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『おそ松さんのへそくりウォーズ』について ~その変遷と世界観~

今回はアニメ『おそ松さん』関連のアプリゲームの中で私が今現在唯一やっている『おそ松さんのへそくりウォーズ~ニートの攻防~』(以下『へそウォ』)について書きたい事があってメモしてます。今更なんだよって言われるかもしれませんけど最近ブームも一段落して松のコラボアプリが次々と終了してるから寂しくなって書きました。好きにさせてくれ。

色々書いてるけど要約はアニメコラボゲームとしての『へそウォ』の私的な世界観解釈を示した上で「うおお~俺は『へそウォ』が好きだ~!!!!!」という個人的叫びです。だから「あっそ」な感じの人はここで終了してくれよな!

◆前提として

Screenshot_2019-12-09 おそ松さん配信終了ゲーム一覧 pdf

こちらは配信終了した松アプリ・ブラウザゲームの歴史ですが(2019年12月9日現在追記)この中でも『おそ松さんのへそくりウォーズ~ニートの攻防』(以下『へそウォ』)は最初期に出たゲームにして現在残っている数少ないアプリです(2019年冬にパズ松が終わった為、現在は最古参の『へそウォ』と初期後半から参入の『おそ松さんのニートスゴロクぶらり旅』(以下『たび松』)の二強となっています)。

かように歴史が長いゲームなのに加え『へそウォ』は一般的なコラボアプリゲーとは違う雰囲気を持っています。イベントストーリーに独自性がかなり強いのです。一期の頃『へそウォ』をやっていて途中で辞めた勢の方々が最近復刻イベントに合わせて復帰したりしてるのを見るのですがストーリーの難解さに「?」になっている姿を見ます。無理もないと思います。イベントストーリーの中には世界観を共有する大型連作といえるようなものがありずっとイベントを追っていないと補完できない部分があるのです(なんとなくぼんやりとカッコいい雰囲気を追うだけでも楽しくはあるんですが)。

『へそウォ』の世界観というのは積極的に物語世界を理解しようとガンガン解釈する人向けであり上質な食材は提供してくれますが調理は自分でしなきゃいけないタイプが多い。綺麗に完成されたお料理を提供しますっていうレストランではないのです。元々『へそウォ』はあくまでタワーディフェンス型のバトルゲームであって創作ストーリーはおまけ。メインではないのですから。

アプリ二強の一角である『たび松』のイベントストーリーは割と分かりやすく素直な良作という印象なので対照的ですね。私は未プレイですけど既プレイヤーの感想でも分かりにくいと言ったものはあまり聞かないし、季節ごとに定番テーマを王道でやる印象を持っています。2018年12月16日現在クリスマスイベントを告知してます。サンタの六つ子かわいいしちゃんとしてる! 大きな立ち絵が出るゲームなのでイラストも細かいデザインで凝ってます。カッコいい&可愛い。ガチャで素直に欲しくなるタイプ。MYスマホがボロで容量がきついし、時間も足りないのでやってないんですけど余裕があれば本当はやりたかった。

一方の『へそウォ』は現在「サムライ奇譚」なる異能サムライによる時代劇イベントを展開しており「クリスマスとは……?」とプレイヤーを大混乱させてる最中です(これのストーリーがまた難解!)。もちろんちゃんと普通にオチのある分かりやすい話でイベントやることもあるんですけど、説明困難な独特さがあるんですよね。

でも私はなんだかんだと『へそウォ』の松アニメに対しての距離感やそれゆえの世界観の構築っていうのが好きなので、補完解釈メモを残しておこうと思いました。前提条件を知っているだけでも大分理解度が増すと思います。機能面やキャラの能力も初期と比べるとものすごく進化してるんですがこのメモでは主にイベントストーリーについてを主軸に書いていきます。一部にイベント内容・セリフのネタバレあるのでご注意ください。

注:ここでのメモはあくまで私の主観に基づく解釈でしかなく、公式の解説でも何でもないのであくまで理解の一助くらいに留めてほしいです。

◆『へそウォ』ストーリー変革の歴史

私の独断的分類ですが『へそウォ』ストーリーには大きく分けて三つの時期があると考えています。それぞれの時代しか知らないと変化した世界観に混乱してしまうのです。なのでそれについて触れておきます。

①比較的普通のブーム便乗型コラボアプリ期(Ver1時代)

開始時の『へそウォ』です。アニメ第一期放送時から終了後しばらくの時期ですね。

私はこの時期は松ファンではなかったので周囲の喧騒を見ていただけでしたが初期はお世辞にも良コラボゲーとは言えない感じだった印象。今では信じられませんがキャラゲーなのに声がついてなかった時期もあったらしいし、システム周りのトラブルも多数聞いていました。ストーリーログもなく立ち絵もなくイベントもただセリフがゲームマップ上のコマキャラと一緒に出るだけという簡素なものでした。

初期イベントは復刻などで再プレイしましたが本当に簡易。ボリュームもさほどないしゲームのおまけ的なものです。それでも映画好きのスタッフの趣味がうかがえるようなマニアックなデザインのキャラがガチャに出たり(ゾンビとかお化け屋敷とかのキャラはキモカワイイを通り越した不気味さ怖さ)徐々に『へそウォ』としての個性は突出しだしています。

ただこの頃は単にイベント用のストーリーというだけ。世界観も何もないのです。アニメ放送時一番のブームにかかっていたこともあり通常ニート軸ベースの話が圧倒的に多かったのも特徴(アニメのアプリなんで当然なんですが)。ただ、この後原作アニメ一期が終了したことで段々と『へそウォ』独自のオリジナルな世界観の話が増えていかざるを得なくなっていくのです。

②『へそウォ』パラレルワールド創始期(Ver2)
アニメ一期が終わりブームも落ち着く中新たなテコ入れとばかりにシステムがバージョンアップ。Ver2になってオートバトル機能が搭載されました。更にイベントストーリログ再読機能も追加。バトルに煩わされることなくストーリーを楽しめるようになったのです(イベントステージは基本難易度が低いので強いキャラを入れていればオートでも楽勝。キャラクターの能力バランスにも調整が入った為サクサク進めるように)。

私はこの時期からゲームを始めたんですがこのVer2初期のイベントが確か現在でも大人気の「妖怪大抗争」(妖怪松)イベントだったと記憶してます。ストーリー自体は一応通常ニート軸なんですが、ここに出て来る六つ子に取りつく妖怪たちというのがのちのパラレル設定を作るにあたり大きな役割を果たすようになるのです。

Ver2になると通常ニート軸のお話と派生パラレルが半々くらいになってきます。それとともに物語のボリュームも増していきイベントストーリーが単なるゲームのおまけではなくそれ自体も楽しめる本格的なものになっていきました。

Ver2以降の『へそウォ』は実のところタワーディフェンス型のゲームとしてもバランスのとれたとても優秀なゲームなのですが(たまに開催される高難易度ステージはなかなか頭を使えるよいものですし、ごり押しもしばりプレイも楽しい絶妙なバランスで素晴らしい)、ストーリーにも力を入れファンを獲得していくという方向をこの頃から明確に打ち出し始めたような気がしますね。

その方向性が更に強化されるきっかけになったのが「伝奇ミステリ 禁忌の六崇拝像」、通称「伝奇松」イベント。横溝的古き村社会を舞台に元は六つ子だった兄弟たちが全く別の設定を与えられ育てられてきたという設定。通常軸六つ子とパラレル六つ子の設定を絶妙に良いところ取りした上に先の妖怪松の世界観を匂わせたもので今でもとても人気のあるストーリーです。

数々のパラレルストーリーの中でも特に同じつながりを持つ連作シリーズみたいなものがここから誕生しました。今までも「THAT'S学園ミュージカル!!」(ミュージカル松)のようにストーリーのない☆4キャラ(ミュージカル松では悪魔ライダー)とのつながりなんかはあったんですが、ストーリーごとの繋がりをチラ見せしてきたのはこれが多分初めて。他のパラレルが単独なのに対しこれらは補完しあって理解しないと分からない部分があります(ぶっちゃけ補完しても分からないところの方が多いですが)。

これ以降『へそウォ』のストーリーはどんどんオリジナル度を増していきます。それと共に独自の世界観が構成されていくのです。

③赤塚クズニーランド創設期(Ver2後期~Ver3現在)
『へそウォ』Ver2はアニメ二期開始前に再び大幅バージョンアップを宣言するのですがその直前辺りに象徴的な通常六つ子軸のイベントエピソードがあります。宇宙へ飛ばされた六つ子たちというイベントです(全3作)。これは一期最終回で宇宙のちりとなった六つ子たちのエピソードをパロディしたもの。いわばアニメ一期と二期の間の六つ子たちを『へそウォ』的解釈で描いたストーリーです。

「俺たちドラァグクイーン!」「御食事処ギャラクシー VOL.1」「メゾン・ド・ニートクチュール」という続き物のこのシリーズでドラァグクイーン、蕎麦屋、ファッション業界人と節操も脈絡もない転身を繰り返す六つ子たち。その中でのちのVer3に繋がる伏線的セリフが出てきます。

「はぁ~・・・。おそ松兄さ~ん。今朝、向かいに店ができたせいですっかり閑古鳥だね~・・・」
「ヒマなのは、これはこれで楽だけど。やっぱり、面白くないよな!? 何だよ、ロボットの6つ子ってさ!?」
「完全に、俺達のマネじゃん!! ロボットに6つ子もなんもあるかっつーーのッ!? メニューも完全にコピーだぜ?」
(中略)
「もういいよ~。なんだか僕、アイデンティティが崩壊した気分~。兄さん達も全然帰ってこないし~」
(御食事処ギャラクシー VOL.1 ステージ9より)

「なんだか、色々やったよね。地球出身を売りに、アイドルまでやったしね」
「波乱万丈の1カ月だったよね~! 飲茶レストランなんか一瞬だったね。即、そっくりな店ができたもんね」
(中略)
「どんな店をやっても、なにをやっても、結局、いつも僕たちにそっくりな6つ子のロボットが導入される。今はこうして工場で毎日働いて、6つ子ロボットを出荷してる。これでいいんだろうか」
「まあ、ここでこれだけ大勢の人の雇用があるっていうのは、6つ子の経済効果だから、いいんじゃない?」
(メゾン・ド・ニートクチュール ステージ1より)

ここいら辺の会話で、このイベントでの一連の騒動というのは一期後に『へそウォ』がしてきた六つ子を元にしたパラレルネタをパロっているのかなと私は解釈しました(「アイドル」も「飲茶レストラン(チャイナ服)」も『へそウォ』内に該当する☆4ガチャキャラがいるのです)。

一応『へそウォ』は準公式と言える存在ではありますがそれでもあくまで公式アニメあってのもの。自分たちのやっていることはアニメ六つ子の後追いであり所詮はコピー六つ子ロボット、つまりイミテーションであるのだと言っているのです。そんなイミテーションである六つ子ロボットをせっせと作っているのが当の公式六つ子たちであるという皮肉めいたストーリーと言えます。公式の世界とは全く関係のない宇宙のような場所で次々と生み出される派生の世界。そんな派生達が次々と金の卵のように新たなお金を生み出していくというある意味あからさますぎる準公式や二次創作の姿です。

Ver3へのバージョンアップと同時に『へそウォ』はそういった自分たちの姿を非常に自覚的に形にしてみせました。それが新しく導入された「赤塚クズニーランド(以下クズニーランド)」です。

Ver3より戦闘に「アトラクション」という戦略が導入され様々な効果をもたらすアトラクションをガチャで手に入れられるようになったのですがそれらを並べて楽しんだり、自キャラやニー友というフレンドユーザーの手持ちキャラを眺める事が出来たり、コイン集めのバイトをしたりできる「クズニーランド」という場が新たに設けられました。

ここの開設時にチュートリアルメッセージ的なものが出たのですが、その時の「クズニーランド」の説明に私はドキッとするものがありましたね。簡単に言うと、この場は六つ子ロボットたちがそれぞれに思い思いのアトラクションをしてお客様を楽しませるテーマパークなのだという、そういう感じでした。このメッセージ一回しか出ずログもない為スクショを取らなかったの大後悔なんですけど大体こんな感じだったと思います。ものすごく重要なメッセージだと思うのです。

アトラクションの中でも金アトラクションは「クズニーランド」でレベルを上げるとアトラクション固有のショートストーリーが楽しめます。それはアトラクションにまつわるキャラのストーリーなのですがそれをズバリ「六つ子ロボット」による「アトラクション」としたのは自分たちのやっていることはあくまでここだけの偽物のお話であってお客様である我々を楽しませるためだけのものなんだよと明言してるように取れます。
(12/22追記 上で金アトラクションでないとストーリーが出ないみたいな書き方してしまいましたが、勘違いでした。銀アトラクションにもショートストーリーありました。派生話メインの金に対して、銀は通常六つ子ベースの話がやや多い感じです)

アトラクションストーリーには巷の二次創作何かで割と人気があり多くの人に創作されているキャラの話もあるのですが、一般的なイメージと違うストーリーになっているものも多いです(例としてはギリシャ神話シリーズの話とかは「アトラクション」では結構緩めのキャラクターで描かれてますが二次創作では威厳ある神様的に描かれることも多い)。でも所詮「アトラクション」。我々がそれはそれとして別のイメージでキャラクターを見ることも何ら問題がないわけです。だって単なるテーマパークの出し物でしかないんですから。

現在の『へそウォ』は自分たちが公式側であるという意識よりもより良い二次創作を提供していくという立場でストーリーを作っているんじゃないかと思うのです。だからアニメ公式をリスペクトしつつも、いやリスペクトしているからこそアニメ原作からは離れたストーリーが増えたのだと感じています(でもところどころで細かいネタを拾ったり新しい情報も入れてくれたりちゃんとアニメをしっかり見ているのは伝わる。パロディ元のあるシリーズとかでは六つ子への配役がいつも意外性ありつつ絶妙でキャラクターへの理解は深いと思います)。

原作よりのネタをそのままやるといわゆる「原作と解釈違い」問題が起こりやすい為、今後もこの傾向は続いていくのでしょう。原作ネタをそのまま使えないとなると通常軸六つ子をどう使うか結構工夫が必要なのでオリジナル派生イベントの方に注力することになってしまうのかな、と。

現実的な事情もあり二期以降少しずつブームの落ち着いたアプリ界において少しでも効率的に集客する為というのもあると思います。人気のある派生系オリジナルシリーズの世界観を厚くしていくということは下手に原作を弄るより『へそウォ』独自の売りとしてコストパフォーマンスが良いのではと推測(実際人気の派生キャラが出るシリーズのガチャはとても集客力がありますしね)。二次創作力の高い『へそウォ』スタッフだからこそできる技です。派生系ストーリーが増えてるっていう点はライバルの『たび松』も同じなので全体的な傾向でもありますね。

Ver3以降はストーリーにガチャキャラの立ち絵が付き動きのある演出が可能に。背景やBGMもシーンごとに細かく変更可能になりました(これまではマップ画面のみでイベント独自の背景はなかった)。更に長いセリフも入れられるような形式に改変したためボリュームアップしたストーリーが分かりやすくなったのです(ただしそれに合わせるように難解度もアップし過ぎの傾向があり、この点については今後の課題と言えます)。

現在は派生系の続編ストーリーやマイナー系映画パロディなど独自路線で頑張っています。たまに通常六つ子軸が来ると嬉しくなるくらいオリジナル度高いです。本音を言えばもう少し通常軸も混ぜてほしいし「赤塚区大運動会!」(六つ子が町内運動会に参加するという平和なイベント)みたいな日常ネタも欲しいんですが……。

しかしとりあえずは『へそウォ』は独創的派生を扱う二次創作屋さんでたまに通常軸の御本を出してくれるサークルさんなのだ……と割り切ってます。公式だと思うともっと六つ子感ちょうだい! ってなりますが(公式)二次創作屋さんだと考えれば我々と近い立場だからしかたない(嫌なら課金しなきゃいいだけのことだし)。

◆現『へそウォ』にみられるつながりのあるイベントとその世界観の解釈

『へそウォ』で明確にシリーズ同士の世界観の繋がってると判断できそうなイベントシリーズは以下になります(2018年12月19日現在)。カッコ内はゲームのバージョンです。

・「妖怪大抗争」(Ver2)
・「伝奇ミステリ 禁忌の六崇拝像」(Ver2)
・「アンエンプロイドは電気松の夢を見るか?」(Ver3)

・「サムライ奇譚 怨(おん)の九十九(つづら)」(Ver3)

これら四つのイベント中でさらに個々の繋がりを示されるイベントもあったりするのですがキリがないのでここからは除外しておきます。大体今のところはとりあえずこの四つのストーリーを頭に入れておくと「ああ、あれね」って感じで理解が少しは進みます。伝奇ミステリなどは金アトラクション「赤ツ鹿大屋敷」「赤ツ鹿大屋敷(冬)」で読めるストーリーもかなり重要なのでもしガチャで手に入ったらぜひ読んでみてください。
(2019/10/14追記 数か月前に伝奇に新しいアトラクションが加わりました「バンバンジーバー」です。このストーリーもまた意味深! その他にも☆3「養女」にまつわるイベントストーリーでも伝奇の世界観を補完するような話が登場しました。
伝奇はあれ以後も継続して新しいバージョンの☆4キャラが出ていてそのたびに新たな情報が出てくるので今後もどんどん新しいストーリーが生まれると思います。謎が謎を呼ぶ……)

というか最後の「サムライ奇譚」は現イベントなのですが、上記三つを知らないとストーリーが「?」オンパレードいう感じです(単独でもタイムリープを扱っているという事は読み取れますけど細かい設定が謎になってしまう)。

あとストーリーのない☆4ガチャキャラの解説文の設定が絡んでくることもあるんで、解説文もじっくり読むと幸せになれます。書いてて本当にこれ一見さんお断り要素多すぎじゃねと思いましたがだからこそガチャでキャラを手に入れたくなるオタク心もあり完全に間違ってる戦略とも言えずもどかしい。本当に踊らされるオタク。どうせアニメのコラボゲーとかアニメのファンしかやらないんだからこういうマニアックさもありでしょう。この時期からわざわざ新規に始めるような人はどう考えてもライトオタクではないだろうし。

ただし、ここまで言っておいて何なんですが各ストーリーは意味深に謎を提示しますが結論は多分ありません(スタッフ自身も正解は用意してないと私は思います)。一つ解決すると同時にまた一つ違う謎が~、結局あれって何だったの!? って感じなので明確な答えは期待してはいけない。考えるな感じろです。こういうのは下手にはっきりさせると矛盾とか解釈違いが起きるからあんまり弄らない方が無難だと思う。

それを敢えて自由に解釈するなら、この『へそウォ』パラレルワールドシリーズの根底にあるのは『へそウォ』スタッフたちの『おそ松さん』というアニメに対する思いとそれを元に自分たちがいかに『へそウォ』を作っていくかという決意表明ではないかと思うのです。もっと言えば『へそウォ』でやってる『おそ松さん』二次創作って一体何なんだよ!? っていうメタ的視点を持つシリーズなのだと私は個人的に解釈してます。

そもそも『へそウォ』のストーリーが集う「クズニーランド」自体がまさに『へそウォ』というゲームアプリの擬物化(?)というか象徴的物だと考えているのですが、上記四つのストーリーにはこの『へそウォ』の意思がチラホラと見え隠れします。六つ子をベースにしつつも六つ子でない何かがたくさん存在している。本物ではないかもしれないけれど、そこには確かに意味がある。そういうテーマパークでありたい、と。

「妖怪大抗争」のストーリーについてはこれらの一連に組み込まれたがのが後付けなのでテーマ性はそこまでないですけど、モチーフとしては上記ストーリーすべてに登場し、かなり存在感があります。上記イベントでは通常軸の六つ子たちに妖怪が取りついてしまうのですが、通常軸の六つ子たちに妖怪が取りつく事で新たなキャラとなるっていわば六つ子をベースにした派生キャラそのものじゃないですか? 私は現在の妖怪松たちは「六つ子に新たな設定を与えるもの」の象徴として使われているんじゃないという気がしますね。

メタ視点というのは非常に好き嫌いがわかれる為ここで脱落する人もいるんじゃないかなって思いますが『おそ松さん』というアニメ自体がとてもメタ視点をもつものなのでリスペクトとしては個人的には嫌いじゃないです。

ちなみに『へそウォ』側のメッセージを一番ストレートにストーリーに出しているのが「アンエンプロイドは電気松の夢を見るか?」だと思います。タイトルでピンと来る人もいると思いますが「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のパロディです。「ブレードランナー」の原作としておなじみの。

Ver3初期に公開されたこのストーリーはまさに『へそウォ』の決意表明といった感じがします。二期終了、そして松ブームがすこしづつ収束に向かいつつあるこの時期に、本物の生物がすべて絶滅した世界で人が機械(アンエンプロイドではVR)で本物を再現して生きている世界のパロディをやったんですよ。意味深すぎる。まだ復刻イベントをやっていませんがきっといつかやってくれると思うのでまだ見ていない人には直に読んでほしい。これ以上のネタバレはしないでおきます。
(12月26日追記 きっとやってくれるって言った直後「アンエンプロイド」の復刻来ました! 2018年12月26日~2019年1月11日14:59までやってます)

◆おわりに

最後に私が『へそウォ』ってゲームに大小の不満を抱きつつも楽しくプレイしてしまう理由を記して跋文とさせていただきます。

一応『へそウォ』も準公式な訳ですし『へそウォ』が作ったオリジナルの派生六つ子たちに関してはこれが公式なんだぜ! ってやってもいいところを我々も所詮二次創作ですからね、と言ってくれたところが私が『へそウォ』に対して好ましく思うところなんですよ。なんというか誠意がある。

『へそウォ』の派生やキャラ解釈については正直全面的に肯定してる訳ではなく、むしろ原作との解釈違いもたくさんあるんですが、それでも楽しいからいいか! って思えるのはこういう立場をきちんと示してくれてるからです。さまざまなカオスを飲みこむなんでもありの原作に相応しい二次創作だと思います。

ここではストーリーのことばっかり書きましたが、ガチャキャラのデザインも尖った物から正統派まで幅広くとてもセンスがありますし、本体のゲーム部分も上級者から初級者まで楽しめるナイスバランスとても良いアプリだと思うので気軽に楽しんでほしいです。ランキングとかもないですし、フレンド要素も薄いので好きな時に気軽にちょっとだけっていうのもやりやすくてそういうところも私は大好き(以前『おそ松さん よくばり!ニートアイランド』(しま松)もやっていて楽しかったんですけど牧場系の上にランキングがあるので忙しくて時間が足りなかったのが辛かった。でもアレはあれで箱庭可愛かったので復活してほしい)。

こうやってプレイしていても配信のアプリゲームはいつか消えてしまう運命だからこそここに記録として楽しんだ思い出を残しておきます。『へそウォ』ワールドが続く限りはこれからもゲームを楽しんでいきたいです。

再録本も楽しみ。待ってますから~!

【2019年3月10日追記】【その1】
最近へその復刻で「ホワイトデー松り!」イベントが始まったのでやってみたんですが……本当に本当の最初期ってイベントストーリーすらなかったんですね!(イベント用のガチャキャラが出るだけ)
だからホワイトデー一松がなぜか二次創作でマフィアのドンにされたりとかそういう事が起こってしまったんだと合点がいきました。バックグラウンドが何もないんじゃそりゃ見た目での妄想し放題になりますよね。

イベント用ステージのバランスも偏りが大きいし(最終ステージ長すぎるぞ)、初期の試行錯誤っぷりがよく分かります。道理であれだけ頻繁に復刻イベントするへそがなかなか復刻しないと思いましたよ。当時はこれを今みたいに周回便利キャラもいなければオート戦闘もない状態でみんな頑張ってたんですね。私が初期からやってたら即効匙なげてたかもしれない……超初期からずっと続けてる猛者のみなさん偉すぎる。

【2019年3月10日追記】【その2】

上記しているへそのイラスト集2月の下旬位から予約が始まったんですけど、サントラCDのついた限定盤はネット予約開始から30分経つか経たないうちに売り切れるという異常事態。通常版もその後すぐ予約停止になっちゃって、順次追加は出てるもののそのたびにすぐなくなってしまうという大変な状況になってます(一応3月15日発売予定)。

本当なら3月上旬から一般書店での予約開始だったんですけどこの状況なんであまり配本数が多くない様子。すぐに予約できなくなっちゃってたりハナから予約できなかったりという話も多数出てるようです。挙句の果てには最初ネット予約して分も遅れて予約した分などにキャンセルが出たりしててもうどれだけ人が殺到したのという感じ。

こういう本って本来コアなファン向けですし、お値段も内容を考えれば私は安いとは思いますけど分厚い本なので3000円以上はするんですよ。一般的基準から言えば高価な本。おそらくそんなに一杯最初は刷る予定じゃなかったでしょうね。でもへそウォって創作でキャラだけは知っててゲームはやらないけどイラストは好きっていうファンも多いので単純なゲーム人口だけではない需要があったんでしょう。へそ先生頑張って……としか言いようがないです。

今のところ私はギリギリ予約できたことになってるんですけどちゃんと買えるかめちゃくちゃ不安です(限定盤は無理でした……)。本当に頑張ってほしいです。サントラは後から別売りも検討って公式から声明出てますのでくれぐれも転売屋などからは買わないようにして欲しいと願うばかり。

というかこの状況で転売出てきたら「貴様らのせいか~!!!!!」って私は怒り狂うから。サントラ欲しかった。へそのBGM本当にテンション上がる良曲揃いだし、ジャケットも素敵だったのに悔しい。転売屋は処しますよマジで。公式が割と早めにアナウンス出してくれてるからそこまでパニックにはなってないですけど上記記事出した時点ではまさかここまでの自体になるとは思ってなかったです(予約せずに普通に書店で買おうかなとすら思ってた)。

一応こんな事になったんだ~っていう記録として書いときます。


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