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【SS】25.お茶の精 ※クリエイターフェス
以前の私はよく風邪を引いていた。しかし、緑茶を飲む習慣を身につけてから風邪をひかなくなったようだ。因果関係があるのかどうかわからないが、事実として風邪をひかなくなった。きっとカテキンの影響はあるのだろうと考えている。
体の抵抗力が付いたのかなぁと考えながら妄想したショートショートです。お楽しみください。
お茶の精
あなたの体は清らかですか?
邪念に支配されていませんか?
実は私はかつて邪念に支配された体だったのです。悩みました。どうすれば清い心を持った体になれるのかと。でも、ウィルス性の病気が流行ると必ず感染し、季節の変わり目になると見計らったように風邪をひくような体になってしまったのです。
それから20年。自分の体を騙し騙し生活を続けていました。
ある時の夜明け、お茶の精が枕元に現れたのです。そして私にこう言いました。
「今日、あなたが出会う人は一生そばにいてくれる人です。そしてその人はあなたの風邪を引きやすい体を治してくれるでしょう。このチャンンスを見逃してはいけませんよ」
私は掛け布団を跳ね除け、ガバっと起き上がりました。もちろんお茶の精は目の前にはいません。夢だったのかとがっかりしつつも、ほんの少しの期待を胸に出勤しました。
会社最寄りの駅を降りたところで、ちょっと困っている様子の女性が目に入りました。今朝の夢が蘇ります。思わず声をかけてしまいました。
「大丈夫ですか?」
「あ、はい。ヒールの踵が取れちゃって。。。」
私は、状況を察しタクシーを止め、女性を乗せ一緒に近くの靴屋さんまで走らせました。タクシーの中で会社に電話をして午前中は休暇にすると伝え、女性に付き合って新しい靴を探し、プレゼントしました。最初警戒していた女性もお気に入りの靴が見つかった頃にはすっかり信用してくれ打ち解けていました。そして、これが縁となり、私たちはゴールインすることになったのです。驚いたことに彼女はライバル会社の社員だったのです。しかし、その後はとんとん拍子。結婚して妻となった彼女は、緑茶を毎日二杯以上入れて私に飲ませてくれるようになりました。そんな緑茶生活を一年続けるとなんと全く風邪をひかない体に変貌していたのです。
これって、あの時夢だと思ったお茶の精かなと脳裏をよぎりましたが、妻に言えるはずもなく、ただ感謝のみ心の中でしていました。そして妻にはお礼の言葉をかけました。
「一緒になってくれてありがとう。そして、毎日緑茶を欠かさず入れてくれてありがとう」
すると妻は私に申しわけなさそうに返してきました。
「私じゃないの。あなたと出会って結婚が決まった時、お茶の精から毎日二杯は必ず緑茶をあなたに飲ませてやってねと頼まれたの。でもいつしかそれが私たちの習慣になったわね」
お茶の精が撮り持ってくれた縁と習慣に感謝しながら幸せな生活を送っています。
了
期間限定マガジン (2022/10/1 -2022/10/31)
#クリエイターフェス #ショートショート #創作 #小説 #ショートショート書いてみた
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