「すばらしき世界」【映画は観たけれど】
任侠好きとしては『やくざと家族』を見なくては、と思っていたはずが、映画料金の高さにおののいて平日足を運ぶことができずじまい。映画の日に運よく見ることができたのが本作だった。
今の世に生きることのままならなさに、役所広司演じる元やくざは直面する。「落ちこぼれ」側である、若いテレビマンの視点を中心に物語は展開していく。どこかドキュメンタリー風でもあり他人事のような側面で見てしまった。話の登場人物を面白がる、安全圏から眺めるいわゆる視聴者感覚というものだろうか。ゆえに予想通りにはいかない結末に「現実」を思い知らされるというもの。
西川美和監督の才能にあこがれる。人を真摯に見つめ、いいところも、悪いところも、丁寧に描き続けている。いつも生きることの頑張りどころ、みたいなものを感じ取ってしまう。
令和のやくざ映画とはなんだろう。すでにフィクション世界でしか生きられない”やくざ“。一体何を映し出すのか。あこがれ 続ける私も一体何を求めているのか。
観た日:2021年3月
2021年5月に発行したフリーペーパー『映画は観たけれど』に掲載した原稿です。一部加筆修正を加えています。
予告編&詳細
2021年製作/126分/G/日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:西川美和 原案:佐木隆三 脚本:西川美和
おまけ
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