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激しい危機こそ強い成功を生む 高価なフライパンが飛ぶように売れるわけ

発売5ヶ月で3万枚を売り上げた1万5千円以上するフライパンってしっていますか?

約3万円する鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」が累計30万個のヒット商品として売れている会社ってご存知ですか??

フライパンのブランド名は、「バーミキュラ フライパン」。製造&販売しているのは株式会社ドビー(以下、ドビー)です。

今回は、ドビーに焦点をあて、「なぜヒット商品を立て続けに生み出せるのか」を分析していきたいと思います。


リーマンショックを機に自社商品作りを始める

・会社名: 愛知ドビー株式会社
・代表: 土方邦裕
・設立:昭和22年5月
・全体売上:8,726億円
・企業理念:「手料理と、生きよう。」
・事業内容:バーミキュラブランドの調理器具の製造・販売

ドビーは名古屋市で創業した、古くから続く老舗鋳造メーカーです。元々は大手の下請け企業として、技術を提供していました。

下請けだったドビーが自社製品づくりを始めた背景にはリーマンショックがあります不安定な社会情勢の中下請けでは、安定的な成長はできないと気付き、技術力を活かした製品作りをはじめました。

元々下請けで自社商品を作っていなかったドビーが立て続けにヒット商品を出せる背景はなんでしょうか。


成功要因①既存製品の研究による差別化ポイントの発見

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ドビーの製品開発は、創業者兄弟の既存の製品に関する問題意識や不便な意識から商品開発が始まります。

たとえば、1万5千円以上する「バーミキュラ フライパン」は、創業者の

「こびりつきにくさやつきにくさにフォーカスしたフライパンは多いけど、味にフォーカスしたフライパンがない」

という実体験の課題意識に基づいて開発されています。そこから

・「焼く」を掘り下げて研究し、熱の伝わり方が大事だと気づく
・感動する料理が作れる熱の伝わり方を研究し、実現
・コンセプトは「目指したのは、世界一、素材本来の旨味を凝縮するフライパン。」
・顧客に販売する際は、こだわりの技術の話はあまりせず、「どれだけ感動するおいしさの料理が作れるか」にフォーカスして良さを伝える

といった流れで商品が販売されています。課題意識とコンセプトが明確なので、他の商品との違いがわかりやすいですね。

成功要因②製品の良さを活かした口コミの拡散

商品の販売戦略としては口コミを重視しております。

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①料理研究家や有名シェフに製品を使ってもらう
②製品の良さに気づいてもらう
③感動して、自らブログや口コミ活動をしてくれる
メディアの取材
⑤ターゲット層の信頼を得る
⑥購入につながる

といった方法をとっています。

インフルエンサーの口コミ獲得から、消費者の信頼獲得につなげ、「感動する料理が作れるブランド」として認知を獲得しています。

製品の質がいいからこその方法ですね。


成功要因③購入後の体験まで一生サポートし、生活者の暮らしを支える

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ドビーは、顧客主義を掲げており、製品を販売して終わりではなくその後のアフターケアまでしていく仕組みがあります。例えば、

・ドビーの商品を使ったレシピを開発する専属のシェフを採用して、
 サイトとアプリで提供([MY VERMICULAR](https://my.vermicular.jp/))。
・おいしく食べられるレシピを紹介している
 (購入者にレシピ本を無料添付)
・製品のスペシャリストスタッフによる料理の悩み相談対応により、
 成功体験のサポート
・お直しも一生サポート(有料)

などなど。「感動する料理作り」をサポートしています。

また、SNS上の口コミはすべて資料にまとめて社内に配布し、ユーザーの反応を見ているそうです。

成功要因④鋳物や製品加工の下請け時代に培った技術力や職人文化の転用

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おいしい料理が作れる料理器具の実現には高い技術力が必要です。ドビーはその技術力を長年の下請け時代に身につけていました。

ドビーには、その技術力を生かして「自社にしかできない世界最高の製品を作りたい」という職人気質な文化があります。

そこから、製品作りのコンセプトに「10年はモデルチェンジのいらない製品が作る」という考えが転用され、理想の製品の追求がされています。

事業を伸ばす仮説

事業のKPIを分解すると、

売上=購入者数×単価
*通常頻度を入れるが、一生モノの購入なのでなし

になります。アイデアを出してみました。

◆購入者数/単価を改善する施策
・キッチンアイテムの商品拡充
概要:現在ドビーでは、エプロンやキッチンクロスなどのキッチンアイテムがでております。そこに、手料理を彩るための器や食器などのカテゴリーを増やします。
狙い:
①既存顧客がよりドビーの商品を使ってもらうきっかけになる
②新規顧客層とドビーの接点をつくり、他の商品の利用につなげる

(今回、企業の課題を外から見つけることができず、商品を使ってみるなどの課題の深堀りは必要です....。)

学び

①既存の製品を研究して、既存の製品とは別の軸で製品をつくり消費者の生活が今までとどう変わるかを中心に伝える

②購入後の体験までサポートすることでトータルで「感動する料理作り」をサポート

口コミを広げる際は、優先度を絞ってアプローチする。
(*自社のサービスが口コミを広げるターゲットに受け入れられるものである必要)

です。

参考資料

https://www.vermicular.jp/

https://wired.jp/waia/2017/08_kunihiro-tomoharu-hijikata/

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