【SS】タイムスリップコップ #毎週ショートショートnote
8/21-8/27 お題 タイムスリップコップ 410文字
見慣れない骨董品屋がいつの間にか裏通りにできていた。目立たない位置に何の変哲もない大小のガラスの様なもので出来たコップが重ねて置いてある。全体は薄い水色で底の真ん中の部分に小さな突起がついていた。
妙にガラスのコップが気になり店内に入った。
「すみません。あのガラスのコップを見せていただけますか」
「あぁ、これですね。お話ししてみたい方がいらっしゃいますか」
「えっ」
「このコップは、過去話したくても話すことができなかった人との間を繋いでくれる言わば見えない糸で繋がる糸電話みたいなものです。時空を超えて話ができますよ。タイムスリップコップという骨董品です」
僕には、数年前に病気で亡くなった妹がいた。僕が上京した直後に入院して亡くなってしまったので、ちゃんと話ができないままだった。
僕は、小さい方のコップを妹が生きていた頃を思い出し放り投げた。その瞬間小さなコップは消え、大きなコップから懐かしい声が聞こえてきて涙が溢れ出た。
410文字
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