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本との距離

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現状、本を「好きでも嫌い」でもないけど、「本を売ること」をしはじめた、地方出身・中産階級以下で育ってきた人間が、どのように本と関わってきたのか。 年齢とともに本との距離感が移ろ…
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#不登校

本との距離⑭(1000字)

島での暮らしは、横浜にいたときに比べたら、何もかもが違っていた。まず放映されるテレビが違う(本や漫画との関連性が今よりもずっと強い時代だったように思う)。そして、流行っている遊びが違う。 すると、同級生との話題づくりに困る。ぼくが知ってるものを相手は知らない。相手の知ってることをぼくは知らない。無駄にプライドが高く、知らないものとの付き合い方も超絶下手くそなとき。 小さな文化(コミュニケーションの)の差異が、学校に馴染むまでの大きな壁となった。おそらく、周りからすれば、ぼ

本との距離⑩(400字)

小3の約一年は、家浸りな日々を過ごしていた。いわゆる、不登校だった。それまでは図書室と、同級生との競争心から本に触れる機会をつくってもらっていたのが、突然その読書の接点を失うことになる。 その分、のめり込んだのが漫画だった。なぜか漫画が集まってくる家だった。母は漫画を読むような人ではなかったが、別居した父はそこそこ漫画を読むような人だったと記憶している。 置き土産として家に残る『釣りバカ日誌』に『釣りキチ三平』、単行本でしっかりと読んだ初めての漫画だ。青年雑誌連載の漫画を

本との距離⑨(400字)

文字ばかりの本に慣れつつも、漫画から興味を広げることも覚えた頃、転校することになった。ちょうど3年になる手前だったような。 ついに親が別居することになり、4人姉弟みなで母に付いていく(そのだいぶ前から籍は外していたようで、子どものために一緒に住んでいたとか)。 学校が変わること、仲良い友達と会えなくなることに、いうほど不満があったわけではない。けど、環境の変化にうまく対応できなくて、転校後の学校の記憶はほとんどない。そう、登校拒否をしていた時期があった。 なので、ほとん