「すぐ」とは、どれくらいの時間なのか問題。
ちょっとばかし、2時間程度空いてしまうことになり近くにあったファミレスで過ごすことを決めた。
本当はコーヒーのおいしい場所で、固めのプリンを食べたかったけれど、外は冷たい雨。
駅向こうに、理想の喫茶店があることを知っていながらもわたしは、楽を選ぶ。
晴れていたらね、とか、あと10歳若かったら行けたんだけどとか。誰にするわけでもない適当な言い訳を並べて。
座ったソファーがふかふかなので、むしろこのファミレスを選んだことを喜ぶ。
頭の中のてんし👼と、あくま😈との戦いでは見事あくまが勝利を収めダイエット中だけどチーズケーキをオーダーする。
ダイエットの神様、約束を破りごめんなさい。
こんなご時世に合っているタッチパネル式メニューから、確定ボタンを押せばキッチンに飛んでいくというシステム。
すぐに食べるか、食後に食べるかも選べたので、「すぐ」のボタンでチーズケーキを待っていた。
ドリングバーのホットドリンクを飲みながらすぐとは、どれくらいのことを言うのかを考える。感じ方にはもちろん個人差がある。
10分経って、すぐ来ないじゃないか…と思った。
そのあと、20分経ったことを確認したが、呼び鈴を押して「チーズケーキがまだ来ないんです」という勇気が出ない。
それは、キッチンの人の「すぐ」の認識とわたしの「すぐ」の認識がズレていたらどうしようという迷いだった。
ランチタイムも落ち着いている時間。
店内の客はほぼ、食事の終わった人たち。
食後のドリングバーを楽しんでいる様だったのでバタバタしている様子は特にない。
他の忙しい事情があるのかもしれない。と思っていると気のせいか、キッチンからは洗い物をしている様なカチャカチャ音が聞こえる。
こうなって来ると、悪い予感がする。
「すみません、チーズケーキを注文しましたがオーダー通ってますか?」といったところで、
「今、やってっし!」と思われるのが怖く、まだですかと聞けないわたしは、もう少しだけ待ってみることに。
珍しく読書をしていたわたしは、本に没頭していて気付けばもう注文から50分経っていた。
例えば、クリームチーズを練るところから始めたとしたら…
生地を作るのに15分、180℃のオーブンで40分くらい焼いて冷蔵庫でしばし冷やす。
トータル3時間くらい見ていないと出てこないと思った。
そんな状態なら少々お時間をいただきますとのアナウンスがあるはずだし、何よりここは
チェーンのファミレス。
セントラルキッチンで作られたものが、すぐ出せる状態できっと冷蔵庫にスタンバイしている。
何度見ても注文履歴にはわたしのチーズケーキのオーダーは記録されている。
さすがに50分は「すぐ」ではないので呼び鈴をピンポーンと鳴らし、店員さんに聞いてみることに。
「すみません、だいぶ前にチーズケーキをオーダーしてますが注文通ってますか?」とおどおどしなががら聞く私に
「申し訳ありません、すぐにお持ちいたします!!」と大慌ての店員さん。
「準備がまだでしたら、キャンセルしてください…ごめんなさい時間がなくなってしまって」と、結局キャンセルしてもらうことに。
ほんとはあと1時間あったし、食べる気には食べれたのだけど。
なんとなく、貯めたくなったんだ。いつもの運貯金を。
わたしの人生においてオーダーが通っていないとこはよくあることだけど、でもまさかタッチパネル式でも通らないなんていうことが起こる。
敗因は、オーダーの見落としらしい。
甘いものへ誘ったあくま😈は、逆転負け。
わたしは、ノンシュガーの飲み物だけで過ごし、ダイエットの神様との約束を守った。
晴れの日も雨の日も、運貯金。
お店を出る時、雨はまだ上がっていなかった。傘に打ち付けるぽつんぽつんという音がどんまいどんまいと笑っているようだった。
コンビニで固めのプリンでも買って帰ろうか。
結局のところ、本当に食べたいのはそっちだったのかもしれない。