好きなことが、得意という奇跡
光浦さんのブローチのように、好きなことが得意なことという人にあこがれる。
わたしは子どもの頃から「不器用なおもちちゃん」で通ってきた。だから、わたしの特技は愛嬌。
得意なことがなかった。
取り柄は、やさしい。誰とでも、なかよし。
そんな、わたしに転機が訪れたのは、20代になって入学した保育の専門学校。
授業でありとあらゆるものを作った。絵も描いたし、工作、裁縫。はりこに、劇の大道具、小道具。何で保育士って何でも手作りなんだろう。
「おもちちゃんって、器用ね。」と言われるようになる。生まれてから一度も言われたことがない。信じられなかったけど、わたしは器用だったようだ。
作文の才能も開花した。小学生の時、夏休みの宿題だった読書感想文を姉に添削してもらい、提出したら賞を取った。ちっともうれしくなかった。
専門学校では、国語表現という授業があり、毎回お題が出され、200字の作文を書く。いつも先生にほめられた。賞よりも何倍も、うれしかった。
専門学校に通ったことで、苦手だと思っていたことが、実は得意だと気付けた。大人になってから周りが気付かせてくれたこと。
子どもたちの自己肯定感、自尊感情を育む保育士が、それを持ち合わせていないと言うのは辛い。
子どもたちには、自分がしてほしかったこと「わかっているよ、気付いているよ」ということを具体的に言葉で伝えてきた。
自分には厳しく、人にはやさしく。自分にもやさしくできたら、よかった。
好きなことが得意になるのは、元々の才能や努力だけではないと思う。周りが気付き、認めること。
大人もほめられるとうれしい。特別な才能がある人は限られた人だけど、聞かれてすぐに答えられほど好きなものが、何かあるといいな。
不器用だと思い込んできたため、物を作るのは好きではない。仕事だから仕方なくやってきた。自分の作った物に一切愛着がわかない。
それは、物作り全般に及ぶ。
自分で作るより、お店で売られているものの方が、かわいくておしゃれだし、おいしい。