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#読書感想文 私労働小説 ザ・シット・ジョブ ブレイディみかこ
革命を意味する「revolution」が
回転する「revolve」の派生語だったってのが今回の気づき。
シット・ジョブとは、
いわゆるブルーワーカー、労働者階級の中でも
ベビーシッターや介護従事者、保育士や夜勤者、販売員など
「低賃金重労働」の仕事に就いている人たちが
「クソみたいに報われない仕事」という意味で自虐を込めて称する言葉だそう。
あまりにも我が事のようでちょっと今情緒が不安定。
コロナ禍で「エッセンシャルワーカー」なんてちょっときれいな言葉が使われだして、
実際に英国在住の作者もあとがきで「変化の兆しは見られる」ようなことを書いていますが、
日本ではどうでしょうか。
以下は極めて私的な本書の感想文(実体験多め)です。
あまりにも我が事のよう、と前段で書きましたが、
販売員と介護従事者、そして保育ではないですが教育関係の仕事に就いていたことがあります。
販売員は二十歳そこそこの頃、バイトで。
大手シューズショップにて2年ほど。
自慢じゃないですが優秀な販売員だったと思います。
毎日閉店後の終礼でその日の店の総売り上げと全店順位、個人売上が発表されるんですが、何度も個人売上1位を取りました。
「高いシューズのコーナーに貼りついて足数を少なく売上を稼ぐ」作戦でのし上がったんですが、
当時のエリアマネジャーが「販売足数命」の人で喧嘩して飛ばされたので辞めました。
教育産業には長いこと浸かっていました。
海外事情は知りませんが、いわゆる受験対策用の私塾ってあんまりないんでしょうね。
これも完全にシット・ジョブだと思います。
ようやくいい上司に巡り合えてせっかく現場から足を洗って本社勤務になって時間にも心にも余裕ができたのに
他人の部下の尻拭いで半強制的に現場に戻され、崩壊しかけていた教場を立て直したのに売り上げが伸びないと年下の上司にネチネチ嫌味言われたので喧嘩して辞めました。
介護業界には本当につい最近までいました。
もともと本社勤務で幹部候補だったのに直属の上司が社内政治に敗れてグループ会社の介護事業所の現場に出向させられました。
蓋を開けたら体育会系の会社で「上司が残業しているのになぜお前は残らないんだ」とかいう人たちが上役だったのでその日の仕事をきっちり終わらせてほぼ定時で帰る(しかも幹部候補)俺のことも気に入らなかったみたいですが。
こうやって書くとなんか俺が悪いみたいですね(まあ少し自覚はある)。
ではなく。
俺個人の話がしたいんではなく。
著者もこの本の中で同様のことを書いていますが、
販売員も
塾の先生も
介護職も
多分向いていました。
人と接することが得意、なんです。
(好きとは言ってない)
街を歩いていてめちゃくちゃ道聞かれますからね。
出張先で聞かれたこともあるし、中国人に英語で「成田空港に行きたいんだけど」って聞かれたこともあります。
基本的にいつもニコニコしているので悪い印象を与えないんでしょう。
ウチの奥さんは昔付き合っている時「究極の安パイ」とよく言っていました。
ベタ降り。
それが彼氏(当時)に言うセリフかよ、と思いましたが今となってはさもありなんです。
じゃ、なくて。
シット・ジョブは
「しょうがない」を盾に取られる仕事、だと思います。
相手は認知症の高齢者なんだから
相手は子どもなんだから
お客様は神様なんだから
誰かがやらなきゃいけないんだから
しょうがない。
社会を回す大切な仕事なんだから
君たちがいないと成り立たないんだから
しょうがない。
これを「やりがいの搾取」という人もいますね。
情緒が揺れすぎて何書いてんのか自分でもわかんなくなってきたな…
教育現場でも介護の現場でも、
感謝されることが多いんですよ。
息子や娘の成績を上げ、志望校に合格させれば親が
認知症の父親母親が笑顔を見せれば息子や娘が
「本当にありがとうございます、あなた方のおかげです」
こう言うわけです。
その時は「苦労が報われた」と思うんですが。
本書でいうところのそれは「薔薇」で、「パン」ではないわけです。
「その薔薇は何よりもかけがえのないものだよ、決してお金では買えないんだ」
「いいえ、私はパンが食べたいのです。薔薇は食べられないでしょう?」
「こんなに素敵な薔薇をもらったっていうのに、パンが欲しいなんて浅ましいわね」
これがシット・ジョブです。
すべて「自分のソウルによくないと思ったから」辞めました。
「逃げた」と思ってもらっても構いません。
逃げ続けるのだってエネルギーがいるんだぜ?
明日から新しい職場に行きます。
今日読んで良かったと思います。
「シット・ジョブ」が本当に過去の言葉になることを祈って。