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行動経済学で考える「高すぎる or 低すぎる」目標がダメダメな理由

管理職の方は部下と一緒に目標を立てるということが多いと思います。

キャバクラでマネージャーをしていた私は、担当キャストさんとの目標設定面談で高すぎる目標を強要してしまっていました。

🤓「まりさん、来月の目標指名本数どうしようか?」
👩「うーん、30本くらい?」
🤓「いやいやいや!もっと行けるって!」
👩「でも…」
🤓「だってさ、目標30本で100%達成しても30本、目標100本なら50%達成でも50本だよ?」
👩「・・・」

まりさん(仮名)はもともと真面目な性格で、目標をショートしたくないので置きに行くという保守的な考えの持ち主でした。

前月の指名本数は50本だったので、私が提示した100本では高すぎますし、本人が考えた30本では低すぎます。

ではこれらがなぜダメなのでしょうか。

認識を歪めるプロスペクト理論

行動経済学で有名なダニエル・カーネマン博士が提唱した「プロスペクト理論」は、人が意思決定を行う際に客観的事実と認識にゆがみが生じて非合理な選択をしてしまうという理論です。

出典:店舗経営.com

超ざっくり言うと、

人間は損するのが大嫌いで、損か得かの評価は参照点を基準にする。
そして損得の心理的価値は、値が大きくなるほど鈍くなる。

ということです。

プロスペクト理論で考える目標設定

参照点依存性、感応度の低減性、損失回避は目標に対しても適用されます。

出典:店舗経営.com

目標指名本数が100本の例

締め日前に目標進捗率が95%だった場合、あと5%はなんとか頑張って達成したいという意欲が湧きますが、50%だった場合はもう諦めてどうでもよくなってしまうでしょう。

①95本→100本 👸「もう少し!粘ろう!」
②50本→55本   👸「もう無理ぽ、来月頑張ろ…」

本数としてはどちらも同じ5本なので、本来はどちらも同じくらいのやる気で取り組むのが合理的です。
しかし②のパターンは、参照点である目標に対して損失の絶対値が大きいので、感応度が低減して損失の感情が鈍くなってしまうのです。

目標指名本数が30本の例

簡単にクリアできてしまう目標だと、クリアした瞬間気が抜けてそれ以上の数値を追わなくなるのは目に見えています。

30本 👸「ふぅ、目標達成」

低すぎる目標を設定してしまうと、本人の可能性に蓋をしてしまいます。

まりさんの場合は、前月の指名本数が50本なので、適切な目標は60本くらいだったかなと思います。
そして目標の立て方も一方的に押し付けるのではなく、コーチング的に相手の願望や欲求を引き出し、その願望を達成するために必要な金額を稼げる指名本数を一緒に考えてあげるべきでした。

こんなポンコツマネージャーだった私でも、たくさん学んで実践することで、担当キャストの指名本数を伸ばし、No1キャバ嬢を輩出することができました。

そのノウハウを「キャバ嬢マニュアル」と「黒服マネージャーマニュアル」にまとめました。

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