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哲学対話で道徳を「きいろいベンチ」

先日「Twitter道徳部」というオンライン勉強会で、哲学対話を取り入れた道徳の模擬授業に挑戦してきました。
100名の方が申し込んでくださった大舞台で挑戦したので、参加者が多ければその分賛否両論のご意見が生まれることと思うのですが、「まずは哲学対話って何?」という方が哲学対話に出会ってくださったということがうれしくて、参加者の皆様に感謝したいと思います。
挑戦の場に一緒に立ち会ってくださり、ありがとうございました。

せっかくなので、この模擬授業に際して準備したことややってみた振り返りを、noteにまとめていきたいと思います。

①事前準備

①ー1教材決定

今回は、「明日やってみたくなる模擬授業」というテーマを自分の中で立て、12月周辺で組み込まれることの多い有名教材を探しました。
そして、オンライン模擬授業の会でまだ扱われていなかった低学年の教材にしようとも思い、「きいろいベンチ」を選びました。

「きいろいベンチ」は、場面設定が決して低学年だけの問題ではないと私は思っていて、どの学年でも活用できる題材だなと思ったので、100名の先生方が「明日やってみよう」と思ってもらえやすい教材だと思いました。

教科書の教材を勉強会で使用する際には許諾申請が必要なのですが、以前「わたしたちの道徳」を使った勉強会をしたことがあって、その経験があったので、今回も「わたしたちの道徳」を使用することにしました。
文部科学省に問い合わせて、使用許可をもらいました。

ちなみに・・・
教材を事前に伝えるのをやめることにしました。
子どもたちも突然「今日は〇〇を読んでみましょう」って言われるわけです。
その体感をしてもらおうと思いました。
(それであっても、たくさんの問いが出たので、さすがの参加者の皆様だなと感激しました。詳しくは②ー2で)

①ー2授業づくり

以前noteにも書いたのですが、教材を決めたあとに私が一番最初にすることは、「学習指導要領の内容項目を読む」です。

https://www.mext.go.jp/content/220221-mxt_kyoiku02-100002180_002.pdf

今回「きいろいベンチ」は「規則の尊重」で扱う教材なので、「規則の尊重」の部分を読みました。
読みながら、この授業のねらいを考えます。

「哲学対話は思いつきで問い返しているから、授業のねらいに沿っていないのでは?」と質問を受けたことがあるのですが、私は問い返しが上手ではなく、思い付きで問い返しができないので、むしろねらいを把握して「こんな問い返しをしよう」と決めて授業に臨みます。

もちろん、その場の流れで「これ聞いてみたい」とアンテナが反応するときもあるので、そんな時は「対話の波に乗れた!サーフィンできた!」とうれしくなります。
その時に大事なことは、「これは核心に迫る問いなのか?」とか考えないことです。
自分の中に湧き上がった「もっと詳しく聞きたい」「もっと詳しく知りたい」という衝動を信じることを、自分に言い聞かせています。

なので、事前に問い返しを考えるときも、「これを聞いてみたい」という衝動を信じてメモしています。
メモし終わった後に、「これだけは絶対聞きたい問いはどれかな?」「この問いならねらいに近づけるかな?」という問い返しを厳選していきます。
そうして残った厳選された問い返しを「絶対聞くぞ」と決めて、本番を迎えます。

教材研究ノート


それがひとつかもしれないし、対話のパターンを予想して、Aの流れになったらこの問い返しを使う、Bの話題が出たらこの問い返しを使うと決めておくこともあります。

ですが、大事にしたいのは「教師が対話の流れを無視して、主導権を握って無理やり発問をしない」ということです。

あくまで対話の流れを大事にしたいのです。
子どもの考えを聞いて、そこから広げたい。そこから深めたい。
なのであくまでも「発問」ではなく、「問い返し」と私は呼んでいます。

そして、それができるのは「道徳だから」だと思うのです。
みんな一度は聞いたり体験したり出会ったりしているだろう内容を扱う道徳だからこそ、その時の思いやその時の選択やその時の判断を場に出して、それを点検する時間にしたいです。

もし交通整理が必要なら、そこでちょこっとファシリテーターとして登場したり、
対話が迷子になってしまったら、またそこでちょこっと問い返しをもってファシリテーターとして登場する、そんなイメージです。

前提として子どもの考えをありのまま「聞く」を大切にする姿勢でいたいです。
何でも来い!
どしどし来い!
安心して飛び込んで来い!
そんな情熱を心に秘めて、そこにいたいです。

①ー3導入

基本的には、内容項目についてズバッと聞きます。
今回でいえば「きまりってなんだろう?」なんですが、今回の「きいろいベンチ」が焦点を当てたいことは「きまり」とも言い難いので、どうしようかな…と悩みました。

本や雑誌などでいくつかの指導案を調べてみたのですが、ほとんどが「みんなで使うものはどんなものがありますか?」という導入でした。

どちらかというと今回のテーマは、「明文化されていないけど気をつけたい心がけ」の部分に注目したいと考えていたので、「きまりとマナーの違いについて考えたい」と提案してみようと思いました。

そこで、私の問いは「教師からの指令だから考えろ!」と出すのではなく、「参加者の一人として問いを出したいのですが、みんなの問いとなるように皆さん近づいていただけませんか?」という気持ちで「その問いを選んだ背景や理由」を話すことを導入にしようと決めました。

公園で見かけた「マナー促進の旗」を見せることで、「たしかに…!それ気になる!考えてみたい!」と思ってもらおうと仕掛けてみました。

そこから「きまりってなんだろう?」「きまりと聞いて浮かんだイメージや経験は?」と問いかけることを導入にしました。

公園の旗
実際に公園に行きました

①ー4授業の流れ

初めて哲学対話をする方もいたので、途中で授業の流れを簡単に紹介しながらすすめられるようにしました。
これは、飛び込みで他クラスで哲学対話の道徳授業をする際にも、実際に配慮した部分です。

②当日の振り返り

②ー1 電波わるわる

ちょうど明日インターネット工事が入るのですが、そんな我が家のWi-Fi状況が悪くて、なかなかみんなの声が聞き取れなかったり、途中でかたまっちゃったり…オンラインあるあるを体験しました。
それでパフォーマンスの質が下がったとかそういうことじゃなくて(本当はそういうことにしたい笑)、「落ちちゃったらどうしよう」という余計な緊張度が高まったという感じです。
なので一応振り返りに入れておきます。緊張したわ…

②ー2  チャットが盛り上がった!

顔出しは運営以外で3名の方だけだったんですが(ありがとうございました!)、チャットで参加してくださった方もたくさんいらしてくださって、本当にうれしかったです!
特に、教材を読んだ後の問い出しがすごい!

全部で40個くらい!


さすがすぎて、私の事前の想定を簡単に上回ってしまって、「皆さん顔出してよ!声出してよ!哲学対話しようよ!かもーーーん!!」とかなりテンションが高くなりました。
きっとこの続きをやったら、楽しかっただろうなー。


ということで、模擬授業をざっと振り返ってみました。

模擬授業の前に「哲学対話とは?」というプレゼン時間もいただいたのですが、こちらもすごく悩んで準備したので、それについてもまたnoteでまとめたいと思います。

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