ミシュラン×サイゼリヤ 美食の追求
皆様、良き週末をお過ごしでしょうか。最近 話題になっているミシュランレストランのシェフがサイゼリヤでアルバイトをしている話。本日は、こちらの記事を考察してみました。
星付オーナーシェフがサイゼリヤでバイトをする理由
9年連続でミシュラン1つ星を獲得している「レストラン ラッセ」のオーナーシェフである村山太一氏は、イタリアのミシュラン3つ星レストランの「ダル・ペスカトーレ」で副料理長を務めたのち、無印良品「Cafe&Meal MUJI」を経て 2011年5月、「レストラン・ラッセ」をオープン、晴れてオーナーシェフになられた経歴をお持ちであるが、レストラン経営に限界を感じ、2017年よりサイゼリヤ五反田西口店にてアルバイトを開始、足元コロナ禍でも黒字を達成しているという人物である。そんな村山氏の食に対する情熱やレストランの経営危機を受けて「サイゼリヤ」の門を叩いた背景は、色々と記事が出ているので詳細は割愛する。
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コンフォートゾーンから出ることの大切さ
「ミシュラン思考」とご本人がおっしゃっていましたが、人間という生き物はとにかく「変化」や「挑戦」を嫌う生き物です。誰だって気心知れた仲間の中でぬくぬくと生きていきたいと思っているだろうし、自分にとって知識や経験が蓄積されている領域で生きていくことは、周囲からも、その専門性という一見「盤石の砦」が自分を守ってくれますから、尊敬してもらえるし、どんな質問や相談、時には批判、反対意見が来ても「自信」を持って対応できる分、更に居心地が良い場所になっていると思います。放っておくと人間という生き物はそこに逃げ込むのが自然であり、逃げ込んでいるつもりすらないかもしれません。時にある種の「危機」というものは、そういう「自分」に気付くきっかけを与えてくれたり、「覚醒」する機会を与えてくれるのですが、それでもずるずると「現状維持」や「現状の延長線上」に生きる「解」を見出して、すがってしまうのも人間らしさではあると思います。
村山氏の経歴を見ればわかりますが、そもそもイタリアに修行で飛び込むような人物というのは、コンフォートゾーンを平気で捨てることが出来る特別な人間なのでしょうか。私はそこが生きる上でのポイントだと思っています。おそらく殆どの人々は、それが出来ない。どうして一握りの人間だけがそのような行動を取れるのか、とても興味深く感じました。これは私の考えですが、この再現性のコツは「危機の利用」「選択ルールとその遵守」「コミットメント」の3つにあると自分自身の経験も踏まえて思っています。
大きな変化がない平常を繰り返している中で、自ら変化を起こすことこそ多くの人にとって困難なことはなく、これが出来るのは特別な人ですが、世の中が大きく変化の波にさらされるような時、村山氏にとっては「レストラン経営の危機」になるかもしれません。この「危機の利用」をしない手はないのです。どうにもならない、明日が見えない時こそ「好機到来」ということを認識していれば、全く違った世界に到達できるかもしれません。
次に「選択ルールとその遵守」ですが、人間は大小に関わらず毎日選択を迫られています。平たく言えば、朝起きる、起きない、ご飯食べる、食べない、何かを買う、買わない、無限に選択をしている。その中でも人生に関わるような「選択」、以前 人生を変える3つの方法 でも書きましたが、この局面に立たされた時の「選択肢A」と「選択肢B」の選び方のルールは決めておいた方がいいかもしれません。よくある「選択肢A」は現状維持でこれまで通り、または「選択をしない」というのも、この「選択肢A」に収斂します。ルールはシンプルで「選択肢B」を必ず選ぶということ。要するにタフで今まで通ったことがない道を選ぶの一択というルールを遵守することが出来れば、コンフォートゾーンを危機あるごとに抜け出して物事を好転させることができる可能性は引きあがると思います。そして、その「選択肢B」を「公言」することで、後戻りが出来ない楔を打つことで、前進するエネルギーをもらうことが出来ます。「コミットメント」というものは使い方次第で、自分に責任を負わせながらも、周囲からサポートをもらえる確率が断然良くなる魔法で、突き詰めて考えていくと、決して他者に対する「責任表明」ではないんです。
掛け算の妙味
次に大切な学びは、「掛け算の妙味」です。村上氏の場合はミシュラン×サイゼリヤの掛け算で、「生産性向上」という果実を手に入れています。話は変わりますが、最近テレビ番組で、コンビニスイーツを一流パティシエが評価するという、コンビニにしか出来ない「価格」と「美味しさ」という差別化したところに着目することは多いのですが、いかに取り込むかという視点で掛け算というのは、非常に優れたアプローチだと思います。この掛け算はコンビニ側の経営チームは熱心ですね。ですがこの村山氏のケースは逆側からのアプローチです。本質的には、これはミシュランレストラン側にとっては「サバイバル」を掛けたチェーンとの闘いとも取れます。先に触れた「コンビニスイーツ」が掛け算によって磨かれれば、磨かれるほど、パティスリーの売上のパイは削れることになりますから、健全な掛け算は双方向でないといけない。そこにある意味、「真の差別化」と「顧客ニーズ」が生まれてくるわけで、共存が出来るようになる。ここに1つの掛け算の妙味があると思います。
ユニクロとGUは姉妹ブランドで、同じFRグループのブランドなのですが、この掛け算の妙味を活かすことが出来る面白いサンプルだと思っています。ここはインサイダーになるので言及は避けますが笑 「進化の余地」は多分に残している。
ちょっと面白い掛け算を紹介すると、シンガポールに「The Art Faculty」という小売があるのですが、ここで販売されている製品は障がい者の方々がデザインしたものを製品化しています。実は、私はここの経営について立上当初にアドバイザリーとしてサポートをしていたことがあります。ここに面白い掛け算を仕掛けました。政府が助成金を与えて運営されているわけですから赤字であったとしても倒産することはありません。当然事業計画や店舗運営のノウハウなどもなく、当時の運営トップはメガバンクからの転職者でとても社会貢献に対して情熱を持たれている女性でした。当然ですが銀行畑なので小売りのノウハウはなく、とても試行錯誤されている状況でした。ここに「販売計画」という軸を持ち込み、毎月の商売全体像や商品ラインナップ数、各アイテムの生産や在庫、お客様に足を運んでもらえるような施策(マーケティング等)を持ち込んで、事業として利益を出せるようにすることをしない限り、助成金の増減で社会的弱者の方々の生活に影響が出ないよう自立すべき、ということで市長や運営メンバー達と計画を立ててトライアルをしていきました。この掛け算を戦略的にやることで生まれる付加価値は計り知れないと思います。わたし個人として、わたしが持ち込める掛け算による貢献、社会のハブ構築やビジネスモデル作りは、ライフワークとして続けていこうと思っています。
さあサイゼリヤに行ってみよう
2つの大切なことについて書いてみましたが、ミシュラン オーナーシェフが勧めるサイゼリアの美味しい食べ方で、イタリア料理を堪能したくなっただけでなく、ラッセにも「強制自粛」笑 が解除されたら足を運んでみようと思います。
ミシュランシェフによるお勧め料理@サイゼリヤ
・エスカルゴのオーブン焼き×ほうれん草のソテー
・プチフォッカ×熟成サラミ×フレッシュチーズとトマトのサラダ
・若鶏のディアボラ風×ホットソース
こちらも「掛け算」ですね笑
では皆さま、引続き良き週末を!
編集後記
9月から自分の仕事の領域が一気に拡大し、他人様にコンフォートゾーンから抜け出したらいいとか、そんなことを言っていられる状況でないぐらい、居心地が悪い中、2週間が経過しました。このストレスたまらんなあ、とか思っていなら先週は精神の底のあたりから、こいつは面白い、もっとやってやろうみたいな振り切れ観が出てきたところです笑 改めて古き自分を捨て去ることの大切さを身をもって感じている今日この頃です。そんな中でも週末は全く新しい領域の知の探究をしているわけですが、先週気になったのは米国ハイテク株の暴落、その中でもソフトバンクのオプション発動やテスラの暴落とS&P500の抽選漏れ、豪通信大手テルストラの業績悪化と株価低迷ですね。特にテルストラについては会社設立の背景、オーストラリアのインフラ事情も結構調べてみました。元々資源国家で銀行に預けているだけで金利が5%以上なんてざらな国なので、株式投資についても余程のリターンがないとオーストラリア人にとっては魅力はないですからね。国民、投資家による塩対応にしか見えないです笑 人口動態を見ると今後移民を含めて伸びていることも興味深い。その辺を記事にしようかと思いましたが、それはまた次の機会に。