ちょっと大人になってしまった
いつからだろう、誰かのことを(それが特定のだれであろうと誰でもなかろうと)気にしながら生きるようになってしまったのは。
そんな息苦しい大人になってしまった私がいる。
それでも、私だって私を嫌いにはなりきれない。
そんなときの私の精神安定剤がある。
心の中に、綺麗な部分があると信じたくて、本棚の中できらっといつも光っている『星の王子さま』を読み返した。この本は何度も何度も読みかえし、不思議と涙を流し続けた本だから。涙が流れるたび、私はまだ汚れきれていないように思えるのだ。
サン=テグジュペリ
倉橋由美子訳『星の王子さま』
意気揚々と読みすすめ、ペロッと好物を口にしたときのようにすぐにのみこんでしまうのがこの本だ。そう、やはり好きな作品である。
愛とは何かと考え直したり、失ってしまった大事なものを取り戻せる感覚になるはずだった。さあ、あの純粋な気持ちにであえるだろうか、と心の色彩をゆっくり描き出す。
しかし、んー。
心に残る気持ちの様子がおかしい。
いや、これは不思議な感覚だ。
倉橋さん訳の『星の王子さま』は初めて読んだ。なんだか、言葉の響きを重視して、色々な批判を恐れずあえて使うのならば…
なんだかアダルトな作品だと思ったのだ。
王子は「おとなはいつも…」と批判することで、自らを大人ではないものとして認識させようとしているけど、“愛しているのは花だけ、でも旅に出ざるを得なかった俺をゆるしてくれ”という、なんだかさだまさしの関白宣言(年齢の割には古い?)のようなちょっぴりオラオラな男性っぽさが見え隠れする。星の王子さまは子供心の象徴だと思っていたけれど、いや、王子も、ははあ、大人なのか、と思う訳だ。あら、王子ったら、軽い浮気を許してくれヨォっていってるのかしらん。
王子さまが星へ帰る描写は、いつも涙ちょちょぎれなんなけど、昨日ばかりは、大人と子供という社会の中のカテゴリーとしては、自分はこちらに分けられているので、その中で生きていこう、そもそも言葉の定義なんてあってないようなのに、囚われていた気付いた自分にそっと気付いたような描写に見えてくるわけです。王子は消えざるを得なかったわけだと。
訳者の違いによる文章のカラーなのか、
はたまた私の精神状態だろうか。
もうこの作品で涙は出ないかもしれない。だって、この作品が悲しい物語にはみえなくなったんだもの。
でも、それはそれで、良いのかもしれない。
この文章も意味があってないようなもの。
あーだこーだ本について考えていたら、悩んだり、心配するという行為を忘れていた。自我がどうあろうがなかろうが、そう、それでいいのだろう。王子さまと主人公にもうちょっと近くなった気がする。よくも悪くもちょっと大人になってしまった自分に乾杯。
そう、いつもながらこの本に感謝する。
そして、『新訳 星の王子さま』の完成を待たずして急逝してしまったという、訳者の倉橋由美子さんにも大きな感謝を。。綺麗な星に、あなたを思います。
まとまっているようでまとまっていない、
雑文にお付き合い下さり有り難うございます!
ビール3杯とカクテル数杯を飲んだ酔っ払いの1人ごとだとお許しくださいませ。てへ!
さて、酔っ払いの時間にもう少しお付き合い下さい。
せっかくならば、ワインでも酔いませんか?
Comtes de Champagne Blanc de Blancs
[2006] (Taittinger)
テタンジェは1734年に創業し、今なお家族経営を続ける大手メゾンです。
ちょっと私に嬉しいことがあって、お祝いでお客様がくださったもの。じーん。
コント・ド・シャンパーニュとは、シャンパーニュの伯爵という意味になりますが、その名を冠するにふさわしい味わいが。そして素晴らしい出来栄えの年しか作られないミレジムです。2006は全体的に高温だったようですが、出来は最高ですね。シャルドネの繊細さと美さといったら、もう。10年ほどの熟成期間を経たシャンパーニュは、華やかさと凛としたたたずまいで存在感を放ちます。
ブリオッシュの香りがフワッと広がり、レモンやライムのフレッシュな香りが二歩ほど下がったところに感じられます。
口に含むとなんと滑らかなテクスチャー。
余すことなく口の中で回転しながら喉を通る。
レンギョウの花がくるくる回転しながら高いところから下に落ちていくような優雅さよ…。小さい頃黄色い花を落としてくるくる回るのを眺めるのを見て遊びませんでしたか?それそれ。
色彩や景色や音が浮かぶのは、私が仕事でワインに携わる中で、お勧めしたいと思うワインの条件。
ブラン・ド・ブランはこうであってほしいという私の理想を形にしてくれました。
高級シャンパーニュの部類ですが、
大手メゾンのプレステージものとしては、
納得させられる金額感と安定感。
うん、素晴らしい、美味しい。
ありがとうございました!
思いつきで書き連ねるけれど、
初恋を思い出すような、シャンパーニュはそんな存在。純粋さはいつでも心の中にあるから。
大人になってよかった。今日も自分の人生を愛せそう。
あとね、
昨日は、久しぶりに英会話の先生をやっている
友人とゆっくり過ごせまして。
言語を学ぶのは面白いなと思わせてくれました。
そして、人は変わるし、長い付き合いの友人も会うたびに違う魅力を見せられるから、不思議。
ありがとう。
ではでは。
Hope to see you again soon.
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