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イタリア機の魅力について語りたい〜その3
イタリア機の魅力について語ってきましたが、尽きないので今回で一旦最終回とさせていただきます。今回は珍妙機だけでなく、傑作機もご紹介。
■パイロットは腹ばいで操縦。SM.93
イタリア独特のデザインはまだあります。1943年に開発されたサヴォイア・マルケッティ SM.93。この機体の最大の特徴はパイロットがうつぶせになって搭乗するところです。え?
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ドイツの国籍マークが付いていますが、この頃はすでにイタリア王国が降伏してしまったからでした。
この機体は急降下爆撃機なので急降下からの引き起こしにかかるパイロットにかかるGの負担を減らすことと空気抵抗を減らすことが目的であったといいますが、変なのは、後ろの航法士兼銃手は普通の姿勢で座らせたこと。ものすごく中途半端な感じがしますね(笑)。でもSM.93は逆に高くなって空気抵抗が増している感じが・・・・。これ、操縦席内部がどうなっているのか見てみたいです。
似たような設計思想では、ドイツのHs132というジェット機があるのですが、たしかにこの構造だと空気抵抗が減らせますね。
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1944年に初飛行しましたが、その後ドイツ空軍当局によって開発中止となりました。
■右翼と左翼の長さが違う?イタリアの最良戦闘機マッキMC.202フォルゴーレ
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単発エンジンの飛行機ですと、プロペラの回転方向は右回転がほとんどですので、トルクモーメントが働きます。これを相殺させるために、垂直尾翼の形状を左右非対称にしたり、エンジンの装着位置そのものに角度をつけたり、修正タブで調整したりと微妙な設計を入れているのですが(外見ですぐに分かるのが二重反転プロペラ)、このマッキMC.202は、左右の翼の長さを変えるという他国ではみないデザインを取り入れています。
その差は20cm。スケール機にするとほとんど違いが分かりませんが、面白い取り組みですね。イタリアでは戦前からもしばしば用いられていた手法だそうです。
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イタリアの大戦末期に登場した、MC.205ベルトロ、G.55 チェンタウロ、そしてRe2005サジタリオは、共にドイツの戦闘機や米軍の戦闘機にも劣らない高性能で優秀な機体でしたが,エンジンはダイムラー・ベンツDB605のライセンス生産(フィアットRA1050RC58)に頼らざる負えませんでした。
ちなみにこに3機種は、"Serie 5”と後に呼ばれ、DB605エンジンを搭載した(とそのライセンス生産)最終形態の優秀戦闘機として、イタリア空軍最後の輝きを放っています。
この点では、日本がアツタやハ40などのライセンス生産で苦戦したとのは対照的ですね。
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みんなDB605系エンジンの仲間たち
■外見だけでない。イタリア機の魅力はカラーリングにもあり。
イタリア機の魅力は外見だけではありません。カラーリングにも定評があります。
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1938年イストル-ダマスカス~パリ間飛行機レース優勝のサボイアSM.79Tスパルピエロ。全体でイタリアの国旗を現したこのカラーリングのセンス・・・。3発機はやっぱり時代を感じますね。
垂直尾翼のカラーリングも実に多彩です。でもイタリア機って分かるところがセンスですね。
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これだけ複雑な迷彩・・・・塗装出来るかっ!っ゚д゚)っと、モデラー泣かせのものが多いのです。
1/144のSWEET製のMC.200に至っては細かい迷彩のデカールを出してきました(笑)
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洗練された外観は、イタリア人の情熱と空力的センスの良さを証明していました。しかしそれは悲しくも、当時のイタリア工業力の限界をも証明することにもなるのです。優秀な航空機に仕上げるためには、エンジンや機関砲は輸入品に頼らざるを得なかったのでした。
戦争は終わりましたが、イタリア人たちの洗練されたセンスは、戦後の自動車業界などにも活かされることになります。
やっぱイタリアは平和な時代にこそ、その良さを発揮するように思います。
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3回に渡り、日本ではあまり知られていないイタリア機を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。まだまだ紹介したいユニークな機体があるのですが、少しでもイタリア機の魅力が伝われば幸いです。長くなりましたが、お付き合いくださりありがとうございました。