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お店とお客さんの距離
人と人との距離を考えたとき、都会では隣に誰が住んでるかもわからないくらい希薄で、地方は噂がすぐに広まるくらい濃い、なんてよく耳にする。その対応と同じように、飲食店ならお店とお客さんの距離や関係がチェーン店は希薄で、個人店は濃くて深い、とおおよそ言えると思う。そこには時間の流れや忙しさが関係してそうだ。ファーストフードのレジで店員さんと世間話しをしている場合ではない。また、作り手の顔が見えない、ひとつの商品に対して関わっている人の多さ、も関係しているだろう。例外はもちろんあって、チェーン店でも名物的なキャラのたった人はいるし、個人店でも無愛想な人はいる。どれが正解というわけではなく、現代社会の傾向だと思う。
人によっても人間関係の距離の取り方は千差万別でグラデーションになっている。洋服屋さんではそっとしてほしいけど、美容室では話したい、みたいなこともあるだろう。サービスする側も、利用する側も、突き詰めれば相性でありマッチングな気もする。
お店のスタンスとしては基本テイクアウトなので、込み入った話をする時間もなく、わりと適度に距離をとっているつもり。それでも話せるお客さまはきっと相性がいいということだろう。それに個人店なので接客マニュアルがあるわけでもなく、相手を見て臨機応変に対応しているかもしれない。お客さまが何を求めているかにもよる。人が作る商品なのか、商品そのものなのか。昔は、人は本能的に社会的な生きものなので、顔の見える人のぬくもりが感じられるサービスが正義だと思っていたけれど、時代の変化は意外とそうでもないと感じるようになってきた。都市化やチェーン店が増えたことで、人と人の距離が遠いことも当たり前になってくると、関係性の濃さは面倒なこととして扱われるようになってもおかしくはない。大きな時代の流れに抗うことはできない。便利や快適を手にして心の温度が冷めていくのをただ傍観していれるのか。まだ都会な方と言えるこの街でどこか切なさだけが身に沁みていく。