純正律の半音は何種類?

前回、12個の音を決めたので、A durのDoを基準に周波数比を求めてしまおう。

================ 越えられない壁
  B Ra/Te 16/15
  F Le/Fa 8/5
  C Me/Do 6/5
  G Te/So 9/5
---------------- 三度の川
  D Fa/Re 4/3
  A Do/La 1
  E So/Mi 3/2
  H Re/Ti 9/8
---------------- 三度の川
Fis La/Fi 5/3
Cis Mi/Di 5/4
Gis Ti/Si 15/8
Dis Fi/Ri 45/32
================ 越えられない壁

最初にドイツ語で音名、次に佐藤式で階名、スラッシュの右側は短調の主音をラとした時の階名、最後に周波数比である。

三度の川(三途の川ではないです…)が2本あり、川に区切られて3つの島がある。この川を下へ(五度圏で右回りに)越えると少し音程が下がり、上へ(五度圏で右回りに)越えると音程が少し上がる。

まず、全音(長2度)はふたつあるのだった。

大全音 9/8
小全音 10/9

そして、全音階的半音はMi-Fa・Ti-Doで、長調に2個、短調に2個出てくるが、計算してみると全部同じ周波数比で、

全音階的半音 16/15

である。半音階的半音は全音と全音階的半音の差だが、全音が2種類あるので、半音階的半音はふたつある。

半音階的大半音 9/8÷16/15=135/128
半音階的小半音 10/9÷16/15=25/24

大全音は同じ島の中で、ふたつ隣の音に移ることに相当する。小全音は川を渡ってふたつ隣の音に移る。全音階的半音は上の図を見れば川をひとつだけ渡って5つ手前の音に移っていることが分かるだろう。

全音階的半音と半音階的小半音を足した結果は小全音になる。小全音は隣の島に行き着かないといけないから、家を出て、川をひとつ渡って5つ手前の家に寄り道(全音階的半音)して、ふたつ川を越えて7つ先に戻っていく(半音階的小半音)感じになる。壁にぶち当たる場合は寄り道の順序を逆にすればよい。

一方、全音階的半音と半音階的大全音の和は大全音になる。大全音にするためには同じ島に帰らなければならないから、川をひとつ渡って寄り道したあと、越えていい川はひとつだけ(半音階的大半音)である。

半音階的小半音はふたつの川を越えるのであった。もし、川をふたつ越える短2度があれば、半音階的小半音との組み合わせでも大全音ができることになる。

そう思って五度圏を見てみると、Fis-G間の短2度が川をふたつ越えていることが分かる。計算するとG 9/5をFis 5/3で割って、27/25になる。念のため、大全音と半音階的小半音の差を計算してみると9/8÷25/24=27/25で、確かに合っており、どの半音とも異なることが分かる。

大全音と半音階的小半音の差 27/25

短2度だから全音階的半音の仲間と考えれば、さしずめ全音階的大半音、というところだろうが、大リンマ、ディエシスなど文献によって色々な呼び方があって、はっきりと決まった名前はないようだ。広い短2度、とでも呼んでおこうか。

結局、

純正律には全音が2種類、半音が4種類ある

というのが結論である。なかなか面倒くさいやつである。

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