銀河鉄道の父
門井慶喜 2017年
・感想
家族からの薦めで読んでみたくなった本です。今年の春には映画化されていたようですね。小学生の頃、国語で「やまなし」を習ったのを思い出して懐かしくなりました。
この本、語り手が「賢治」ではなくその父「政次郎」なのです。この作品自体は、フィクションだそうですが、作者が自分で研究したものをもとに、実際のものと忠実に合わせて執筆したと聞きました。
いや~しかし、お父さん視点で「賢治」を書くとは…。「今までにない発想だなぁ〜」と。全く思い浮かばず、面白くてページを捲る手が止まりませんでした。
賢治は質屋を継ぎたがらず、将来の目標も最初は行き当たりばったりで、父からみたら「どうしょうもない子」というような感じでした。この話を読んでみて、「私のことを言ってるの?」と錯覚してしまうような、話でした。「親の考える理想像と、自分が思うなりたい姿。」一致しない人も多いかと思います。やっぱり、このときから何も変わってないんだなぁと感じました。結局、親と子はどこかで対立するものだと。
その後、妹「トシ」が病に倒れてしまい、それを機に、賢治は創作活動を始めます。最初は新聞記事の片隅の方に小さめに載るだけでしたが、徐々に見出しが大きくなって、最終的に本になります。政次郎は毎回、息子の記事が気になって確認するのですが、そこにも、大切な息子を思う気持ちがみてとれました。伝え上手ではなく、普段は厳しい親も、実際、子どもを一番大事に思ってくれているのは、その親なのだと実感しました。
明治、大正が舞台の話ですが、21世紀の今も普通にあることで、「根本は何も変わってないのだなぁ。」と感じました。
もっと、家族を大切にしようと思える作品でした😊