【SS】ビール傘 #毎週ショートショートnote
7/24-7/30 お題 ビール傘 410文字
人は暑い日には特に好んでビールを飲む。当然、猛暑日が続くとビールの売り上げが上がる。しかし、そんな人間を尻目に動物たちにとっても天国のような場所があった。人間がやって来ることができないように地図にも乗っていない場所だ。
ここでは、気温が三十五度を超えると特別な恵みの雨が降ってくる。気温が十五度を下回ると別の特別な恵みの雨が降ってくる。動物たちはそれを目当てにやってくるのだ。寒い時には体を温めるため、暑い時には乾いた喉を潤すためにやってくる。
ここにはビール傘と呼ばれる大きな傘が何本も設置され、雨に濡れなくて済む場所がいくつも設けられている。自分で傘をさすことができる動物たちは小さなビール傘を取りに行って使うこともできる。
ここは、寒い時にはホットビール、暑い時には冷えたビールが、空から降り注いで来る不思議な土地だった。空を見上げて口を開け、たらふく飲んで満足した動物たちはビール傘をさしてビール雨から体を守っていた。
410文字
以下の募集への参加です
☆ ☆ ☆
いつも読んでいただきありがとうございます。
「てりは」のnoteへ初めての方は、以下もどうぞ。
この記事が参加している募集
よろしければサポートをお願いします。皆さんに提供できるものは「経験」と「創造」のみですが、小説やエッセイにしてあなたにお届けしたいと思っています。