神戸南京町行列店のゴミ箱コンペを開催するまで|株式会社老祥記様
こんにちは!兵庫県明石のデザイン会社、株式会社One Designの中田です。
今回は、これまで弊社が携わったプロジェクトの企画から納品までのストーリーを紹介します。
クライアント:株式会社老祥記様について
株式会社老祥記様(https://roushouki.com/)は、兵庫県神戸市にある神戸南京町(地元民は中華街とも言いますよね)にある元祖豚饅頭のお店(豚饅頭/ぶたまんじゅうという名前が生まれたお店)です。
その歴史は大正4年から(!)、毎日豚饅頭を求めてたくさんの方で行列になっている有名店です。
プロジェクトの打合せにも何度か差し入れしていただいたのですが、本当に本当においしくて事務所に置いていても一瞬でなくなります(笑)
おいしさの秘密は、代々続く”麹”から作った生地と、肉汁たっぷりで醤油が効いた餡!1個ずつが小ぶりなので、ついつい進んでしまいます。
この記事を書いているだけで食べたくなってきました……。
企画・立案
当初はゴミ箱デザインのご依頼
ある日、弊社の玉森宛に専務取締役の曹 祐仁さんから、「One Designさんってゴミ箱のデザインもお願いできるんですか?」といったゴミ箱制作の問い合わせをいただきました。
その際、ご依頼の経緯や今後の展望について以下のようにお話しいただきました。
老祥記さんへの提案にあたって、話題性になるようないわゆる“バズる”ゴミ箱のデザインや仕掛けを考えてみたりしたのですが、本当にそれがお客様のためになるのか……。考えた結果、私たちがデザインするのではなく、プロジェクト自体を参加型にするのが良いかと考えました。
応募者の方にとっては、自分のデザインが実際のゴミ箱となって神戸南京町でもかなり目立つ場所に設置される、老祥記さんにとっても自社や神戸について知ってもらえる良い機会になるとのことで、無事に承認いただきました!
デザイン
制作物について
A4フライヤー
B3ポスター
A1ポスター
LP
の制作を行いました。
B3ポスターについては神戸地下鉄の中吊り広告にて活用されました。
メインビジュアルが決まるまで
デザインをするにあたって気を付けたことは、
出来るだけ特徴のない、でもゴミ箱とわかるデザインを使用すること
元々老祥記さんのゴミ箱は豚ちゃんの口にゴミを入れるデザインでした。ポスターやLPでも現行デザインを踏襲したものをあしらいで使用してしまうと、これから応募される方の発想を制限・誘導してしまう可能性があると考えました。
ただ、ゴミ箱の広報であることから、ゴミ箱を連想させるイラスト・アイコンが必要だと思い、どんなイラストのアイデアにするか試行錯誤しました。
老祥記さんの雰囲気、伝統を壊さない
老祥記さんは1915年から豚饅を作り続けている老舗。
当時から使っていたカラーや字体は出来るだけ踏襲しながら、「新しいゴミ箱のアイデアを採用したい」というチャレンジングな思いをくみ取りながらデザインすることを心がけました。
カラーについても老祥記さんのコーポレートカラーである深い赤をメインで使用し、他の色も最小限に抑えました。
こちらも、当初の「老祥記を全国区にしたい、認知度を上げたい」という思いをお伺いし、正しいイメージ、正しいカラーが応募者の方に認知されるよう心がけました。(他の色をたくさん使うと、応募者の方がデザインを考える際に、その色が媒体に使われている意図を考えてしまったり、発想の妨げになってしまったり、ミスリーディングになる可能性を考えながらデザインしました。)
文字・フォント選び
一番目立つ、「ゴミ箱デザイン募集」の文字は、”解星 特ミン”を採用しました。
このフォントは かなカナ=明朝体、漢字=ハネやはらいにドットがついた装飾文字 であることが特徴です。
見出しの上に配置している「株式会社老祥記」は書体のご指定があったので、そちらと組み合わせてもアンバランスにならない、且つ全年齢向けのコンペのワクワクする感覚や新しい試みであるキャッチーな雰囲気を出すために選定しました。
本文や募集要項のところは、中づり広告やポスターとしての利用目的があったので、遠くからでも視認しやすいゴシック体を選定しました。
LPデザイン
とにかく豚まんをポヨンポヨンと跳ねさせる!!!!!!という強い思いをもって臨みました(笑)
https://roushouki.com/competition/
コンペ運営について
募集要項や規約の作成
今回行われたデザインのコンペ開催は老祥記さんでも初めての試みだったということで、弊社で賞や募集対象、規約などを提案しました。
志あるデザイナーも、デザインをしたことないお子様もご高齢の方でもそれぞれが楽しく参加できるように
賞のばら撒きみたいにはならないように(あくまでもきちんとした選考基準や人数に制限を設ける)
応募時に部門や様式で迷って応募の機会を損失しないように
といったところを加味しながら、①手書き部門(誰でもOK)、②3Dデザイン部門(CADソフトなどのツール使用を条件とした部門)の2つを設けました。
賞をとった方の賞品についても、「豚饅100個引換チケット」や神戸南京町内や近隣にある宿泊施設の宿泊券をプレゼントすることで、神戸南京町に訪れる、現地に足を向けるきっかけになるようにしました。(豚饅100個、夢がありますよね…!(笑))
コンペサイト掲載
コンペ応募を呼び掛ける媒体として、地元の方向けにはポスターやチラシ、電車内の中づり広告を活用しました。
全国区に向けては、無料から掲載できるコンペサイトに情報掲載することとなりました。
問合せの対応
応募を検討されている方からの質問の窓口となり、老祥記さんと確認しながら返答のメールを作成しました。
皆さんとても熱心にご質問いただき、「開催してよかった…嬉しい…」と思いながら回答していました。
コンペ開催の反響、結果
優勝すると豚饅100個チケットがもらえる!という賞品がキャッチーで、公募ガイドの特集に掲載いただいたり、コンペサイト内でもたくさんのいいね!を頂いたほか、全国から本当に多くの方に応募いただきました!
北は北海道、南は福岡まで、年齢も所属も本当に様々でした。
既に企業にお勤めの現役デザイナーさんからもご応募いただいたほか、学校単位で集団応募いただいたところもあり、いろんな方の目に留まって楽しそう!と思っていただけたことが本当に嬉しかったです。
応募期間が夏だったこともあり、私たちにとっても良い夏の思い出になりました◎
突飛なご提案にもかかわらず承諾いただいた老祥記さん、本当にありがとうございました!
終わりに
今回は弊社の制作物の企画から納品までのストーリーを紹介しました😊
いざPCに向かって書き始めると当時のいろんなことが思い出されます。
次回は、異なる弊社の制作物のストーリーを紹介できればと思います!
今日の晩御飯は豚まんにしよう……!!