「見捨てられ不安」と依存的な愛情
他者との関わりが親密になることを恐れる人は、心のなかで愛着の対象の存在が大きくなればなるほどその対象に「見放されるのではないか」という不安が増大し、精神的な恐慌に見舞われることから、その危機を無意識に回避しようと試みる(いわゆる「見捨てられ不安」)。この人の中では、一方では愛着ある他者に対して全面的に依存したいという欲求が持ち上がり、もう一方ではすぐにでもこの人から離れなければ「丸呑み」にされてしまうという恐怖が両価的に湧き上がる。この不均衡は、依存的な愛情の対象に向けてどこ