『諦めない男』(1990年/結城昌治サスペンス) <サスペンスドラマ感想>

監督 山根成之
脚本 相葉芳久
原作 結城昌治
出演 川上麻衣子、内藤剛志、安藤一夫、石橋蓮司


 バブルを満喫しまくっているOLの陽子(23)は妻子ある上司と不倫中。同時にストーカー気質の同僚ふたりにも惚れられ、彼らの行動は次第にエスカレートしていく。

 バブルという時代性と1時間枠らしい皮肉なラストが効いている作品。
 まず目を引くのはヒロインの私生活。アフター5(死語)には水泳、ゴルフの練習、ディスコをたしなみ、花金(死語。花の金曜日の略)にはシャレオツなダーツバーで男を引っ掛け、一夜のアバンチュール。住まいはモデルハウスみたいな一戸建てで一人暮らし(!)、理想の男性は三高(死語。高学歴、高収入、高身長の略)……と「給料いくらもらってんの!?」とツッコミたくなるリア充ぶり。バブルって本当にこんなだったんですかね?

 ドラマはヒロイン目線で進行し、半分モテ自慢のようだが、その裏で彼女をめぐり、男たちの争いが勃発。バブルの近代的な栄華の中にあって、雌をめぐって雄が争う構図は非常に原始的で面白い。どれだけ時代が進んでも人間の根源は野生動物と変わらないということか。
 ラストで勝者がヒロインにすべてを語るシーンは演者の上手さもあってゾクゾクさせられた。



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