税の仕組みをビジネスに生かす? 【読書要約】大村大次郎「元国税調査官が明かす 金を取る技術」
大村大次郎 「元国税調査官が明かす 金を取る技術」 (株)光文社
ビジネスをするうえで、一番難しいのは何だと思いますか。
仕入れ
営業
従業員集め
経営コスト
どれもそれぞれ難しい部分はありますが。
どんなビジネスでも、実は一番難しいのが「代金回収」なんです。
代金回収が難しい理由
どうにか商品を売ったまでは良かったけど、そこからが最難関の
代金回収。
代金回収が難しいのは
販売
↓
支払い
この間!
タイムロスがあること。
時間が空くと、買ったほうにはこんなトラブルが起きがち。
・資金の都合がつかなかった
・お金を払うのが惜しくなる
・忘れる
こうして、そのつもりはなかったけど結果的には支払いを踏み倒すはめに・・・
売ったほうは、待てど暮らせどお金を貰えず。
そう、待っていてもお金は入ってこない!
事業主は自らお金を取りにいかねばならないのです。
そこで参考になるのが、日本で最強の集金法
「税金の徴収方法」なんです!
国税調査官が明かしてくれた税金の取り方
1お金は取りやすいところから取るべし
お金を取りやすいところ。それは貧乏人。
「お金持ちのほうが財布のひもは緩いんじゃない?」
と思いがちですが、実は逆。
お金持ちは、知識があって、人脈も政治的な力もある。
そこから下手にお金を取ろうとしたら、火傷するのはこっちです。
貧乏人は知識も力もないから、お金をとっても文句を言ってこない。
2勢いのある業界をターゲットにする
勢いのある業界=成り上がり者、にわか金持ちが多い業界
急にお金持ちになった人は、まだお金の知識が無く、経験も少ない。
専門家(会計士や弁護士)を味方につけていることも少ないから
徴税のカモにしやすいのですね。
3現場で生の情報を拾う
調査官はどんなときでも税金を取れるチャンスを探しています。
通勤電車で、新聞で、SNSで、街のカフェで
誰が儲かっているか。脱税の気配はないか。
これは事業主に置き換えると、社長室を出て営業や製造の現場に自ら出向いて従業員の話を聞いてくるのと同じでしょう。
4イメージ戦略
国は良いイメージと悪いイメージ、両方の使い方が非常に上手です。
ポジティブキャンペーン例
「税金は社会の役に立っています」
ネガティブキャンペーン例
「国は財政がとても苦しいです」
こう聞けば、善良で人の良い市民は、税金を払いたくなるってもの。
また、このキャンペーンには数字を上手く使うのもポイント。
具体的な数字は、下手な言葉よりよほど説得力があるもの。
そのうえ数字は操作できる。統計データを使うとき、全体を見せず、都合のいい部分だけを切り取ってくるんです。
5広く浅く集金する
これの最たる手段は消費税。
誰もかれもが、何かを消費しなければ、生きてはいけない。
その消費活動の瞬間に税金をかけたら、そりゃもう誰もかれもから税金が取れる。それも何度も。
世の中全体の消費活動はそれほど年次変化も大きくないから、消費税が取れる額は安定しているし、見通しも立てやすい。
おまけに、取られるほうはちょこちょこと些少な金額だから、「税金を払ってる感」が薄い。
大人数が、負担感無く、ほぼ定額を、継続的に払ってくれる。
国にしてみればこんな有難い話は他に無いでしょうねえ。
6システムを複雑にし、相手に理解させない
税金のこと、自信を持って分かるって言える人・・・・・・
いますか?
ちなみに私はさっぱり分かりません。
はい、それが税務署の狙いです。
税金の仕組みが素人に分かるようでは、簡単に節税されていまいますからね。
どんどん複雑にして、自分たちにしか分からないようにしていく。
そうすれば納税者は割高な税でも黙って払ってくれるし、こっそり増税の法改正をしても、バレません。
なんともヒドイ話ですね。
税金以外にも同じ手を使っているのが、民間保険業や、スマートフォンの料金プランでしょう。
(最近はずいぶん分かりやすくなったようですが)
どうでしょうか。
事業主のみなさん、参考になる手法はありましたか?
書籍内では、もっとヒドイ、えげつない、弱い者いじめ、そこまでやる!?、ヤ〇ザか!? という例がたくさん紹介されています。
軽く明るい調子の文章なのでついつい笑い飛ばしてしまいたくなったんですが、読後、よくよく考えてみると、「税務署、闇深いな・・・」と。
調査官、徴税するのも楽じゃないようです。
私自身は税金を取られる立場の人間ですが、彼らのメンタルのほうが心配になりました。
世の社長さんたちは、調査官相手に癒し系ビジネスを始めたら、儲かるかもしれませんよ。
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