2時間サスペンス感想 『鮮やかな完全犯罪 女相続人』(1979年/土曜ワイド劇場)
監督 井上梅次
脚本 吉田剛、広瀬襄
原作 南條範夫
出演 岡田茉莉子、小沢栄太郎、夏純子、村井国夫
末期ガンにより余命数ヶ月となった大会社の社長。その資産をめぐり、関係者全員による相続バトルが勃発。社長の秘書、やす子はその渦中に飲み込まれていく。
登場人物、全員クズ。そんなクズどもが様々な策謀を巡らせ、足を引っ張り合うドロドロのサバイバルが楽しい。
監督の井上梅次は日本映画の黄金期から娯楽映画ひとすじの大ベテラン。2時間サスペンスの世界では、天知茂が明智小五郎を演じた『江戸川乱歩の美女シリーズ』で知られているが、その手腕は本作でも発揮されている。
印象的なタイトルバック、三面鏡と口紅を使った解説シーン、そして、名物の吹き替えヌード。視聴者の下世話な好奇心を刺激するわかりやすい演出により、人間の醜さをたたみ掛けるように描き出すスピーディな展開で、欲望という名のジェットコースターに乗っているかのような感覚だ。
脱落者が続出する後半から勝者がトドメの一手を指すクライマックスは最高に気持ち良い。まあ、やってることはクズの極みだけど。
キャストでは、余命わずかの社長を演じる小沢栄太郎が下品で尊大な中に人間味を感じさせる演技で作品全体を引っ張っており、印象に残った。
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