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【世界標準の経営理論】 知の探索・知の深化の理論について

 全ての章は読んでいないですが、私のような企業のイチ若手社員にも重要であり、常に意識して仕事に取り組むべきと考える内容を選択しました。
 第12〜13章 知の探索・知の深化の理論(今回)
 第25章   弱いつながりの強さ理論
 第26章   ストラクチャル・ホール理論
今回は、1つめの「知の探索・知の深化の理論」をまとめております。


世界標準の経営理論
著者:入山章栄
発売日:2019/12/11
今回紹介する内容:
 第12〜13章 知の探索・知の深化の理論


【要点】 知の探索・知の深化の理論(第12〜13章)

 「知の探索」と「知の深化」の両利きの経営が、収益性のあるビジネスとなり、かつ持続性を持たせる。その両利きの経営を組織レベルで実行するためには、
 ①それぞれの評価制度を別にする
 ②人材の多様性(ダイバーシティ)を図る
の2点が挙げられる。


【内容】

◾️組織学習における「知の探索・深化」の位置付け

 組織学習(経験により学習し、新しい知を得て成果として反映させるシステム)の骨組みとして、「組織・人・ツール、経験、知」の3要素で構成されている。その3要素を繋げるサブプロセスとして、①サーチ、②知の獲得、③記憶がある。
 ここで、「組織・人・ツール」と「経験」を繋げるサププロセスが①サーチであり、知の探索・深化に相当する。

 知の探索(exploration):認知の範囲外からのサーチ
 知の深化(exploitation):既存知の基盤からのサーチ

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本書を参考に作成


◾️知の探索と深化のバランスの重要性

 知の探索と深化の両利きの経営が、収益性のあるビジネスとなり、かつ持続性を持たせる。

〜知の探索〜
定義:組織の現在の知の基盤と技術から逸脱してサーチすること(認知の範囲外にある知の探索)
関連ワード:変化、リスクテイキング、実験、遊び、柔軟性、イノベーション、発見

〜知の深化〜
定義:組織にすでに存在する知の基板に基づくものに関連すること
関連ワード:精錬、選択、生産、効率、導入、実行

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◾️知の深化への傾倒はコンピテンシー・トラップに陥る

1991年のジェームズ・マーチの論文:
 長期的な組織の知性は、知の探索を十分なレベルで持続できるかにかかっているので、知の深化を増大して、知の探索を減じさせる傾向は、組織の適応プロセスを自己破壊的なものにしかねない。

知の深化への傾倒→コンピテンシー・トラップ
 中長期的なイノベーションが枯渇していく状況のこと。

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◾️組織レベルで知の探索と深化を実行するには?

①それぞれの評価制度を別にする

知の深化と探索の部門を分けて、評価制度を別にする
→知の探索は失敗が多く、知の深化と同じ評価制度では続かない

②人材の多様性(ダイバーシティ)を図る

知の探索を促し、イノベーションへと繋げる
→組織ダイバーシティ:多様な人々を組織に加える
 個人内ダイバーシティ:1人が多様で幅広い知見や経験を持つ


◾️ダイバーシティの本質は知の探索を促すこと

 「知の探索」には組織ダイバーシティが必要である。しかし、その本質は、「知の探索」を促しイノベーションへと繋げるためであって、多様な人々を組織に加えるだけでは、イングループ・バイアス(無意識の偏見)による軋轢に繋がる。(そのバイアス解消の重要な手段の1つもまた「多様性」である)

多様な人々を組織に加えることが企業にプラスか?という問題

 →ダイバーシティの本質が、「知の探索」を促しイノベーションへと繋げるためであることを忘れてはならない。そのため、下表の「タスク型ダイバーシティ」を目指すべきである。

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*デモグラフィー型ダイバーシティ(上記:性別、国籍、人種、年齢など)は目に見えやすいが、先行してはいけない。性別や国籍などの違う人々が持つ多様な考え・能力・経験が知の探索を促すことは明白だが、あくまでタスク型ダイバーシティのために重要であることを忘れてはいけない。


感想

 経営理論のお話ですが、個人の考え方としても重要であろう3つをチョイスしました(今回は「知の探索・知の深化の理論」)。

 知の探索・知の深化の視点で、自分が今どの役割にいるのか、そしてどのポジションに行きたいのか、考える必要があります。特に、知の探索を志す上で、個人の中にダイバーシティを持つことの重要性は、改めて感じました。知の探索には、多様な知見、経験、価値観を身につける必要があり、そのためには、多様性のある環境に身を置くことを意識しなければなりません。

 私の今の業務は知の深化に寄っていますが、それでも、知の探索の視点を持ちつつ、知の探索を促すような環境も作っていきたいと考えています(知の深化と探索の両輪を回していきたい、というのが考えです)。

 

 次回は、第25章「弱いつながりの強さ理論」をまとめたいと思います。

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