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読書の断片:生命式

たくさんの本を手に取ってきて
感銘を受けることは多々ありましたが、
この人の紡ぎだす世界には
脳の処理が追い付かず、
「理解してしまうと危険かも」と
思わす力があります。

それでももっと理解してみたい。

「あそこってさ、誰も、着ぐるみの中の人の話しないじゃん。皆が少しずつ嘘をついているだろ。だから、あそこは夢の国なんだよ。世界もそれと同じじゃない?みんながちょっとずつ嘘をついているから、この蜃気楼が成り立っている。だから綺麗なんだよ、一瞬のまやかしだから」
「真実の世界は?どこにあるわけ?」
「だから、蜃気楼こそが真実なんだよ。俺たちの一欠片の嘘が集まってできた、今しか見られない真実なんだよ」
「わっかんない。わかりたくないなぁ」
山本は笑って、おちょこから酒がこぼれた。

生命式
村田沙耶香著

ゆっくり自分を取り巻く世界の様子が変化する。
昔は常識ではなかったことが、
いまではすっかり常識になっている。

違和感を感じる。
世界中で私を騙している気がする。
それでも生きていかなければいけない。

圧倒的世界観で「人間」について
考えさせられる。

それではまた次の断片で。

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