ビンボー起業⑦なりたい未来の自分と、越えなければならない壁。の話。
前回まで↓
私の就職活動が始まった。
この頃、息子は1歳と7ヶ月。
数ヶ月にわたる、職業訓練もいよいよ卒業の時が近づいていた。
働き方を考えることは、自分の生き方を考えることと同じ。
職探しにあたって、私がまず考えたこと。
お給料面もそうだけど、1番大切にしたのは、
これから先、私はどういう風に生きていきたいのか。
そこを考えた。
人生に於いて、多くの時間を「働く」という行為に費やす。
それはつまり、働き方を考えることは、自らの人生をどのように過ごしていくのか。を考えるのにほぼ等しい。
私自身、4人兄弟で育った。
おかずやおやつを、いっつも分けなきゃいけなくて、
1人あたりの取り分が少なくて、文句ばっかり言ってたけど。
それでも、兄弟みんなでワイワイしてるのは楽しかった。
だから、産めるのであれば、子供はなるべく多く産みたいなー。
という気持ちがあった。
多く産むと言うことは、お金もかかるし、
核家族の我が家は、子供の体調不良や行事など、有事の時は夫婦だけで対応していかないといけない。
そうなると、在宅ワークなどがベストだろう。
けれど、在宅で私に何ができる?
その当時私が履歴書に書ける資格といえば、
・英検2級
・漢検準2級
・普通免許(マニュアル)
何だこれ。
ぜんっぜん使えない!
強いていうなら、AT限定の運転免許ではなくマニュアルだから
車両総重量が8トン未満のトラックが運転できることくらいだろうか。
当時、「軽トラが運転できないと困るだろうから」
という謎の思い込みで、マニュアル免許をとった。
なぜに、そこまで私は軽トラにこだわったのか。
そして、軽トラでもAT車がほとんどだよ。今は。
謎の、マニュアル免許である。
まぁとにかく、びっくりするくらい役に立つ資格を何も持ってない!
ひとまずは社会に出て修行が必要だ。
と言うことで、私が探した仕事はデザイン関係のお仕事。
せっかくなら職業訓練で学んだ事が活かした仕事がしたかったのだ。
現場で経験を積ませて頂いたら、
ゆくゆくは独立して在宅でデザインのお仕事なんかが出来たら、最高じゃないか!
そしたら2人目産むのも夢じゃないなー
なんて淡い期待を抱きつつ。
だから、いつかは子育てしながら在宅ワークをするんだ。
と、この頃から漠然とイメージはしていたと思う。
なりたい未来の自分と、越えなければならない壁。
でも、現実はそんなに甘くない。
そんな数ヶ月ちょろっと学んだ位で仕事に出来るわけがない
探せど、探せど、実務経験不足という事で、応募資格にすらかすらない。
そりゃそうだ。
やっとこさ、いくつか面接までこぎつけたが、
面接時に自分の作品を何点か提出しなければならなかった。
それからは連日徹夜で作品作りの日々。
これがまた、まだまだ素人同然レベルのスキルなので、作業に時間がかかるのなんのって。
それに相まって息子はまだまだ夜泣きが続いていたので、
息子が夜泣きする度に作業を中断して、寝かしつけたら、また開始。
そんなことを、2時間に1回は繰り返し。
ふと気付くと朝。
窓の外でチュンチュン言ってるでねーの。。。(抜け殻)
そうして、朝の支度をして息子を保育園へ送り、職業訓練へ。
そんな日々を送った。
講師の先生にアドバイスを貰いつつ、なんとか数点作品を仕上げた。
そして、何社か面接を受けた。
作品を提出するけど、所詮素人が作ったもの。
鼻で笑われるようなことも。笑
自分でも、人に見せられるようなレベルのものではないことも分かってるだけに、辛かった。
でも、これが私の今の精一杯だ。
そして、大概言われるのが、
「え???子供居るの?」
って言葉。
当時私は24歳。
背も低く童顔なので、パッと見では子持ちに見られにくい。
職歴の後の、家族構成?のような最後の欄のところまできて、
だいたい、そこを突っ込まれる。
その
「子供居るの??」
に続く言葉は大体これ。
「他に誰か見てくれる人居るの?子供が熱出した時とか。」
私が、「あいにく、子供を他に見てくれる人は近くには居りません。。」
と答えると、大概の面接官は
「うーーん。。そうか。。」
と黙ってしまう。
よく考えてみれば、
実務経験もない素人。
しかも、子持ちで、いつ突然休むかどうかも分からない。
残業もできない。
そんな人材、会社にとってみたら雇いたいわけがない。
中小企業で、どこもそんなに余力があるわけではない。
実務経験なし、特に目立った資格なし、子持ち。
そんな人材を雇うのはメリットが無さすぎる。
それでも、私の中には「こう生きていきたい」というビジョンがあったから
少しでも、そのビジョン実現に近づけるよう、その糧になるような仕事に就くために、諦め悪く面接を受け続けた。
「なりたい未来の自分」が設定できても、
そこへ辿り着くまでには、気の遠くなるほど高い壁がいくつもあるんだということを、思い知らされた。
もう職業訓練の卒業は目前に迫ってきていた。
いよいよ就活も終わりが近づいてきた。
そんな中、物凄く好意的な対応をして下さったデザイン会社があった。
社長さんは、中学生のお子さんがいらっしゃる女性。
事務所も、自宅兼オフィスという感じで、従業員もみんな主婦の方ばかり。
就業時間の融通もきくし、何より私の人柄を気に入って下さった。
面接時には、美味しいお茶を出して頂き、子育ての事、将来の事、
色々お話をして下さった。
私のヒドイ作品集を見て、息子の夜泣きの中作った事を話したら
「頑張ってて偉いね。」
なんて優しい言葉をかけてくれて。
その瞬間、涙が溢れ出してきて。
私は気付かれない様に必死にこらえていた。
素敵なお庭のある、可愛らしいお家にある自宅オフィス。
大きなわんちゃんが居て、子育てをしながら働いている仲間のいる職場。
その時、私は漠然と、こんな会社を私もいつか作りたいな。
そんな風に思ったのを覚えている。
その時に漠然と芽生えた気持ちが、後に私に起業という選択をさせたのかもしれない。
一通り面接のやり取りを終え、あとは結果を待つのみ。
社長さんは面接の最後で
「実は、面接をしてみて、良いな。と思う方が小野さんの他にあと一名います。かといって申し訳ないけど、2人雇えるほどうちに余裕がないので、どちらの方にするか、よく考えてからお返事させて貰いますね。」
それから数日後、珍しく久しぶりに外食でもしようか。
と出かけていた時でした。
携帯に着信。
あのデザイン会社の社長さんからだった。
社長「小野さん、何度もお家の電話に連絡したのだけど。。」
私「あ、すみません、今外出してまして。。」
社長「そうだったのね!実は早急に人手が必要な仕事が入ったので、小野さんにお願いしようと思ってたんだけど…」
お?!
ついに内定か?!!!!
と思いきや。
社長「…でもね、本当に早急に人手が必要だったから、小野さんなかなか連絡つかなかったから、もう一人の方にお願いしちゃったのよ。。ごめんなさいね…」
私「……」
よりによって、連絡先電話番号を、携帯ではなく家電にしていたのです。
携帯番号は、その下に小さく…
な ん と い う こ と だ
普段、外食はお金がかかるから、滅多にしない我が家。
でも、最近就職活動で疲れ切ってた私を見かねて
気分転換に、夫が食べに出ようと誘ってくれた。
よりによって、こんなタイミングで。
もう、ショックなんてもんじゃない。
せっかく、私の理想とする職場で働けるチャンスだったのに。
外食どころではなく、電話を切ったあと、私は車の中で号泣。笑
そんな私の様子を見て、夫も
「外食に誘った俺が悪かった…」と、しょんぼり。
人生って、つくづくうまくいかねーなーーーーー
もう、投げ出したくなった瞬間だった。
でも、いつまでもメソメソしてる暇はない。
生活がかかってる。
私が働かなければ、また我が家の米びつが空っぽになるかもしれない。
子供が居る今、そんなことにするわけにはいかない!!!!
そう、母は強し。
そうして翌日から、また怒涛の就職活動開始。
この一件から、何かが吹っ切れたのか、
お給料も高いけれど、書類審査や筆記試験もちょっと難しい感じの、
なかなか難易度が高い職場にも思い切って挑戦するようになった。
そうしたら、なんとか2社から書類審査通過の知らせが届いた。
そのうちの一社は、かの有名な リ○ルート。
こちらは無事に筆記試験もパスして、あっという間に一次面接も通過。
次の2次面接を通過したら、内定をもらえる!
という所まで進んだ。
けれど。
ここはさすが私の人生。
そううまくはいかなかった。
「一次面接合格されたのですが、やはりお子さんがいらっしゃる事を考慮すると、うちで働くのは小野さんの負担が大きすぎると判断しましたので、ここまでということに。。。」
と、まさかの「二次面接中止のお知らせ」
なーんーだーよーーーー!!!
だったら最初から不合格にしてくれ!!!!!!
面接の時に、子供いるって言ったじゃん!
その上での通過じゃなかったの?
何だよ!
面接中止って!!!
そんなの聞いた事ないよ!
さすが天下のリ◯ルート、不合格告知も一辺倒じゃなくて面白いな…
って、面白くないわー!!
期待させんなー!!
ってな、何ともおもしろ残念な結果に。
とっても働き甲斐のありそうな仕事だっただけに残念だった。
そして、もう一社は、大分の地元情報誌(こちらは後に出てくるある事情の為名前は伏せさせて頂きます)
こちらも、面接を無事に通過し、
なんと、この就職活動で初めての
【合格】
を頂くことができたのだ!!!
しかも、こちらの会社は、福利厚生の中に「託児施設の補助」というものがあった。
という事は、子持ちの方も働いているという事。
なんて、有難いのでしょう!!!
そこの社長さんから電話がかかってきた。
……
ごめんなさい、疲れました…