることができる。
大切にされた記憶は、残る。
たとえその具体的なエピソードを忘れてしまったとしても、それは大きな宝物になる。
保育園があって、先生たちがいてくれて
だから今のわたしたちがいる。
子供たちに出されるゆかりご飯や具なしのお味噌汁には愛がたくさん詰まっていた。