KPIを設定する意味があるのか?~【解説】人的資本可視化指針(第21回)
KPIとはKey Performance Indicatorの略。
重要業績指標などと言われます。
皆さんを悩ませる指標であり、この指標がなぜ必要なのかは前回紹介しました。人的資本可視化でも、どの指標を選び、どの指標の数値を後悔するかは求められていくところです。人的資本可視化では、ROIC逆ツリーなどが紹介されています。人的資本が経営にどうつながっているかを可視化するために以下のようなロジックツリーと指標を設定して、ウオッチしていくということです。
CEO・CHROの役割
人的資本可視化において、KPIに求められる役割は、
・投資家から見て、人的資本の現状把握がしっかりできる
・経営指標との論理的つながり・関連性が見える
・「よく見せる」指標選びになっていない
ということが条件と言えます。KPIはある意味経営状態の把握のために手段にすぎませんから、いわゆる世界基準となっている指標を横並びで選ぶことをしたり、意味のない指標を選んだりすると「なんやねん」「考えてないですね」と思われてしまいます。投資家がどうこうよりもまずは、自分たちがどうその指標で「人的資本」施策をウオッチし、改善して、進行管理していくかを意識した方がよいと思います。
CEO・CHROの役割
人的資本可視化においてCEOやCHROといった幹部にもKPIのマネジメントが求められています。伊藤レポートでは以下のような記載があります。
こうしたKPIについての内部での意識づけが求められます。特に、CHROは、人事部門がデータを効率的に収集・分析できるよう、人事部門の社員の育成を図ることが求められています。KPIを踏まえて議論を促していくことは社員の能力向上や成長につながります。数字の現状、内訳、理由を検討・議論することによってかなり社員は成長します(KPIを使った思考・データ分析のトレーニングは相談ください)。
報酬について
経営陣が人材に関するKPIの達成を経営陣共通の目標として認識するため、KPIの成果が報酬にどう結びつくのかということを、事前に明確にするということも、KPIの関連で求められています。KPIの達成状況と報酬変動幅の関係(インセンティブカーブ)を開示することも可能ならすべきでしょう。
経営陣の経営責任につながる部分なので、しっかり論理性と貢献度など戦略と過去のデータを見ながら考えていくべきだと思います。
以上をみると、経営陣にとっても投資家に管理されるのか・・・という思いを正直感じた方もいるでしょう。たしかに投資家にとって透明性の高い制度運用も大事ですが、自分たちの組織が「挑戦できる」と「目標を意識して行動する」ためにKPIが必要だと考えて下さい。
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