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そのサッカーを疑え!

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#サッカー日本代表

森保監督と大岩監督はサッカー的には水と油。一貫性を欠く日本代表強化策

森保監督と大岩監督はサッカー的には水と油。一貫性を欠く日本代表強化策

 パリ五輪で指揮を執った大岩剛監督が、ロサンゼルス五輪を目指すアンダーカテゴリーの監督の座に再度、就くことになった。

 A代表の森保一監督も2026年W杯まで計8年の契約である。2人の代表監督が2大会続けてその座に就く姿は、池田太監督からニルス・ニールセン監督に首をすげ替えたなでしこジャパンとは対照的である。

 だが男子の森保監督と大岩監督は、サッカー的には水と油の関係にある。森保監督は就任以

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サッカー日本代表は砂上の楼閣。遠藤航について「まったく心配していない」という森保監督が心配になる

サッカー日本代表は砂上の楼閣。遠藤航について「まったく心配していない」という森保監督が心配になる

(写真:岸本勉/PICSPORT)

 2026年W杯アジア3次予選グループCを独走する日本代表。27人のメンバーは毎度9割方変わらない。怪我人が入れ替わる程度である。予選落ちする可能性は限りなくゼロに近づく一方で、メンバーの固定化は進むばかりだ。W杯本大会に向け不安は募る。

 メンバーが固定化されることはなぜ問題なのか。1年半後に迫ったW杯本大会が心配になるのか。ここから整理したい。

 代表

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クリスマスツリー化するサッカー日本代表と悪化するボールを奪われる場所の関係

クリスマスツリー化するサッカー日本代表と悪化するボールを奪われる場所の関係

(写真:岸本勉/PICSPORT)

 就任以来6年と数か月、森保一監督は目指そうとしているサッカーを具体的に語ろうとしなかった。

「臨機応変」。「賢くしたたかに」。「よい守備からよい攻撃へ」が精一杯。抽象的な表現でその場をやり過ごしてきた。たとえば欧州なら、それは代表監督として許されない振る舞いになる。代表監督のスタンダードが浸透していない日本だからこそ許される、ぬるま湯体質を象徴する事象にな

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日本サッカーの発展を妨げるベストメンバー至上主義と補欠文化

日本サッカーの発展を妨げるベストメンバー至上主義と補欠文化

(写真:岸本勉/PICSPORT)

 インドネシア戦(15日)、中国戦(19日)に臨む日本代表。メンバーから漏れたのは冨安健洋、伊藤洋輝、上田綺世など怪我人のみ。新顔はもちろんゼロである。相手は全6チームで争われるW杯アジア3次予選C組の5位、6位チームだ。日本と2位以下との差も勝ち点5開いている。予選落ちの可能性は限りなくゼロであるにもかかわらず、森保一監督は例によってオールスターキャスト、ベ

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自らの5バックを「賢くしたたかな戦い」と自画自賛する森保日本代表監督の楽観主義を心配する

自らの5バックを「賢くしたたかな戦い」と自画自賛する森保日本代表監督の楽観主義を心配する

(写真:岸本勉/PICSPORT)

 2026年W杯アジア3次予選でサウジアラビアに勝利し、サウジアラビアに引き分け、勝ち点を快調に伸ばしている日本。同C組の「死の組」という下馬評は何処へやら。予選突破は最終戦を待たず、早い段階で決まりそうである。

 日本が強いというより対戦相手に手応えを感じない。そちらの方を心配したくなるほどだが、5バック(3バック)サッカーに傾倒する森保サッカーを、超攻撃

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日本では何年経っても語られることがない5バックサッカーを観戦する上でのキーポイント2つ

日本では何年経っても語られることがない5バックサッカーを観戦する上でのキーポイント2つ

(写真:岸本勉/PICSPORT)

 かつて4バックは中盤フラット型4-4-2と相場が決まっていた。中盤ダイヤモンド型や日本でも流行したブラジル式の4-2-2-2など例外もあったが、8割方は中盤フラット型の4-4-2だった。

 1990年代前半頃までの話である。中盤フラット型4-4-2が、当時流行し始めたプレッシングサッカーの定番布陣であったことも輪を掛けた。2トップ全盛時代。言い換えればそう

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他人が育てたウイングをウイングバックで使い「超攻撃的」と讃えられる森保監督。他人の褌で相撲を取るな

他人が育てたウイングをウイングバックで使い「超攻撃的」と讃えられる森保監督。他人の褌で相撲を取るな

(写真:岸本勉/PICSPORT)

 森保監督が代表監督に就任したのは2018年7月なので、以来6年3ヶ月が経過したことになる。残された期間は2年近くもある。サッカーには様々な考え方がある中でトータル8年はあまりにも長い。

 欧州組は増えるばかり。選手のレベルは右肩上がりを示すが、国内の盛り上がりはそれに比例しているとは言い難い。外国に比べ、論点、論争、議論がないことが大きい。前回のW杯最終予

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サッカー日本代表。ベストメンバーで臨み2試合で12-0は戦力の浪費か。無駄遣いを嘆く

サッカー日本代表。ベストメンバーで臨み2試合で12-0は戦力の浪費か。無駄遣いを嘆く

 中国戦7-0。バーレーン戦5-0。2試合合計すると12-0だ。喜ばしい話に聞こえるが、筆者は勝ちすぎたとみる。それぞれ3-0で十分なのに12点も取ってしまった、と。へそ曲がりだからではない。日本もそうした考え方をしていかなければならない時代に突入したと考えるからだ。

 2026年北中米W杯アジア3次予選。日本が所属するC組を多くのメディアは“死の組”だ。大変なことになったと騒いだ。しかし出場枠

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4980人の鹿島スタジアムと64922人の国立競技場にスタジアム論が深化しない日本の現状を見た

4980人の鹿島スタジアムと64922人の国立競技場にスタジアム論が深化しない日本の現状を見た

 川崎フロンターレ対パリサンジェルマン(PSG)戦の舞台となった国立競技場の、その記者席に着席するや、筆者の脳裏には24時間前に観戦した日本代表対香港のスタンド風景が蘇った。

 国立競技場と鹿島スタジアムは、同じ競技が行われる舞台には見えなかった。この日、国立競技場を埋めた観衆は64922人。先月行われたブラジル戦の観衆(63638人)を上回る、新しくなった国立競技場の最多入場者を記録したのに対

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東アジアE1選手権。上がり馬は誰だ。日本代表は最後の最後まで固めない方がいい

東アジアE1選手権。上がり馬は誰だ。日本代表は最後の最後まで固めない方がいい

 東アジアE1選手権、最大の見どころは、大会後にある。9月に欧州で行われるとされる国際試合のメンバーに、ここから何人が食い込めるかという点だ。極端に言えば、多ければ多いほど好ましいい。W杯本大会にプラスに作用すると考える。

 今回のカタールW杯はこれまでとは異なり欧州シーズンの真っ只中に行われる。日本代表が最後に戦うテストマッチは9月で、大会直前に実施されたスパーリングマッチは今回、行われないと

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森保Jポジション別に見る強みと弱み

森保Jポジション別に見る強みと弱み

 せっかく予選を突破したのだから、重箱の隅を突くような真似は慎めと言うお叱りの声がどこからともなく聞こえてくるが、それでもやはり一言いいたくなる。先のオーストラリア戦の森保采配についてだ。

 選手交代は、この試合でも4人しか行われなかった。

 後半44分。山根視来の折り返しを三笘薫が流し込んだ瞬間、日本のW杯本大会出場は決定的となった。追加タイムは4分。そこからでも5枚目の交代カードを切ること

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サッカーはレギュラーとサブに分けない方がおもしろい

サッカーはレギュラーとサブに分けない方がおもしろい

 日本はW杯において1998年フランス大会以降、6大会連続本大会出場をはたしている。そのうちベスト16(決勝トーナメント1回戦)に進出したのは3大会(2002年日韓共催大会、2010年南アフリカ大会、2018年ロシア大会)。突破確率はちょうど50%だ。

 グループリーグを突破できるか。決勝トーナメントに進出できるか。目標値としてこれほど分かりやすいものはない。だが、突破できなかった3大会(199

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五輪男子サッカー。最大の関心は18人の顔ぶれより森保采配。日本の成績は監督で決まる

五輪男子サッカー。最大の関心は18人の顔ぶれより森保采配。日本の成績は監督で決まる

 本日、女子の五輪代表メンバーが発表された。男子(U-24)は22日。誰が選ばれるか。当落を予想する報道を目にするが、男子は接戦だ。U-24日本代表の試合を今月3試合観戦したが、候補選手たちは、よく言えば粒ぞろい。当選者と落選者の間に大きな差はない。突出した選手はいないが、特別落ちる選手もいない。平均点以上の選手がひしめいている。

 A代表についても同じことが言える。粒ぞろい。僅差で多くの選手が

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日本代表監督。過去の解任騒動に見る傾向と森保Jの関係

日本代表監督。過去の解任騒動に見る傾向と森保Jの関係

 森保監督への逆風。引き金になったのは、昨年12月に行われたE1選手権対韓国戦の敗戦だった。この段階では「このままでは4年持たないのではないか。心配だ」と述べるに止めたのは筆者だが、巷にはそれ以上に敏感な反応を示した人も多くいた。解任の声は湧き始めていた。グループリーグ最下位に終わったU-23アジア選手権を経て強まることになった解任論だが、この時すでに抑えは効かない状態になっていた。

 歴代の監

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