「源氏物語」の楽しみ方を知る
Audibleで角田光代訳「源氏物語 上」を聴いた。残りの下巻は11月後半に配信されるのだそう。上巻のあとがきで角田光代さんによる「源氏物語」の楽しみ方がつづられていて、今まで全巻読破できていなかった私には、こうゆう見方をするのかと、目からウロコだった。配信が待ち遠しいし、なんなら本で下巻を読もうかとも思い始めている。
「源氏物語」と「枕草子」ならどっちが好き?と、問われたら…
私なら、小さなことの中にも美しさを見つけて、「いとおかし」と愛でる枕草子がだんぜん好み。いろんなことで思い悩んでいた時期に「枕草子」出会って、いろいろ思い悩むより、ささいな事のなかにある美しさに気づける自分になりたいと思えるようになった。清少納言を師と仰ぎ、時には才色兼備な友人を定子と見立てて自分を清少納言と思いこみ困難な日々のなかでも「いとおかし」と、ささいな美しい物や事を、愛でながら困難をのりこえてきた。
朝日をあびてきらめく庭の朝露の美しさを愛でる「いとおかし」より、庭の朝露が朝日にあたって消えゆく儚さをなげく紫式部の「もののあわれ」を感じるような感覚は、私の器には重たすぎて持ちきれなかったのだ。
しかし、イケメン好きの身としては光源氏も気になるところ。
世間でささやかれる光源氏の魅力を理解したく、人気作家の新たな現代語訳を見つけるたびにチャレンジするしていたが、全て前半で脱落してしまっていた。
その理由は多情過ぎる光源氏がどうにも好きになれない。とても身勝手ではないかとおもってしまう。
そんな男に振り回される姫君も不甲斐ないと思ってしまうのだ。これは完全に好みの問題だからしょうがないのだが、そんな風におもいつつもなぜか気になる。唯一最後まで読めた、漫画「あさきゆめみし」は後半が興味深かったし、今年は大河ドラマ「ひかる君へ」を見て、その後に解説のポッドキャストを聞いたりして楽しんでる。吉高由里子さんの藤式部も柄本佑さんの藤原道長も魅力的だし、映像化された平安時代の風俗を目にしたことで今まで以上にイメージしやすくなっている。
この機会に今一度「源氏物語」の世界にひたってみたいと思ったいたところに、角田光代訳の「源氏物語」がオーディブルに入っていることに気づき、渡りに船とばかり源氏物語の海にこぎ出したしだいである。
今公開されている上巻を聴き終わり、今は11/29配信の下巻の公開を待つのみ。上巻を聴き終わって、やっぱり光源氏は多情すぎるし、今の世なら犯罪だろう…と突っ込んでしまう自分が頭の中にいて結構うるさくて、ものの哀れを感じるどころではなかったが、そこはオーディブル私の頭のなかの喧騒にかまわずどんどん物語は進んでくれた。
上巻の後書きの部分で角田光代さんが源氏物語の楽しみ方を書いていて、それによると言い寄ってくる光源氏を女性達がどうあしらうかが面白いと。いままで源氏物語が面白くなかったのは私の視点が原因だったのだ気づかされる。そうゆうふうに読めばいいのかと、今さらながら思い返してみると確かに姫君の対応が、彼女達の立場や性格で見事にそれぞれに違う。これは面白い。
私は光源氏の度々の猛アタックになびかなかった「空蝉」が好き。もっと若かったら…夫がいなかったら…と思いつつも、最後まで光源氏を拒んだところが、彼女なりに思い迷った結果でその姿がいい。
角田さんの後書きのおかげで、やっと源氏物語のおもしろさに気づけた今、もう一度新たな目線で上巻をおさらいしてみようと思う。