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原木栽培の椎茸は、なぜか売れる

京都市の山科区に「みささぎの森」を整備しています。最近は訪れてくれる人も増え、Google Mapにも載るようになりました。私はそこのボランティアスタッフのひとり。

琵琶湖疎水沿いから山の上の方に登ると見晴らしのいいところがあって、そこまでのハイキング道を整備したり、子ども活動会場にしたり、雨の日には仲間で野草てんぷら揚げて食べたりしながら、ここを誰かの何かに使ってもらう目的でボランティアが整備をしています。

整備にはお金がかかるから、少しは稼ごう!と、
数年前から畑作ったり、椎茸を栽培して、収穫できたら売ろうとしていました。が、最初はなーんにも売れませんでした。見栄えが悪いから売れないんだろうと思いましたが、なかなか見栄えのいい野菜は出来ないんですね。

仕方がないので、できた野菜は仲間で分けて持ち帰って腹の足しにしたり、近所に配ったりしていましたが・・・
なぜか2年前から椎茸が俄然売れてきました。

「みささぎの森」は私有地になっている裏の山でクヌギやナラの大木がたくさん取れるというか、そういう木を放置しておくと台風で倒れたりして危ないし、実際に昨年は猛烈な台風でそいつら大木が倒れてしまったので、チェーンソーで1メートルぐらいの長さに切って、太いのは更に割ってと、手間暇かけて「ホダ木」を作っては椎茸を栽培していました。そういうように栽培したのを原木椎茸といいます。

ホダ木はいつ伐り出してもいいものじゃなくて、秋に伐り出さないとダメなんだそうです。しかし台風は一応秋だったから、ホダ木にできて無駄にならなかった、というわけです。

そんな原木椎茸を数年前から近所に配りました。口コミ効果なのか買に来る人がドッと増えたのですが、お客様が増えても生産量はそう多くないし、急いでホダ木を増産しても椎茸が出るのは2年後のはなし。だから品薄になってしまうわけです。

クヌギだと2年かかるけど、ナラの木ではうまくいったら翌年から椎茸が採れる、という有識者が言うので、急遽ナラの木のホダ木も作りました。
私は私で「柿の木で育てた椎茸は、柿茸といって美味いんだ」というウワサを聞いたので、柿の木でもやろう!と進言しましたが、仲間からは「おまえ椎茸は素人やろう、そんなの信じられへん」と一蹴されて今に至っていますが、いつか試そうと思います。

実際、椎茸はクヌギやナラだけじゃなくて、杉の丸太からも生えていましたし、椎茸というから椎の木にも出て来るのでしょう。木の種類によって風味に違いがあったとしたら・・・

でもなんでわざわざ椎茸を買いに人がはるばる来るのでしょう?
畑で育てた大根は、その後に栽培が上達して、味もいいし、見た目も良くなってきましたが、そう売れ行きは上がりません。他の野菜もそうです。そんな中で椎茸だけは別格でどんどん予約客が増えています。

椎茸は八百屋さんやスーパーで珍しくもなく普通に売っています。売っている椎茸の多くは「菌床」といって、木を細かく粉砕してから固めたようなものを使って育てるようなのですが「やっぱり味が違う」とかお客様は言っています。だからわざわざ遠方からみささぎの森に買いに来てくれているようなのです。

椎茸はいろいろ品種改良されていて、スーパーなどで売っているのはどれも程よい大きさで、縁の丸まったカタチと色の良いものばかりですが、みささぎの森産の椎茸は大きいものは直径20センチぐらいなものが採れます。まあそういう巨大品種の菌を買ってしまったのかもしれません。

「収穫が遅いからこんなに傘が開きすぎるんや!」と、くだんの有識者は言うのですが、その人が更に、ベツに傘が開きすぎても味が悪くなるわけやない、とのことなので、でっかい椎茸になるまで収穫を待っていたりします。その方が一個で満腹になるような椎茸ステーキも食べられますからね!しかしそんな巨大椎茸はスーパーにはありません。

原木の椎茸は秋から春にかけて何度も何度も収穫ができますが、その間ちゃんと水をやらないと出て来ません。それに、カミナリが鳴ると椎茸がたくさんできる!とかいう珍現象があるみたいです。どうも振動が木に加わるとなぜか椎茸ができ易いらしくて、ホダ木の上で子供が遊んだとか、台風で崩れたとかいう後にいっぱい生えて来るみたいです。だからときどきホダ木を並び替えるとかして刺激を与えなきゃならないとか、育てる苦労は多いです。

買いに来る人の中には袋いっぱい買って帰る人がいます。しかしあのように買って帰った後で、袋の中に通称「茸蚊(たけか)」という小さい白い虫が落ちているのを見たら・・・大丈夫なのかなぁ、と心配になります。この虫は食べても無害なので、そのまんま食べたらいいし、そんなこと知らずに食べている人もニッポンにはずいぶんいると思いますが、果たしてこのお客様はそれを知っているのかどうか?知らない方がいいこともあります。

今年もみささぎの森では、きっと相変わらず大根などの野菜はあまり売れずに、椎茸が引き続き売れるだろうから、椎茸に集中する!ということになりそうです。畑はというと、貸農園にしようか、という方向になってきました。

貸農園にしてその貸し出し料が入り、その人達もきっと原木椎茸いっぱい買って帰ってくれると、里山ボランティア活動資金も潤っていいのだけど。

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