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【SS】タイムスリップコップ3 #毎週ショートショートnote

8/21-8/27  お題 タイムスリップコップ 410文字


大きなため息とともに沈んだ顔をしている青年が夕日が綺麗な夏の海辺に佇んでいた。近くの海の家の女主人がその様子が気になり声をかける。

「お兄さん、どうしたの。暑い夏なのにそんな暗い顔をして。私でよかったら話を聞くわよ」
「あ、さっきの海の家のおばさん。えっと、そんなに暗い顔でしたか。そうですよね。実は」

青年には結婚を決めた相手がいたのだが、彼女のマンションでプロポーズした際に渡す指輪を忘れてしまい、彼女に呆れられて部屋から追い出されたのだった。それが二日前のこと。どうやってリカバリーしようかと悩んでいて暗い顔になっていたらしい。

海の家の女主人は、全てを悟ったかの様にポケットから小さな可愛いコップを出して青年に言った。

「このコップに入る小さなものなら、過去のあなたに届けることができるわよ。試してみる?」
「はい」

青年はコップに指輪を入れた。

コップは二日前のプロポーズの時の二人の間に静かに現れた。

「僕と結婚してください」

410文字


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#毎週ショートショートnote #小説 #創作 #ショートショート #タイムスリップコップ


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松浦 照葉 (てりは)
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