大野宗達

料理やお店、社会のこと 「MEEK」 https://meek-togo.com/ 小…

大野宗達

料理やお店、社会のこと 「MEEK」 https://meek-togo.com/ 小さなお店のためのグルメサイト 「REATABLE」 https://reatable.net/

最近の記事

お店を手放す選択

料理人を志したなら、いつかは自分のお店を持ちたいと思うのが一般的な考え方だと思う。 周りもまた美味しい料理を作る人に対してお店を待つことを勧めたりする。 自分も当たり前のように自分のお店を持つことに憧れ、実際にお店を持つことができた。 ある程度の経験とお金さえあればお店を持つことはそうむずかしくない。 飲食店は手軽に開業できるからこそ、数が多くて競争が激しくなり、その分閉店するお店も多くなる。 この度、やむなくお店を手放す選択をした。 自分が築いてきたブランドだし、お客様と

    • つくれる量の限界

      一般のお客さまは飲食業界の内情をどれくらい知っているんだろう。 材料費やら、消耗品やら、家賃などの固定費から売上まで。 食は身近なものだけに理解はしやすいだろうけど、具体的な数字や感覚はきっとわからないだろう。 同じ身近なものでも自動車業界における原価や整備費がまったくわからないように。 どれだけ食材にこだわって、時間をかけて丁寧に料理を作っても、お客さまが目にするのは商品という“点”であって、工程である“線”の部分はこちらから説明しないかぎり(基本的には)伝わらない。 周り

      • ご馳走はたまにでいい 

        どこからどこまでがご馳走なのかは人によって違うだろう。 幼少期に外食ばかりの環境で育っていたら、よっぽどゴージャスでないとご馳走だと思えないし、いわゆる家庭料理を食べて育っていたらファミレスでさえもご馳走になる。 ぼくはもちろん後者で、料理を生業としてきたにもかかわらず、そんなにたくさんのお店を食べ歩いたりはしていない。 最近になって外食は勉強になるし楽しいと思えるようになった。 でも何日か続けて外で食べると無性にふつうの白ごはんと味噌汁が恋しくなる。 自分が慣れ親しんだ食べ

        • 時間がないという言い訳

          なにかと忙しくしている現代人。 ある程度都会だからそう思うのかもしれないけど、周りの人はみんな忙しそうにしている。 忙しそうな人には2種類の人がいると思う。 ひくてあまたで忙しい人か、ほんとは忙しくないのに忙しいフリをして忙しいことを美徳だと思っている人か。 何をもって忙しいのか。 基本的にはスケジュール的な忙しいを指すけれど、心を亡くすと書くように悩みごとが多くても精神的に忙しいと言える。 今の社会はとにかく情報が多すぎるので、何かをやらないといけない衝動に駆られてしまう

        お店を手放す選択

          優しさの加減

          優しさは男女ともに異性に求める人気の性質だと思う。 優しさとは、気遣いや配慮、思いやりといったニュアンスでしょうか。 その背景には相手が自分のことだけを考えてくれている行動や姿勢というフカフカしたあたたかいものにうずくまれるような感覚なのかもしれない。 誰しも認められたい、必要とされたい、が人間の根源的欲求であることが窺える。 しかし優しさは多すぎても少なすぎてもよくない。 優しさを与えすぎると相手はそのことが当たり前となってしまい、優しさを優しさと感じなくなってしまう。

          優しさの加減

          勝者は初めから決まっている

          いわゆる成功者や世に名を残すような人たちは、初めから決まっているような気がする。 それは生まれもった性格と、育った環境とで大きくは二つのことが影響している。 性格はどこまでも遺伝によるもので、得意なこと、向いてること、できること、は当たり前に人それぞれで違う。 本来どの性格にも優劣はないけれど、生きてる時代とその社会のシステムは一定の基準を突きつけてくる。 今で言うと、外交的で、言語化がうまくて、コミュニケーションが上手で、ポジティブで、楽観的な人が圧倒的に有利な社会になっ

          勝者は初めから決まっている

          食べに行く

          食べることは生きていく上でなくてはならないものだけど、外食は基本的になくてもいいもの。 最小単位は家で作れば完結する。 遊園地や映画館やカラオケも別になくたって生きていける。 というか大昔は当然のようになかった。 外食も同じくそれはエンターテイメントとして存在している。 いろんな楽しみがあって人間は豊かになれる。 裏にはお金儲けな話があるかもしれないけど、やっぱり楽しいって大事なこと。 それに楽しい要素の中には、思い出や会話や体験といったコミュニケーションが中心にあって、人と

          食べに行く

          美味しいよりうれしい

          思春期の記憶は鮮明に残りやすい。 繰り返し聞いていた歌、友達との出来事、恋愛体験。 知らないことばかりで、初めてのことばかりで、いろんな刺激をぐんぐんと吸収する時期。 良くも悪くもその時期の経験は大人になるまで影響を及ぼしてる。 感受性が強いということはそれだけ心を動かしているということ。 大人になった今、あの時の感じ方をすることはとてもむずかしい。 社会のルールを知り、慣習を身につけ、周りと同調するように生きてくことになる。 人間の宿命といえばそうなのだろうけど、そんな一

          美味しいよりうれしい

          いやな気分にさせてでも

          最近、役に立つかもしれないと思い、ちょっとした気持ちで会員登録したサイトからご案内のメールがたくさん届く。 サイトの内容を詳しく閲覧するためには会員登録しないと見れない、ようなことが増えたと思う。 そして大抵無料だったりする。 個人情報の入力だけでも面倒だけど、無料となると少しハードルが下がる。 仕方ないかと会員登録をする。 ご案内メールも頻度が多すぎるとうんざりしてしまう。 どれだけ重要な情報でも、この時点でいやな気分になってしまうのは自分だけだろうか。 配信停止の案内は一

          いやな気分にさせてでも

          努力って 

          努力している、と自分で言うのはなんか違うと思っている。 他者がその行動を見てどう判断するか。 結果を伴ってこその努力という見方もできるし、同じことを続けていることが努力という見方もできる。 努力の尺度ってすごく曖昧。 おそらく努力の理想系は、周りから見て努力をしてると言えるけど、本人はそれを努力だと思ってやっていないところにある気がする。 楽しい努力、楽しい苦労、大変なことを大変だと厭わずにできること。 夢中、フロー状態、ハマる、そんな言葉にも置き換えれる。 ただひたすら目

          努力って 

          実体のないお客さん

          世間や大衆と同じくらい、お客さんというカテゴリーは実体がなく、誰のことでもないし自分のことでもあるという曖昧性を秘めている。 わりとマイノリティな方だし、社会に適合していないタイプだと自覚しているけど、見方を変えれば世間の一員にすぎないし、どこかのお店を利用するお客さんにしかすぎない。 普段はただの一般人で、ただの消費者だけど、自分で商売をしていると、ひとたび立場は変わってしまう。 ビジネスをする側としては、お客さん、つまりターゲットを明確にすることがとても重要になってくる。

          実体のないお客さん

          嘘をつけない人たち 

          一定数いると思っている嘘をつけない人たち。 誠実すぎて、真面目すぎて、不器用すぎて、環境に適応できなさすぎてかえって損をしているんじゃないかと思われる人たち。 誠実や真面目は褒め言葉のように聞こえるけど、どうしたって曲げれない信条は行き過ぎると時に息苦しささえ憶える。 もっとゆるく楽に生きれば楽しい人生になるとわかっていても。 そのような人たちは総じて頑固者や職人気質というカテゴリーに分類される。 そしてだいたいにおいて周りからは変人扱いされる宿命だ。 でも周りの意見に流され

          嘘をつけない人たち 

          励みになること

          メッセージを外側に発するということは、何か伝えたい想いがあってこそ起こる動機の場合が多い。 友達との何気ない雑談や、SNSでの発信、歌だってそう、メッセージを発する時の裏側には、相手に対して理解や共感などの反応を少なからず求めている。 それはある意味で表現活動をしていると言えるし、誰だって表現者だとも言える。 人と人は関わり合いの中で生きている。 自分の話を聞いてもらえたら嬉しいし、共感してもらえたらもっと嬉しい。 反対に、届いてなかったら悲しいし、否定されたらもっと悲しい。

          励みになること

          持ってる人

          世間で活躍していて結果を出し続けている人を「持ってる」なんて表現する。 何を持ってるのか。 運、実力、オーラ、スキル、雰囲気、なんとなく曖昧で定義しずらい感じが漂っている。 天才と呼ばれる人たちが一定数いるのはたしかで、各分野で努力の片鱗も見せず涼しい顔でそつなくトッププレイヤーの座を獲得していく。 凡人が努力で超えられない壁があるのは一目瞭然、もはや嫉妬心さえ生まれなくて、ただただ尊敬するばかり。 個人的に「持ってる」という表現は、そんな天才性と結びついていた。 正解かど

          持ってる人

          大人になってわかる味覚 

          一般的に美味しい食べ物は、脂質と砂糖が多く含まれている。 牛肉における霜降りや豚の角煮やフォアグラ、マグロのトロにのどぐろなど、動物性の脂質はどれも口の中に入れた瞬間に消えてなくなるような食感を、みんなこぞって美味しいと言う。 高級食材は希少性も美味しさに加味される。 砂糖を含む甘いものも美味しさの代表格。 好きな人が多いのは言うまでもないこと。 脂質と砂糖は人間が生存する上で本能的に求める栄養素なので一概に悪いものではないけど、現代の消費社会は誘惑が多く過剰に摂取している人

          大人になってわかる味覚 

          褒められる気持ちよさも、表現者であることの意味合いも 

          褒められると気持ちがいい。 存在を認められると気持ちがいい。 これはだれにとっても普遍的な欲求だと思う。 料理を作って相手に食べてもらう。 この行為はダイレクトに、スピーディーに反応が返ってくる。 料理人にとって「美味しかった」は魔法の言葉。 たったその一言で、かけた時間も、思った感情も、報われる。 自分が作った料理を認められるということは、やりがいになるし、生きがいにもなっていく。 お客さんと料理を通して心を交わす。 食べたら消えてなくなる料理だけど築いた関係性はなくな

          褒められる気持ちよさも、表現者であることの意味合いも