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過酷⁉️保護室での筋トレ事情

保護室には自殺や自傷の道具となる恐れのあるものは一切持ち込むことができません。

僕の病院はタオルも首を縛ることに利用できるからと持ち込めませんでした。当時は8月の猛暑。エアコンがついてるとはいえ汗を拭うことなく運動を続けていると地面に汗が滴り落ち次第に大きな水たまりができる。放置しておくのも気持ち悪いですから、トイレに備え付けられたトイレットペーパーで拭くわけですが、水溜り程の汗を拭うとなると結構な量になる為一度にトイレに流してしまうと詰まるわけです。

今思えば、普通に病院の人に事情を話しスッポンなんかで詰まりを取って貰えば良いだけの話なのですが、監視カメラの死角に隠れて本を読むだけでもスピーカー越しに叱られる環境です。話してしまえば保護室生活の唯一の心の拠り所である運動すら「精神の休養のため〜」なんて理由をつけられて禁止されかねないと、実際に勉強道具なんかは没収されていたわけですから、入院生活で極度の不安と疑心暗鬼に陥っている僕は底の見えない便器に腕を突っ込み詰まったトイレットペーパーの除去を試みるのです……

トイレの水で溺死を試みる人もいるそうで、通常のトイレと違い水が溜まらない形式でしたので、通常のトイレより底が深く詰まりをとるのは難しかった。当時中学1年生、身長は165㎝程と決して短くはない僕の腕がスッポリと肩まで入り、腕はベッタリとクソに塗れていました。

そもそも保護室とは?

今日は保護室での筋トレ事情をお話ししたいと思います。その前に保護室をご存じない方の為に簡単に説明しますと

精神症状から、本人又は周囲の者に危険が及ぶ可能性が著しく高く、隔離以外の方法ではその危険を回避することが著しく困難であると判断される場合、その危険を最小限に減らし、患者本人の医療又は保護を図ることを目的として使用される部屋です。

公益社団法人 日本精神科病院協会より

とのことで、まぁ超ざっくり言うと外側から鍵をかけられて24時間監視カメラが回ってる独房みたいなところです。

最初はここに入る予定ではなかったのですが、病室が空いていないとのことで外側から鍵をかけず、自由に出入りできるという通常の病室と同じような条件で保護室に入院となりました。普通に人生に絶望して泣き喚いてたらちゃっかり鍵かけられて閉じ込められてたわけですがナ(爆笑)
閉じ込められて2、3日経った後に
「人権を一時的に放棄することを認めます」
といった趣旨の誓約書にサインを求められて、あぁ、まぁ普通に人間を閉じ込めとくって人権侵害よなぁ……ワイ今人権侵害されとるんか……と悲しくなったことを覚えています。

入院当時の僕は中学一年生で陸上の長距離をやっており、中々思い入れのある競技で精神病院入院なんかで記録を落としたくない!なんとか心肺機能を維持しなければ!と室内でもできる息がゼーゼーと上がる類の有酸素運動を模索していたわけであります。

今回は保護室で暇してるnote民達の為に保護室でもできる運動を紹介しちゃいますよ!室内で運動不足を解消したい人も必見!


保護室でのトレーニング

①タバタ式トレーニング

タバタ式トレーニングとは、20秒間の強度の高い運動と、10秒間の休息、あるいは負荷の軽い運動を1ラウンドとして、それを8ラウンド繰り返すというもの。田畑教授による研究の結果、このプロトコルで「心肺能力」が飛躍的に向上することが証明されています。

陸上用のタイムやインターバルを計測できる腕時計の持ち込みは許可されていたので、これで時間を測りながら

・スクワットジャンプ
・パーピージャンプ
・マウンテンクライマー(四つ這い姿勢での腿上げ)

なんかを組み立ててトレーニングを行っていました。室内だと、腕立て伏せ等筋力トレーニングは比較的簡単に行えますが、ランニングのように息が上がる運動は少し工夫しないとできないので、コチラのトレーニング方法には多いに助けられました。時間やラウンド数の増減でトレーニング強度の管理もしやすい良いトレーニング方法です。

もう汗がダラダラでる。一度学習してからは汗を拭うのに使用したトイレットペーパーは一度に全部流してしまうのではなく、ちょっとずつ千切って流していましたね。

デメリットとしては、ジャンプ系の運動を多く入れると騒音が激しくなるということ。集合住宅なんかでは出来ません。僕の病院は保護室が二つ隣り合わせに作られていたのですが、僕がドタバタと運動をしだすと隣人は

「キエーーーーーー!!!」

と発狂しておりました。入院生活、特に保護室なんかでは極端に喋る機会が減り、発声能力が衰えるのを感じていたので本の音読もよくしていたのですが、それでも隣人は

「キエーーーーーー!!!ウルセェーーー!!バンバン(どこか病人的なひ弱さを感じる壁パンチ)」

今思うと非常に申し訳ないことをしていたなと反省しております。夢野久作のドグラマグラにこんな描写あった気がしますね(爆笑)

ちなみに音読していた本は伊坂幸太郎の「砂漠」だったかな?保護室で常に監視カメラで見張られている環境ではろくに自慰行為もできないわけで、タバタ式トレーニングをジタバタとする活力、精力溢れる中学一年生男子となればもうそれは異次元の辛さです。スマホもなくAVなんかも見れないもんですから、普通に「砂漠」の表紙に描かれた短髪の女性に欲情してましたね

そもそもこの表紙の方が女性なのかは知りません。女性的な男の可能性もありましたが、そんなの当時の僕には関係ありませんでした。
今の簡単にアダルトコンテンツを見れる若者達は、保護室での私のような“性へのハングリー精神”を見習ってもらいたいものですナ😤(クレイジー老害

②筋力トレーニング

これは皆さんがイメージしているような腕立て伏せ、腹筋等ベーシックなトレーニングです。
保護室の壁というのは患者が暴れても大丈夫なように頑丈かつ、若干の弾性を含んだ素材でできている為、壁を利用したトレーニングがやりやすい。壁倒立からの腕立て伏せなんかを好んでやっていましたね。

こういうやつです。

また、良い感じの場所を見つけてSASUKEのスパイダーウォークの要領で壁登りをして腕力、脚力のトレーニングもしておりました。

腕立ても30回5セットやったり、壁のふちのでっぱりを利用してディップスをしていた。

少し前にオススメに流れてきた方の記事を読んでいると
”保護室の壁のふちのでっぱりを利用してディップスをしていた”
という記述があり、保護室の壁で筋トレするのってあるあるなのかなぁ〜と世界で一番共感可能者が少ないであろうあるあるを見つけてしまいましたね(爆笑)


保護室でトレーニングを行う際のデメリット

メリットばかりに思う保護室トレーニングですが、勿論デメリットも存在します。今からデメリットの方を紹介していきます。

①監視カメラで常に見られているので恥ずかしい

入院説明の際は監視カメラについて「常に見張りっぱなしってわけでもないから安心してくださいね〜」なんて言っていたのですが、看護師さんがご飯を持ってきてくれる際なんかに僕にいうのです。

「いつも腕立てとか逆立ちとか頑張ってて凄いねー」

この一言で看護師の詰め所か何かで僕が必死こいて逆立ちやらなんやらしている監視カメラの映像が映し出されて、それを医者や看護師に見られクスクスと笑われている情景が思い浮かび、凄く悲しくなったことを覚えています。見せ物小屋の猿の気分でした。

②頻繁に入浴ができないので汗を流せず非常に不衛生で心地悪い

これが一番キツかったですね。保護室内に入浴設備はない為、風呂に入れない。病状によって保護室外にあるお風呂に週1.2回の入浴することが許可されてはいましたが、それでも汗だくの状態で下着も変えれず2.3日そのままというのは非常に堪えました。まぁ病人が入ることを想定している保護室で体育会系中学生男子がドタバタ運動して汗まみれになることは病院も想定していなかったでしょうからしょうがないといえばしょうがないですね。もう普通に勉強のストレスで癇癪を起こすようになっただけで、何もここまで大袈裟にする必要は無かったんじゃないかと今でも思いますナ😅

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