現代ニッポン、6つのキラー・キャリアパス
お腹、すいていますか?
こんにちは。「人を選ぶ技術」著者の小野壮彦です。
10月初めまで意味不明に引っ張られた酷暑がすぎ、ストンと気温が下がった祝日の今朝。
車をドライブしながらいつものJ-wave。「My first Tokyo」という、上京した若者の物語を扱う企画のようです。ゲストの小野賢章さんという、声優の方のお話に、ふと古い記憶が蘇りました。
僕と同じ苗字の若者が吠えます。
なんか笑っちゃいました。
そういえば俺も大学時代、最初の一人暮らしをしていた、阿佐ヶ谷で吠えてたな。くそーって。レッチリ聴きながら。
とにかく金持ちになって、お腹いっぱいご飯食べたい。そういう思いは、16歳も年下の小野さんも一緒だったんですね。
それはもしかしたら、現代の東京に上京したばかりの学生も、昔と変わらず、そうなのかもしれない。
今日は、そんな今の時代における、一般人が「目指すべき山」はどこにあるのか。そんなことを書いてみたいと思っています。
ぼくは、お金持ちを、たくさんみてきました。
エグゼクティブに特化した、ヘッドハンターでしたから。
毎年億単位のお金を稼ぐ人たちと、友達になり、人生を語りました。
そんな人たちも、駆け出しの頃は、お腹がすいていました。
成功する人は、例外なく、エネルギーがあります。
エネルギー補充をしないといけない量が、すごいんで(いろんな意味で)。そんな方々は、みんなこう言います「余裕がなくて、いつも怒っていたな」と。
このタイプの怒りって、誰かに怒るとか、キレるとか、そういうことではないです。
なさけない自分への怒り。
こんなはずではなかった。
という怒りです。
さて、今の時代、こういった、エネルギーを持った人たちが、「いったん」怒りを収められる収入って、どのくらいなんでしょうか。
毎年2000万円を稼ぐ。それも単年ではなく中期的に。
というのが、いろんな方々をみて、自分でも体験してみて、弾き出せるラインだと考えています。都会は意外と、年収1000万円プレーヤーに優しくないです。
年収2000万円を超えるキャリアとは。
年収2000万円を超える人とは、どういう人でしょう。
ここでは、芸人、スポーツマン、医者、政治家などの特殊才能系と、自分で勝負する勇気がある、商売人や起業家は外します。
雇われビジネスマンに限定するならば、そのパス(path)は、ざっくり6つに集約されます。
いくつ思いつきますか?
もはやオワコン?の大企業幹部モデル
最初に触れたいのが、大企業に勤めて役員になる。という伝統的なパスについて。
昭和のオヤジ世代はこれを、唯一の現実的なパスとしていたように思います。
でも、50代でトップクラスの人材になるのでは遅くないですか。世界では50代のエグゼクティブは、人生の手仕舞い世代ですからね。
だいたいにして、人間40歳を超えると、頭の中も身体も、代謝が悪くなります。文字通り食べる量は減りますし、学ぶことも億劫になる人が多い。
50代で役員になると、突然収入は増え、会食も増えます。
たいして空いていないお腹に、いきなり大量の「燃料」をぶちこまれますので、かなり無理が効く、丈夫な人でないと難しい。
社長後継レースに最後敗れるひとたちの中には、一定数、体調問題で脱落するケースがあります。ぼくの知っているとある大企業のエースも、それでやられました。表に出ませんが、結構多いんですよね。生き残る人たちは、とにかく動物として強い。
「結局最後はDNAかよ!」と嘆いても遅いのです。
現代社会の勝ち組サラリーマン・モデル
30代、40代で元気に世界中を飛び回り、夜中に海外と電話会議をしても倒れない。
体力があって元気な時にバリバリ稼ぐ。
年収の放物線のピークを、高く・手前に。
それが世界の標準です。マジョリティです。
この円安ニッポンで、30代、40代で、ざっくりと10年間平均で考えた場合、期待年収が2000万円を超えるキャリアパスなんて、いくつあるのでしょうか。
キーエンスで働く!とか、個別事象を除いて、群として認識できるものをパスとするならば、前述のように、それは「6つ」しかないんです。
それが、この図となります。
Path 1: プロフェッショナル・ファーム
まず一つ目。
プロフェッショナルファームとは、弁護士、会計士などの資格商売。
それから、コンサルティング、金融ファンドマネージャーなどを指します。
まあこれは、わかりやすい。いかにも現代的です。
なお、それだけに、レッドオーシャンでもあるので、生き残りは大変です。
マネージャークラスより先へ突き抜けることに失敗すると、プライドだけが無駄に高くて商売に疎い、「高級文房具」と化し、頭打ちの人生になってしまうリスクはありますね。
Path 2:外資系エグゼクティブ
次に二つ目、外資系事業会社でのエグゼクティブを目指すパスです。外資は年功という概念がないので、若くても気合い入れれば勝てます。
この現代日本でも、英語ができて仕事ができるよ。という掛け算には、大いなる底上げマジックがあります。情けないことに。
多少仕事が微妙でも大丈夫。ただ、英語は必須ですよ。
ちゃんと出勤して、外人の上司と夜の寿司屋で楽しく会話して、ミスった時に釈明がちゃんとできる英語を話せるだけで、30代で2000万円を超えます。
一方で、外資はここ雇用保守大国ニッポンでも、平気でレイオフ(実質的な)をかまします。また、60代はもとより、50代の人材に対する風当たりは非常に厳しい。退職金ももちろん、ほぼありません。
キャリア・メイクに行き詰まった40過ぎの外資人材が、中小企業に入って居座ったり、コーチングとか採用エージェントなどの世界に流れ込んだりする絵図をよく見聞きします。
でも、それでもよろしくやっている人が多いので、日系企業の窓際社員よりは、爽やかな感じを受けますね。
Path 3: コミッション型セールス
英語ができなくても、学歴が多少劣っていても、一発逆転の道はあります。
三つ目。それはコミッション型セールスの仕事です。
固定給が低いのでリスクがあるのですが、だからこそ勝てた時は大きい。特に大きな保険会社のセールスは、2000万円はアッパーミドルクラス。
トップクラスでは、1億円超えて稼ぐ人たちもいます。
セールスは本当に「ポータブル」な才能で、業界や商品を変えても、どこでもしぶとく結果を出す方が実に多い世界です。再現性があるんでしょうね。
一方で割と、ライフスタイルが奔放になる方々が多いのがこの世界で、稼ぎも大きい代わりに、浪費や投資でガンガン使う傾向があるので、ついていくパイセンは選んで、上手にやらないとリスキーなキャリアとなります。
Path 4: プロ経営者
四つ目は、プロ経営者。これにはバイアウトというケースや再生というケースがあります。世襲以外のプロ型というイメージですね。
これは一つ目のプロフェッショナルキャリアの進化系とも捉えられますので、ちょっと独立カテゴリーかどうかは怪しいのですが、実はプロファームに長く居すぎると、プロ経営者パスからは遠ざかります。
むしろ事業会社でライジングしたあと、この立場になる方々(商社やリクルート出身とか)が多いのが面白いところ。
一方、このキャリアの課題となりやすいのが、バーンアウトです。
決して好調ではない。いや、むしろ問題だらけの会社だからこそ、プロ人材を外から求めるわけです。ストレスにさらされない訳がない。
それが宿命とも言えるのがこのパスですので、多少メンタルが強いというくらいでは不十分。日常生活に問題がでていそうなレベルの不感症な方以外、成功しない。と言い切っていいかもしれません。
Path 5: メガベンチャー・エグゼクティブ
そして五個目。それはメガベンチャーエグゼクティブです。
平成以降に上場したベンチャーは、昭和時代の年功序列型ペイアウトから決別した会社がほとんどです。
楽天・メルカリなどに代表される、グローバル展開メガベンチャーは特に、報酬の内外差による、社員の不平不満をおさえるため、日本で仕事しているのに、海外水準の給与を得ています。
それによって、特にスーパーエリートでもなく、英語が微妙な、そこそこのエリートでも、昭和型大企業に勤める方々からみたら、「お前らなにそれ、チートやん」的な収入を得られます。
一方でみなさんが悩むのは、簡単には潰れないメガベンチャーとは言え、業績の浮き沈みリスクとはまだまだ無縁なこと。
勝ち馬を見つけることと、相性のよい経営トップを見つけることは簡単ではなくて、マッチングが点と点というより、針をさすような様相を見せることが多いです。
さて、ここまではある程度、都会で社会人を送った人たちなら気付けるパスでした。
最後の六個目が、実はまだまだ大きなアービトレーションが期待できる、ゴールデンパス。「スタートアップCXO」です。
Path 6: スタートアップCXO
一昔前は、ベンチャー役員の報酬は、たいがい月100万円(年収1200)が相場感で、なんとか生活をしのいで、上場のストックオプションに全てをかける。というギャンブル体質の世界でした。
しかし、これもメルカリが牽引したと思うのですが、ここ10年ほどでスタートアップCXOへの報酬レベルはあがっています。
今や、2000万円台の期待年収が、本部長クラスで稼げる仕事になっているんです。
さらに、これに加えて株式報酬が乗っかってきますので、うまく当たりを引けば、年換算で5000万円を超える収入は部長レベルでも全く無理な話ではなくなっている世界です。
この、スタートアップCXOには特殊性があって、会社が大きく成長したら当然株式価値が高くなります。
そして当たり前ですが、上場やM&Aで株式の現金化ができると、収入は跳ね上がります。ストックオプションやRSUが大きい。
ただし、会社が残念なことになったときには、リスクが高くて収入が低いという結果にもなり得ます。上記の5つのパスに比べたら、リスクが高めであることは、触れておかないといけません。
でも、ここで声を大にして言いたいのは、このスタートアップCxOとは、現代のジャパニーズドリーム・パスなのです。
10代、20代のみなさん、スタートアップを目指しましょう。
他領域でキャリアを築きつつある30代の皆さん、スタートアップを目指しましょう。
プロ経営者の40代・50代のみなさん、最後はやっぱりスタートアップじゃないですか。
大きなインパクトを社会に起こしたい。
それによって自分自身が生きてきた爪痕を残したい。
そんな「おなかのすいた」方々にとっては、とても魅力的な道だと思いませんか。
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