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小説を創るということ #一歩踏みだした先に

 IT業界で複数回の転職を繰り返し、40年以上経過した後リタイアした。その間、世の中のテクノロジーは大きく進化し、生活の中での変化も多数経験した。通勤の電車内で見ていたのは印刷されいる文庫本の小説、ノートタイプのPCが高価ながらも発売開始され利用開始、携帯電話が小型化され安価なPHS(Personal Handy-phone System)が発売され誰でも携帯電話を持つ時代へと突入。そんな時代の中で、システム開発もメインフレームからサーバーとPCを使ったシステムへと移行し、さらにクラウドへと変遷していった。

 IT業界に入ってしばらく経った時、小説などを自由に投稿して誰でもみられるようなサイトができればいいのにと思っていた。気がつけばいつの間にか電子書籍を扱うサイトは数多く存在するようになっている。大学の卒論も随分前から電子メールを使って提出する時代に変わっているようだ。段々と文書というものは電子文書のほうが多くなりつつある。そんな中、私はIT業界で定年を迎えた。大抵は、少しリフレッシュしてIT業界での仕事に戻る人が多いのだが、私はそれまでの経験を何らかの形で残したいと考えた。そう、IT業界で活動してきたことの何かを伝えられないかと考えたのだ。しかし、IT業界の中のテクノロジーの進化は早いので技術的な内容はすぐに賞味期限切れになってしまう。そこで、管理職の経験や面接官の経験をまとめることができるかもしれないと考えるようになった。

 そんな時にnoteというクリエーターが集まるサイトに巡り合った。これは全くの偶然である。しかし、これが一歩踏み出すきっかけとなったのだ。私自身、ソフトウェアのLotus Notesというグループウェアを長年使っていたこともあり、noteという単語に親しみを持っていたということもあるかもしれない。

 noteの世界に入るといろんな人が創作活動をしていることを知り、まずはnoteで自分の経験を文章として公開しようと考えた。それまでSNSの経験はFace Bookのみであり、写真とひとことを投稿していたに過ぎなかった。文章を投稿し公開するという習慣は持っていなかったので、一念発起し、最初は若い時の思い出をエッセイとして綴りはじめた。その内、ビジネスの経験としての文章も記事として投稿するようになり、次第にnoteにも慣れ、電子書籍発行への挑戦に繋がった。自分の中では画期的な飛躍だった。自分で書いた文章をまとめて本にできるということが実現できるということを知ったのである。しかも、オンデマンドで紙の本としても作ることができる環境があるということを知ったのも衝撃だった。これは、Amazon kindleのサイトで実現できるということを知った。「出版」という単語がとても身近に感じられたのだ。

 文章を綴り始めて二ヶ月が過ぎたころ、ふと「もしかしたら、小説も書けるのではないか」という思いが頭をよぎった。小さい頃は推理小説が好きでよく読んでいたが、自分で書いたことはない。しかし、電子書籍を出すことのハードルがものすごく低いとわかった時、誰のためでもなく、自分ではこれまでできないと思っていたことを自分のために挑戦したくなったのだ。そして、小説への挑戦を始めた。

 小説は、自分では出来そうにないことでも文字の世界で実現できる魅力がある。最初は、短い小説から始め、次第に世の中で短編と言われる文字数の文章を書くようになり、何とか長編と言われる領域の入り口あたりまで書くことができるようになってきた。もちろん、誰かに教えを受けたわけではないので、我流ではあるがその楽しさに取り憑かれてしまった。誰かに評価されたいとかたくさん読んでほしいとか思う前に、自分でも出来たという満足感のほうが今は大きいと感じている。

 まだまだ、誤字脱字も残る小説ばかりではあるが、書き続けて行けば、私が考えていたことや創作したものが電子書籍として世の中に残ってくれるという達成感を味わいながら日々創作活動ができるという景色をこれからも楽しんでいきたい。


下記企画への応募投稿です。

ハスつかさんの「2022年のいっぽん」へも応募してお薦めしていただきました😊


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#一歩踏みだした先に #ノンフィクション #エッセイ #2022年のいっぽん

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松浦 照葉 (てりは)
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