脳〜夜毎悪夢は死と共に〜

酸素濃度の薄い空気。
吸い込んで其の侭ブラックアウト。
苦しむ間もなく
けれど確実に『死』を迎えた脳。

飛び起きて鼓動を確かめる。
嗚呼、未だ僕だと。

夢と云うにはリアルな世界で僕は毎夜死ぬ。

ある時は最愛の子供達に刺され悲しみの中逝き
ある時は戦地で爆撃に合い一瞬で散々に
ある時は列車に轢かれ半身を失い力尽きる…

一瞬で死ねば記憶は其処で途絶え目覚める。
脳が止まる迄記憶は続く。

殴り蹴り続けられる痛み。
ナイフの切味、痛みと熱。
車のブレーキ音と衝撃…

味わった事などある筈もない痛みと恐怖が
毎夜、身体を蝕んで…
目覚める度
僕は今、誰なのか確認する。

…僕は死ぬ為に眠る。
夜毎、誰かの
人生の最期を繰り返す。


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