満たすものは満たさないものに劣る
前回、前々回の文章では「絶対否定」「相対否定」の視点から、自己愛といわゆる自己肯定の違いを論じた。
自己愛は基本的に、「私は〇〇である(持っている)」「私は〇〇ではない(持っていない)」という条件を取って「良い自分」と「悪い自分」の二元論的直線上に自己を置き、その条件を満たすことと満たさないことにおいて自己を評価する種の愛情である。そして、自己否定は「〇〇でない自分」という否定的要素をとって自己を定義し、そのじつ「相対否定」という範囲内で「自己を愛し」ているというものだった