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未来のミライ

細田守 2018年

・あらすじ
 小さな庭に小さな木の生えた小さな家。ある日、甘えん坊のくんちゃんのもとに生まれたばかりの妹がやってきます。両親の愛情を奪われ、戸惑うばかり。

 そんな時、くんちゃんは未来からきた妹・ミライちゃんと出会いました。彼女に導かれ、時をこえた冒険へ旅立ちます。むかし王子だったと名乗る謎の男、幼い頃の母、父の面影を持つ青年。様々な出会いを経て、くんちゃんが辿り着く場所とは?

 細田守監督が書き下ろす原作小説!(本書後ろのあらすじより引用)

・感想
 私が中1か中2ぐらいの時に映画として公開された作品です。公開された翌年頃に、金曜ロードショーか何かで放送されているのを、ボーッとしながら観ていた記憶があります。

 家族や子どもについて綴られた作品でした。家に赤ちゃんが生まれて、自分に妹が出来ました。お父さん・お母さんは妹につきっきりで、自分の事を前ほどあまり見てくれなくなってしまって、すねたりするくんちゃんの姿は分かるような、分からないような気持ちになりました。私は一人っ子だったので、兄弟姉妹がおらず、そういった経験がないので分からないような気がしました。しかし、今まで、相手にしてもらっていたことがされなくなって、イライラすることは人として共感できる部分だと感じました。彼は小さい子なので、大人からの見方が変わると不安もついてくるでしょうし。

 転びながら自転車に乗ろうとして諦めてしまう姿や、イライラが募って、新幹線のおもちゃで妹の顔を叩こうとしてお母さん怒られたり、最初はめちゃくちゃな子でした。しかし、夢を見ているのか不思議な世界にでも行ってしまったのか、そこで、昔の姿をした、くんちゃんと関係する人たちと出会う中で、彼が悟って少しづつ成長する姿は、とても感傷深いものでした。

 そして、偶然の奇跡が積み重なって今の自分たちにつながるという未来のミライちゃんの言葉には、よく考えさせられました。「あの時、あそこで出会っていなかったら」とか「あの時、こういう選択をしていなかったら」と考えると、面白いものです。

 現実のどこにでもありそうな家族の生活を描いた作品でありながら、独特の描写も数多く出てくる「未来のミライ」。映画をまた観返してみたいです。

・書籍情報
初版発行年月日:2018年6月25日
発行元:KADOKAWA
定価:560円+税


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