アラフォー女ひとり酒・一軒め酒場編
チェーン店。
それは何よりも「安心感」を与えてくれる場所である。
大体の金額相場がわかる。
大体の味が想定できる。
カードが使えるか、電子マネーやバーコード決済が使えるかわかる。
もちろん、個人店に行くワクワク感も捨てがたい。見知らぬ想定外のメニューにお通し。その土地土地の名物。ザンギ?ひょうたん揚げ?黒おでん?ちりとり鍋?太平燕?ごまさば?何それ?と頭の中ハテナでいっぱいになりながら出てくるのを待つ楽しみ。
どこの席に座ればベストなのかわからない。Wi-Fiの有無も不明。このドキドキ感もたまらないものがある。
しかしコンディションによっては「想定範囲内の安心感」というのは何にも代えがたいものだ。
特に個人店がお客さんいっぱいでフラレたときや、後の予定がケツカッチンのとき。今すぐにアルコール摂取したい欲がMaxに到達したときなど。
そんな流れで今回わたしは大宮駅の一軒め酒場さんにお世話になった。
その名の通り、一軒めには最適な軽めのいかにもなメニューが多い。
「この後の予定がある、でも軽く飲みたい」には最適だ。まぁわたしはその後の予定があるにも関わらず4杯飲んだが…。
まずはビール。そしてつまみには豚ハツとまぐろたたき。
一軒め酒場のこの「特別美味いわけじゃない、けどそこにある安心感」がたまらない。大人にはそういうのがあえていい日もあるんだ。孤独のグルメのゴローさんが「これこれ、俺はこういうのでいいんだよ」と言う気持ち。まさにあれだ。
この日は真夏日の勢いでむちゃくちゃ暑かったので5分もかからずビールは飲み干した。
まさかの2連チャンでホルモン刺し。好きなんだよ…安いしね。
下に必ずオニスラとかもやし炒めがついてるのが酒飲みにはありがたい。いくらでもつけてほしい。
そろそろさっぱりしたものが欲しくなってメニューを漁っていると、実は大好物のそそられるメニューが。
鶏皮南蛮漬、たまねぎ、そしてミョウガが乗っている。何を隠そう、シーズンになるとわたしはミョウガばかり買うようになる。肉と炒めても旨し、サラダにしても旨し、うどんやそばと食べても旨し、とにかくうまい。大好きな野菜だ。
わたしが初めてミョウガと出会ったのはおばあちゃんの家だった。我が家にはミョウガを食べる文化はなかったのだけれど母方のおばあちゃんはお味噌汁にミョウガを入れる人である。(今も元気です)
幼少の頃、初めて口にしたときは「なんじゃこの食べ物?!」となったものの、ミョウガという物体を知り認識してからは普通に食べていた。だが家の食卓に出るものではなかったのでお盆に泊まりに行ったおばあちゃんの家から自宅に帰るとその存在すら忘れてしまうという不思議な野菜になった。
時は経ち大人になりひとり暮らしを始めてからスーパーでミョウガを見て「こ、これはおばあちゃんの味噌汁のやつ!!」とその存在を思い出した時の懐かしい感情。たまらなかった。それから事あるごとにミョウガを買っては食べ、気付けば大好きな野菜になっていたのだった。
いいお話、終わり。頭の中に流れていたのは井上陽水の「少年時代」です。
ちなみに他にもサーモンマリネ、かつおのたたきなんかを食べた記憶があるのだけれどこれがめちゃくちゃまずかった。特にかつお。引くほど生臭くてその後しばらく刺身恐怖症になるくらいだった。
小さい頃、父が大量に釣ってきたかつおが煮ても焼いても何しても生臭く、困り果てて結局捨てていたのを思い出した。かつおは新鮮でも運が悪いと特にこうなるんだな、というのを経験した事があったので「ま、しゃーないわね」くらいにしか思ってない。むしろ懐かしい思い出が蘇ったのでよしとする。こんな話もチェーン店の良さだと思う。
ちなみに父は釣り関係の仕事をしている職人である。釣りのプロ。それでもカツオは難しいのだ。みんなまずいカツオに当たっても気を落とさずにね。
お会計はビール×1、メガハイ×3とたくさん食べて4000円くらいだった。ごちそうさまでした。
まだまだ大宮は開拓し甲斐がある。西口なんて行ってもないし。
ちょっとセンチメンタルになる忘れられない思い出もあるが、また来ると思うのでその時も思い切り楽しもう。