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花のベッドでひるねして

よしもとばなな 2017年

・概要
 海辺で拾われた捨て子の幹は、血の繋がらない家族に愛されて育った。祖父が残したB&Bで忙しく働きながら幸せに過ごしていたが、廃墟のビルに明かりが点いてから不穏な出来事が起こり始める。両親の交通事故、夢に出る気味の悪いうさぎ、玄関前に置かれる小石……。歪んだ世界を、小さな村の平凡な営みが正してゆく。希望が芽吹く傑作長編。(本書後ろの文より引用)

・感想
 去年の秋、『「違うこと」をしないこと』で初めて読んだ吉本ばなな作品。年末に『キッチン』を読んでから、しばらく見かける機会も少なかったのですが、図書館に行ったときにまた見つけました。

 捨て子の話で、血の繋がらない家族に愛されて育ち、祖父が残したバーで忙しく働く人の話です。そんなある日、廃墟のビルに明かりがついて、それから、不気味で奇妙な体験を沢山してゆくことになっていきます。

 読んでいて、上の方のあらすじでも言っているように不気味な出来事が立て続けに起こるので、読み手側も不気味に感じて、ハラハラしてくる作品だと思います。「苦手な方も、もしかしたらいるのかな」と感じました。そして、結末はとても切なかったです。実の親とは小さい頃、一緒だっただけで、その後すぐに捨て子になってしまったので、実のお母さんの存在をちゃんと知らない幹、不気味な出来事は何かがこれから起こる前兆のようなものです。まさかの結末でした。読み終わったときには「なかなか、波乱万丈な人生を送っている人だ」と間違えなく感じるはずです。

 『キッチン』とはまた少し違ったハラハラ感としんみり感があり、結末では胸がぐっと締め付けられる作品でした。

・書籍情報
発行日:2017年4月15日
発行元:幻冬舎
定価:本体460円+税

・備考
2013年11月、毎日新聞社より刊行。

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